指田珠子先生、デビュー作にして、完成度の高い作品
まずは、指田珠子先生 演出家デビューおめでとうございます!!
大劇場公演は、どの公演も観ますが、外箱は観るか観ないか、迷いがあります。
が、「龍の宮物語」は、奇譚ものが好きなので 絶対観たい、と思ってたのです。
観れてよかった~~~
先日「予習」の記事にも書きましたが、世界観だけじゃなく 衣装もとても美しくて もっとひとつひとつゆっくり眺めていたいぐらい。
龍の宮に出てくる様々な小道具、装飾品なども 雰囲気を盛り上げていて見応えありました。
初日のご挨拶で、主演のせおっち(瀬央ゆりあ)が、出演者、スタッフ、お客様、全てに感謝、とおっしゃってましたが 今日観劇して納得しました。
バウホールの狭い空間だからこそ、舞台上の世界と客席が一体になれましたし
何より、出演者の芝居にかける意気込みが グイグイと龍の宮の世界へ引き込んでくれたのだと思いました。
この公演に振り分けさけされた皆さんは、初めての演出家さんのオリジナル作品、若手が主体の30名での上演は不安をいだきながらの船出だったかも知れません。
が! 素晴らしい作品に仕上がりました!!
きっと出演者の皆さんは それぞれの力を出しきって達成感を感じながらの公演なのではないでしょうか?
せおっちの代表作になりそうです、頑張りが実を結んだようで、とても嬉しいです!
出演者のみなさんが この作品に出会えてよかった、と誇りをもって舞台に立っている気がしたのは私の気の所為でしょうか?
瀬央ゆりあの成長に驚かされました!
プロローグでせおっちが一曲ソロがあるのですが、すごく上手になってました!
いつの間にっ?? 伸びやかで まっすぐ素直な歌唱は、心情がビンビン伝わってきます。
真面目な好青年、という設定の清彦は、せおっちにぴったりハマっていました。
心の機微を丁寧に表現して お芝居がお上手だわ~と感心。
普段の大劇場では味わえない 小劇場ならではのしっとりとしたシーンが多く 細かい心の動きがわかりやすいです。
指田珠子先生の脚本がそうさせているのかもしれません。
美しい日本語を 芝居巧者の 瀬央ゆりあ、有沙瞳、天寿光希らが 滑舌もよい台詞回しで聞き取りやすかったです。
有沙瞳の実力は、いつかどこかでスポットライトを浴びてほしい
滑舌よく聞き取りやすいきれいな声は、役者に取って大きなポイントになりますね。くらっち(有沙瞳)の実力は折り紙付きですが 今回改めて素晴らしい、と思いました。
歌唱が素晴らしいのも周知の事実です。せおっちとのデュエットも 声質が合っていてよかったです。
一番の見せ場は、二幕で清彦が玉姫を殺めようと剣を振り上げるところ。
ここはくらっちが話してた、音のないシーンです。舞台上に張り詰めた空気がみなぎっていて 客席はしわぶき一つ聞こえず、水を打ったように静か。客席の目が 皆の神経が 二人の芝居に集中していて まさに舞台と客席が一体となっておりました。
くらっちが周りの空気を操れたらいいな、と言ってましたが…出来てましたよ~~!
ここ、最大の見せ場なのです!!
悲劇的なラストは…未見の方は読まないでね♪
玉姫(有沙瞳)を妻に持つ龍神(天寿光希)は、玉姫を想う清彦を亡き者にしようと 剣を抜きました。小次郎のように鞘を投げ捨てたっ!
そして清彦を一突き‥する寸前に玉姫が二人の間に割って入って…
龍神の手によって 命を落とした玉姫。
自らの手で愛する人を殺めてしまった龍神は 予期せぬ展開に、狼狽し慟哭する! みっきーも巧い!
玉姫の遺体が運び去られた後に残されたのは 玉姫が使っていた赤い領巾(ひれ)。
清彦は拾い上げて 頬を寄せます…玉姫との思い出を慈しむように。
切なく美しい物語。
書生たちの「百物語」から「夜叉ヶ池伝説」への導入もうまく、サイドストーリーの百合子と白川鏡介の話があることで、時代背景(大正12年の関東大震災や カフェのモガなど)もわかりますし、龍の宮から帰ってきたら時間が経過していたことを 百合子は亡くなり 母に瓜二つの娘の雪子が登場することでわかるようになっていました。
大正末期から昭和初期の 懐かしいような(生まれてません!)島村家の座敷と 龍の宮に住まう奇っ怪な人たちの落差も面白く、絵本の「めっきらもっきらどおんどん」に出てくるような、ヘンテコな世界に迷い込んだ感が面白かったです!
指田先生の想像力、出演者の皆さんの創意工夫の為せる技で 楽しいビジュアルでした!
龍神様と火遠理(天飛華音)は同じテイストでメイク。黒山椒道の大輝真琴が面白かった~w
龍の宮に地上に似せて作った庭と後ろの大きな月と星が美しく 幻想的で、それだけに、昔の怨念を抱えて生きている玉姫が切なく哀れ。
自分に思いを寄せてくれる清彦に向かう気持ちに抗いつつも惹かれる 自身の葛藤をくらっちが丁寧に描いていました。
あぁ、本当に私好みの胸がキューンと絞られるような切ないお話でした。
新生星組ブラボー!!
この公演は95期のせおっちを主演に30名で公演、この裏で 95期のトップスター 礼真琴が海外ミュージカル「ロックオペラモーツァルト」でトップコンビプレお披露目を大阪・東京で上演。
こちらも 素晴らしかったです!!
プレお披露目ということで 専科から2名特出で40名で公演。
せおっち大健闘で 若手中心の30名でも ロックオペラモーツァルトに引けを取らない素晴らしい出来!
今後の星組が楽しみでたまらない!
これからは 若手がどんどん育って、皆が適材適所で輝けるといいなぁ~☆
覚書 スタッフ
作・演出 指田珠子
作曲・編曲 青木朝子
振り付け 御織ゆみ乃 花柳寿楽
衣装 加藤真美
演出助手 中村真央
チケットサイトをチラ見 |д・ ) チラ
昨日、人気の公演はチケットサイトの出品価格が高い、って書いてたので 今日はどれどれ?と この公演の出品価格を見に行ってみると・・・
5500円のチケットが 15000~35000円で出てます、大人気!
しかも 35000円の人の足元を観た価格設定の1枚以外 完売!
いや、これ観たくなるよ、リピしたくなる!
評判いいから 売るのやめて自分で観ようと思った人もいるんじゃないかしら?
チケット持ってるなら 絶対観たほうがいいと思います!
きっと 後々語り継がれる作品の予感がします。
龍の宮物語、素晴らしい! 感動をありがとう~!