図書館で3カ月待ちの末、ようやく読めました。
今年2020年の1月にでたばかりの新刊です。

『未来につなぐ中学受験 スーパーエリート塾が大切にしている合格の先を見据えた教育』





著者は希学園の学園長 黒田耕平さん。

著者のお名前は、『中学への算数』の「中数模試」の作問者として何度もお見かけしていました。希学園の学園長という肩書きはあとから知りました。

算数の先生なのに、算数の勉強法について、ほんの少ししか触れていないのが意外!

算数よりも、読書や国語、多くの経験や人とのかかわりを通じて自分の世界を広げ、「生きた言葉」を増やしていくことに力点を置いています。

希学園が日常生活でのマナーやルールを守ること、あいさつの大切さ、まわりの人への感謝、気配りや優しさ、つまりは「人間力を磨くこと」に注力している強い理念を持ったスーパーエリート育成塾なんだなというのは初めて知りました。

子育てだけでなく、ビジネスにおいても大切にしたい心構えや態度が説かれており、自分の未熟さをひしひしと感じました。胸を張ってロールモデルになれるような姿をぜんぜん見せられてないなぁと恥ずかしくなりました。

合格実績や教室数を伸ばすことは、もちろん塾として追求したいけど、教育には適正な規模があることをわきまえた戦略を取っているようです。

こういう確固たる人間育成の理念ドリブンな中学受験塾があってもいいですよね。

これから塾選びをするときの視座のひとつとしてはもちろんのこと、中学受験を合格のさらにその先を見据えた人格陶冶の機会にしたいとお考えの方にはすごく響く言葉がたくさん。

巻末にインタビューが掲載されている卒塾生の高島さんが灘高2年のときに、中学入試本番直前の激励会で「入試で力を出し切るには何が必要ですか?」と質問されたとき、「感謝の気持ちだ」と答えたというエピソードには感服してしまいます。(巻末のインタビューも必読です)

中学受験を乗り切るためという浅い戦略の指南書ではなく、子育てにおいて親が体現すべき態度や心構えが書かれている深い哲学書のようですらあります。

これは一読の価値ありです。
身が引き締まる思いです。
だらしない自分を省みて、子に模範が示せるよう読み返し、ささいな日常の振る舞いから正していきたいです。




第1章 中学受験にかくされた本当の意義
 〜自らの力で乗り越える初めての経験〜

第2章 「人間力」が入試の結果を左右する
 〜塾でこそ担える人間力形成〜

第3章 やる気と主体性は環境によって育まれる
 〜やらされる勉強から自ら取り組む勉強へ〜

第4章 思考力の原点は「聴く・話す・読む・書く」〜未来につながる学習の土台を育てる〜

第5章 幼少期とは変化させるべき親のかかわり方〜子どもの考える力を養うために〜

第6章 子どもの未来につなげる中学受験にするには 〜「一生懸命の先に」を伝えたい〜

⚫︎卒塾生の高島崚輔さんインタビュー
(灘中・高→ハーバード大学)

⚫︎前灘中・高教頭 大森秀治先生のお言葉