千葉県印西市・宝珠院観音堂、泉福寺薬師堂、栄福寺薬師堂を訪ねるー   印西市内の古建築を訪ねる | 名宝を訪ねる ~日本の宝 『文化財』~

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前回、木下貝層を紹介しました。

 

木下貝層のある印西市内には古い建築物も残されています。

宝珠院観音堂泉福寺薬師堂、そして栄福寺薬師堂です。

これらの古建築も、木下貝層と合わせて見てきました。

 

木下貝層を見た後、まずは宝珠院観音堂へ向かいました。

木下貝層から車で20分ほど西へ行ったところにあります。

 

印西市内にはまだまだ、日本の原風景的な田園と集落が残されています。

宝珠院観音堂はそんな集落の中にありました。

ちなみに、お寺の周囲に車を止める場所はありません。少し離れた場所に路肩の広い所を見つけて車を止め、歩きました。

 

宝珠院観音堂

 

深い森の中に茅葺の小堂、という風景。ノスタルジックな感じです。。

 

宝珠院観音堂(西側から)

 

寄棟造り茅葺、方三間、。前方は三間とも桟唐戸になって外陣へ出入りできます。

 

 軒下の組物

 

この桟唐戸、粽柱(ちまきばしら)や頭貫の台輪が禅宗様の影響を示しています。

全体に装飾は簡素で古式を表し、室町後期ごろの建築の特徴がよく見られます。

 

本当は内陣も見たいのですが、信仰の対象でもありますから、許可なく見ません。

桟のすき間から覗くだけ…でも暗くて見えませんでした。残念…。

 

 

続いては泉福寺薬師堂に向かいました。

 

周辺は宝珠院観音堂より街中な感じで賑やかです。

泉福寺の門前に駐車場があり、そこに車を止められます。お堂は参道の左手にある高台に建っていました。

 

 

泉福寺薬師堂

 

こちらも寄棟造り茅葺、方三間、正面三間が桟唐戸の小堂です。縁台が正面と左右の一部のみしかない点を除いては、規模や意匠が宝珠院観音堂によく似ていますね。

 

 

泉福寺薬師堂(南東側から)

 

細かい部分もよく似ていますが、貫の木鼻に装飾がありません。

 

泉福寺薬師堂の軒下

 

やはり、堂内を見ることができません。禅宗様が基調ではありますが、内陣には天井があるそうなのです。

もっとも、屋根の垂木は平行な疎垂木でして、これも禅宗様ではありません。

あくまで禅宗様が基調になっているということなのです。

 

う~ん、やはり本当は内陣も確認したい…

 

 

最後に向かったのは栄福寺薬師堂です。

 

ここは静かな集落の中にあり、普段から人通りがあまり無さそうな場所です。隣には神社があり、神仏習合の名残を留めています。

 

駐車場がないので門前の広い場所に車を止めました。

 

栄福寺薬師堂

 

 

全体が朱塗りでかなり目立つお堂です。

 

永福寺薬師堂の軒下

 

やはり寄棟造り茅葺、方三間、正面三間が桟唐戸の小堂です。

こちらのお堂は棟札が残されていて、建築年代がハッキリしています。

それによるとこのお堂は「寛正7(1466)年」に「柱立」し、「応永3(1469)年」に上棟、「文明4(1472)年」に「成就(完成)」したようです。

 

栄福寺薬師堂の正面

 

ただし、正面の向拝は江戸時代に増築されたもののようです。

たしかによく見ますと、虹梁や蟇股に施された彫刻は新しい時代の意匠に感じられます。

 

 

栄福寺薬師堂の向拝

 

貫の木鼻に装飾がない点は泉福寺薬師堂と同じで、それぞれ比較的近い時期に建てられたのかもしれません。

建立年代が明らかな建築物としては千葉県内最古だそうです。

 

こちらも内陣は見られませんでした。解説によると極彩色の天井絵や須弥壇があるらしいのです。

くぅ~、見られないのが本当に残念。

 

 

この3棟のお堂は、外からしか見てないので詳しいことはわかりませんが、建築の構造や意匠から室町中期から後期にかけて建てられたものであることがわかります。

建てられた地域から見ても同じ大工集団によって建てられたのではないでしょうか。

 

このような地域的な文化集団の動きを想像するのが、とても楽しいです。

それが時代によって、また地域によっても広がり方も動向も違うので、また別の場所ではどうだろう、と興味が湧きます。

 

 

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宝珠院観音堂昭和9年1月・国指定重要文化財 千葉県印西市小倉

宝珠院観音堂は千葉県印西市小倉に所在する小堂で、寄棟造り茅葺、方三間。正面三間は桟唐戸とし、各所に禅宗様の特徴が見られる室町後期の建築です。

 

泉福寺薬師堂昭和52年6月・国指定重要文化財 千葉県印西市岩戸

泉福寺薬師堂は千葉県印西市岩戸に所在する小堂で、寄棟造り茅葺、方三間。正面三間は桟唐戸とし、各所に禅宗様の特徴が見られます。泉福寺は弘治2(1556)年に焼失しており、薬師堂はその後再建されたものと考えられています。

 

栄福寺薬師堂昭和29年9月・国指定重要文化財 千葉県印西市角田

栄福寺薬師堂は千葉県印西市角田に所在します。寄棟造り茅葺、方三間。正面三間は桟唐戸とし、やはり各所に禅宗様の特徴が見られます。正面の向拝は江戸時代中期に増築されています。棟札が残り、建築年代が明らかなことは本文にも記載した通りです。

 

 

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