東京都・東博の宝物を訪ねる(1)刀剣類 その1ー   『刀剣〇舞』のおかげで人気上昇中! | 名宝を訪ねる ~日本の宝 『文化財』~

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東京国立博物館(東博)には名品が多い、とは先日も書きました。

 

 

考古から近代美術まで、とにかく有名なものがいっぱいあります。

 

考古学の本で必ず見かけるあの土器や埴輪、仏像の本に必ず写真が載るあの仏像、美術書で見たことがあるあの絵、等々…

 

ここへ来れば本物が見られるところが素晴らしい!

 

 

そういうわけで、東博には刀剣も有名なものがそろっています。

 

最近は『刀剣〇舞』なるゲームのおかげで「刀剣女子」と呼ばれる女性なのか、刀剣展示ケースの前には女性が目立つようになりました。

 

文化財に関心を持つことは、きっかけは何であれ、大切なことだと思います。

 

今回は東博が所蔵する、そんな名刀の一部を紹介します。

 

 

ただ、見に行った日はバラバラで、展示内容をネットでチェックしては

「今日はこんな名品が展示されてる!見に行こう!」

てな感じで、その都度見に行っています。

 

そうやって撮影してきた我がコレクション写真、全然整理できてません。

 

 

最初は名物 三日月宗近

 

 

NHK Eテレで『びじゅチューン』という番組が放映されているのをご存知でしょうか?

 

いろいろな美術品を歌で紹介するのですが、美術品の見方が斬新なんです。

 

不思議なストーリーを紡ぎだす、というんでしょうか。

 

おもしろいので奥さんや息子と一緒に時々見ております。

 

 

その中に「特急 三日月宗近」という歌があって、我が家では「どんな刀だろう?」と興味がありました。

 

 

歌では「三日月宗近」が、心がささくれた人に素敵なひと時を届ける夢の超特急として描かれています。

 

ぜひYou tubeなどで見てください。

 

そして最近、息子と2人で本物を見に行くことができました。

 

太刀 銘「三条」(名物 三日月宗近)

 

天下五剣といわれる名刀の一つだそうです。

 

「キラーン!」と光って、これが列車なら確かにとても速そうです。

 

 

腰のところで強く反るのは、平安時代くらいにまで遡る太刀の特徴ですね。

 

三日月宗近の茎(三条 の銘が見える)

 

茎(なかご)に「三条」と銘があります。摩滅が激しく、「条」らしい文字しか確認できませんでした。

 

 

三日月宗近の刃文

 

三日月のような刃文がお分かりいただけますか?それで「名物 三日月宗近」と呼ばれるのだとか。

 

三日月の刃文もしっかりと目に焼き付けることができました。

 

 

ちなみに天下五剣とは、

 

 

三日月宗近 (国宝・東京国立博物館 蔵)

童子切安綱 (国宝・東京国立博物館 蔵)

大典太    (国宝・前田郁徳会 蔵)

数珠丸恒次 (重要文化財・兵庫 本興寺 蔵)

鬼丸     (御物)

 

 

を指すのだそうです。

 

童子切は東博にあるんですね。また見に来なくちゃ。

 

 

 

続いて、名物 大包平(おおかねひら)。

 

こちらも名刀ですが、名前しか知りません。

 

 

「大包丁」と読み間違えてしまいますね。近いものがありますが。

 

 

太刀 銘「備前国包平作」(名物 大包平)

 

スラっとした反りは、鎌倉時代初頭くらいの刀かな?と思ったのですが、12世紀のものだそうです。

 

 

大包平の茎(「備前国包平作」の銘)

 

何で有名なのか知らなかったのですが、姫路城で有名な池田輝政の愛刀だったんですね。

 

 

大包平の切先

 

刃文が波状なのは「湾(のたれ)」でしたっけ?

 

 

続いては 岡田切

 

太刀 銘「吉房」(号・岡田切)

 

なんでも、かの有名な小牧・長久手の戦いの際、織田信長の次男・信雄が家臣の岡田助三郎重孝を、豊臣秀吉に通じた疑いで斬殺した時の刀がこの刀だとか。

 

実際に人を斬った伝承がある刀って珍しくないですか?

 

試し斬りに死体を斬った刀というのは聞いたことがありますが…

 

しかも国宝だし。

 

 

岡田切 茎

 

実は、東博には「吉房」銘を持つ太刀がもう一振りあり、そちらも国宝になっています。そちらは豊臣秀吉所蔵という名刀です。

 

そちらはまだ見ることができていません。

 

 

「吉房」は福岡一文字派の刀工で、作品が比較的多いのですが作風や銘の風体に違いが見られるらしく、同名の刀工が同じ時代にいたとか、数代にわたって襲名したとかいう説もあります。

 

東博の2振りも、見比べられたらおもしろいでしょうね。

 

岡田切 切先

 

最後は 上杉太刀です。

 

この太刀、刀身が国宝、というのとはちょっとわけが違うようです。


 

群鳥文兵庫鎖太刀 刀身銘一

 

普通、太刀の国宝指定名称は、この場合

「太刀 福岡一文字 (号・上杉太刀)  附・拵」

とかになりそうなものですが…

 

この刀の場合、

「群鳥文兵庫鎖太刀 刀身銘一」

なんですよ。

 

実は、拵(こしらえ)と刀身が、ほぼ同時期の鎌倉時代中期の13世紀のものと考えられる極めて稀な例なんだとか。

 

 拵も貴重な工芸品、だからなんですね。

 

まずは拵から見ていきましょう。

 

 

鞘は沃懸地に飛んでいる小鳥があしらわれています。

 

蒔絵ですよ。

 

漆に金粉を塗して作る、工芸技術の粋ですよ。

 

小鳥、かわいらしいし。

 

 

 

柄には鮫肌が使われていますよ。

 

天然のワサビをすり下ろすときに使う、アレです。

 

 

鍔や鞘の金具も金工の技術の極みです。

 

角度的によく見えませんでしたが。

 

兵庫鎖

 

石突

 

 

 

刀身も見てみましょう。

 

太刀は「一」の銘がある、いわゆる福岡一文字の太刀です。

 

上杉太刀

 

 

上杉太刀 茎

 

茎に福岡一文字の特徴「一」の銘が見えます。

 

上杉太刀 切先

 

鎬造りの丁子刃、です。

 

上杉家に伝来し、三嶋大社に寄進されたことから「上杉太刀」と号される、名刀です。

 

 

いや、刀もオモシロいな。

 

今まで、見分けすら付けられませんでしたが。

 

ちょっと勉強してみようかな。

 

 

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太刀 銘・三条(三条宗近)(国宝   東京国立博物館 蔵)

太刀 銘・備前国包平作(大包平)(国宝   東京国立博物館 蔵)

太刀 銘・吉房(岡田切吉房)(国宝   東京国立博物館 蔵)

群鳥文兵庫鎖太刀 刀身銘一 (福岡一文字 上杉太刀)(国宝   東京国立博物館 蔵)

 

三日月宗近は京都に住んでいた平安時代の刀工、三条宗近の作刀とされています。三条宗近の在命期は10世紀末とも、12世紀ともいわれていて、はっきりしていません。「小鍛冶」とも呼ばれて能の演目『小鍛冶』の主人公としても描かれました。三日月宗近は足利将軍家、豊臣秀吉とその性質・ねね、徳川宗家に伝来しました。そのため、天下五剣の一とされています。

 

大包平は備前国包平の作刀で、いわゆる「古備前」といわれる刀剣になります。日本の刀剣では最高峰とされ、東の童子切(天下五剣の一)と比類されるほどの名刀です。本文にも記したとおり、池田輝政の愛刀といわれ、その後も岡山藩主・池田家に伝来して同家の男子の成長を祝う儀式に供されました。

 

岡田切は備前福岡一文字派の吉房による作刀とされ、吉房のものでも特に重花丁子刃を交えた最も華やかな代表作です。天正12(1584)年、織田信雄が家臣の岡田重孝を裏切り者として伊勢長島城で斬り殺した際の刀といわれ、岡田切の号があります。

 

群鳥文兵庫鎖太刀は、拵と刀身がほぼ同時代のものと考えられる貴重な作例として国宝指定されました。鞘は沃懸地に群鳥文を蒔絵で表し、鍔や鞘金具にも金工で群鳥文があしらわれています。刀身は備前福岡一文字派の太刀で、茎に「一」銘があります。もと、上杉家に伝来し、伊豆国の三嶋大社に寄進されたことから上杉太刀の号があります。

 

 

参考文献:

「国宝刀剣 ザ・極み」『週刊 ニッポンの国宝100』51号 小学館(2018)

『日本の国宝  国所蔵/東京国立博物館5 <工芸>』45号 週刊朝日百科、朝日新聞社(1997)

 

 

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