VTの配当金における3重課税問題について

先日ツイッターでも呟いたのですが、ずっと気になっていたVTの配当金における3重課税問題について定量的なデータが欲しかったので調べた所、諸先輩方のブログ情報により本国VTのAnnual Report(年次報告書)を参照すれば良いことがわかりました。

VTのAnnual Report

上記は2019年10/31〆のVTの年次報告書です。
以下、可能な限り簡潔に要点を抑えたいと思います。

P16にStatement of Operations(運用明細書)の項目があり、
Dividends(配当額) が4億3110万6000ドルとあります

ただし、注釈としてDividends are net of foreign withholding taxes of $24,279,000.
(配当金は、24,279,000.ドルの外国源泉徴収税の控除後のものです。)となっています。

これがアメリカ以外第三国で源泉徴収された金額で、配当金支払い報告書等の証券会社から個人投資家に送られてくるレポートだけでは見えないコストとなります。
ここから 逆算(グロスアップ)すると本来の配当金総額はいくらだったかが見えてきます。

4億3110万6000ドル+2427万9000ドル=4億5538万5000ドル
これが配当金総額となります。

次に配当金総額が分かった事で第三国課税率を算出する事が出来ます。

2427万9000ドル(第三国課税)÷4億5538万5000ドル(配当金の総額)=0.053331533
となり、概ね配当金総額の5.3%程度が第三国課税されたものと考えられます。

さらにここから米国課税が10%引かれますので
94.7%-(94.7%×10%)=85.23%

VTの配当総額(グロス)を100とするならば米国源泉課税後(ネット)は85.23になると考えられます。

これはVTIやVOO等の投資対象が米国エリアの場合は現地課税10%なので
VTはVTI等に比べ配当税制において4.77%程度劣後する事になる事になると思われます。
ただし米国に比べ第三国の配当利回りが相対的に高い為、VTI等に比べVTの方が配当利回りは高い傾向です。

次にトータルのコスト感として第三国課税の負担がどの程度かについても算出してみます。

VTの配当利回りを証券会社から拾うと現在2.2%となっています。
先ほどの計算でグロスアップすると第三国課税される前は2.32%程度と想定される事から
約0.12%程度が隠れコストとして発生しているのではと考えられます。

この算出方法はシンプルに第三国課税額と配当利回りで導いたものなので概算値になりますが、より詳細に求められているたわら男爵様のほうでも概ね似た数値が出ているので大きくは間違ってはいないのではないかと思います。

即ちVTの運用コストは0.08%ですがこれに第三国投資における隠れコストが0.12%程度発生するのでVTの運用コストは隠れコスト込みで実質0.2%とみると無難なラインかと考えています。

世界全体の株式を時価総額順に押しなべたETFのコスト感が約0.2%という事になりますが、
これが高いか安いかの判断は各個人投資家に委ねたいと思います。

それではまた。

参考
VTのAnnual Report
https://advisors.vanguard.com/funds/reports/q6280.pdf
たわら男爵さま
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1202.html
河童さま
https://secrets2mysuccess.net/tax_you_pay_more_investing_vt/

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