願望の押し付け

「相手にこうあってほしい」

あなたは、そんなことを考えたことはありませんか？

これまで

夫や妻、恋人、我が子に対して

そんな思いを抱いたことのある方は、きっと多いことでしょう

時に、そんな思いが強ければ強いほど

相手がそう出来ない・そうしない状況に苛立ったことはありませんか？

どんな人間関係においても

「相手の○○が嫌だ」

「私は○○だけは譲れない」

というようなものがあると思います

ただ、自分の譲れない面や、相手に対してこうあってほしいとの欲求

また、理想を追い求めていると

気付かぬ内に、相手との関係がギクシャクしたり

良い関係性を築くことが難しくなってしまいます

もし、今あなたが人間関係において、相手が

こうあってほしいのに・・・そうしてくれない

こうあってほしいのに・・・うまくいかない

そう感じていることがあったとしましょう

そして、苛立ったり、納得いかないことがあるとしましょう

そんな、あなたのストレスの原因

それは

「あなたの願望」

が引き起こすものです

しかし、それは

「あなたの願望の押し付け」

でしかありません

それに気付いてていますか？

例えば

我が子には良い大学に入ってほしい

良い就職先に就職してほしい

親であれば、我が子の幸せを願うものでしょう

しかし

「我が子には、こうなってもらいたい」

と言う考えは、は押し付けであるということ

何度でも言います

例に出した

親のこうなってもらいたいという考えは、ただの「押し付け」なのです

親が、子どもに対して理想のイメージを持つこと自体に問題はありません

ただ、多くの場合は、そのイメージの状態になるように

「押し付け」が始まる場合が多いのです

親は子どもが自身の価値観や思考の枠からはみ出ると

強制的に元の位置へ戻させよう、とします

その枠とはルールであり、こうあるべき、という姿であったりします

この考え方は、夫婦間でもよく見受けられます

妻は家事育児をちゃんとして当たり前

夫は働いて家族を支えるもの

と言う考え方もそうです

〇〇をしない

〇〇をしてほしいのに

どうしてなの？

多くは愛情から生まれるものです

より良くしたいという思いや願い

こうあってほしい、こうありたいという思いから生まれます

しかし

愛とエゴを履き違えていはいけません

「あなたのためを思って」

「こんなにも考えているのに」

「どうして分からないの」

そう言ってしまいがちですが、本当ににそれは愛情なのでしょうか？

いえ、それは愛情ではありません

程度の差こそあれ、エゴから生まれるものです

何度となく話し合っても改善されない問題点や

努力をしない相手に対してのそれとは違います

もし、問題点と考えるものに変化が無いのだとしたら

それは、相手がよほど独善的かわからずやでない限り

あなたの「押し付け」による反発が原因かもしれません

「あなたのためを思って」

「こんなにも考えているのに」

「どうして分からないの」

これは、気づいていない方も多いのですが、実は

「愛という名の支配」のはじまりなのです

支配だなんて、大袈裟だ!!と思う人は

特に読み進めて頂きたいと思います

愛と言う名の支配では、相手がどう思っているかは二の次です

愛と言う名の支配は

自分のこうあるべき、こうあってほしいという願望・欲望を満たすために

あるいはネガティヴな感情を埋めるために

人をコントロールしようとする行為です

自分の意に沿うように

●●大学に行ってほしい

●●という会社に就職してほしい

妻には帰宅したらすぐ、食事が食べられるようにして欲しい

夫は休日に●●して当たり前

これのなにがいけないの？

そう思っていますか？

人を支配（コントロール）しようとすることとは何か？

それは

あなたの価値観の押し付けとも言えますし

あなたの思う「常識」の押し付けとも言えます

それは、結果的に相手のこころは勿論

尊厳を踏みにじったり、相手に罪悪感と劣等感を植え付ける行為なのです

どうしてか？

人をコントロールしようとする人は

支配することにより、自分自身に肯定的でパワフルなイメージを築くことが出来るのです

そこに気づけないからこそ

少しずつ、過度な要求や他人の感情を否定する

息苦しい関係の構築へと至るのです

自分の注意を他人に集中させる人は

自分自身をコントロールするという最も重要なことを避ける為に

そのような行動に至ってしまいます

そんな事を続けていれば

結果、自分の意志で物事を判断できず

常に判断を仰ぐような子や、顔色をうかがう子が出来上がります

「お母さんはどう思う？」

これは夫婦間・恋人間でも同じなのです

世に言うヘリコプター・ペアレントや毒親も

モラハラ夫も妻も

エゴや拘り、自分自身のルールを子どもや家族に押し付けており

自分のことしか考えていないということに気付いていません

我が子の事や家族の事を「考えている振り」をしているに過ぎないのです

なぜなら、己の歪んだ思いや考えを「正しい」と信じて疑わないからです

だからこそ、時にDVなど極端な形で暴走するのです

人を支配してコントロールしようとする人たちは

往々にして、強い劣等感と負の感情を持っているものです

自分の弱さと向き合えない人は、人を支配することで心を満たそうとします

自分のことで頭が一杯だからこそ

子どもや妻や夫、恋人の気持ちを尊重するということが出来ないのです

そのことに気付き、自分の弱さや劣等感と向き合えない限り

変わることはありません

「あなたのためを思って」と言う言葉

それは、本当に相手のためになることなのでしょうか？

「どうしてわからないの」と言う言葉

それは、本当に相手の事を考えて言っている言葉ですか？

そこに気づけないからこそ、不平不満を並べ立てるのです

そして、時に独裁者よろしく己の「秩序」と「正義」を周囲に押し付け始めます

明らかにおかしいと思えることであっても

「事実を歪める」ことすら厭いません

そうなると非常に厄介なのです

なぜなら、「事実と向き合う」と言うことは

自分自身を否定することになりかねないからです

他人をコントロールすることは、現在の状況を良くも改善もしないと言うこと

愛する人を支配するのは、彼らの「自由」や「意志」を否定することです

大切なのは自分をコントロールすることであり

重要な問題は常に外ではなく「自分の中」にあるのです

相手が変わることに期待してはいけません

変わるべきは自分自身なのです

常日頃から

この感情は愛なのかエゴなのか？

自問自答しろと言っているのでもありません

改めて

自分の物差しを疑うと言うこと

自分の常識を疑うと言うこと

それを忘れずにいたいものです

Kiranah