【フリゲ紹介】SRPG『新説魔法少女』(微ネタバレ有)

2020年2月11日

フリーゲーム

t f B! P L

どうも、みっけです。


今回は、昨月のみっけの自由時間をひたすら吸引していった傑作フリーゲーム・『新説魔法少女』の紹介をいたします。


プレイ時間はシナリオクリアまでに40時間ほど。ジャンルはSRPGです。


それではどうぞ。


※本記事に微ネタバレがありますので、読まれる際はご注意ください。
※みっけがプレイしたのはver1.046ですので、情報はver1.046時点です。


<本ゲームのダウンロードは以下から>
リンク


概要

戦闘シーン(画像はfreemから)

『新説魔法少女』は、TS氏が2018年に発表した無料のSRPGです。


突然現れた怪物たちから街を守るため、特殊な力を得た少年少女が暗躍するという、王道の魔法少女(一部少年)モノの作品です。


2012年に同氏が発表したフリーゲーム『魔法少女』を全面的にリニューアルした作品でありますが、前作を知らなくても問題なく楽しむことができます。


ゲームシステムは、広いマップに湧き出る敵モンスター達を、豊富な味方ユニット達を連携させて撃破していくターン制SRPGとなっています。瞬時の判断などは必要としませんので、アクションが苦手な方にもオススメできるゲームです。


やりこみ等を抜きにして、ストーリーを全てクリアするまでの総プレイ時間は40時間ほどでした。無料ゲームでこれだけ遊ばせてもらえるのですから、制作者様には頭の下がるばかりですね……。


ストーリー


西暦20××年5月。 架橋町に突如として現れた異星生命体。
それに対抗できるのは異星より授かった道具で変身した少女達だけだった。

(※ダウンロードページの紹介文より)


もう少し言葉を付け足すと、ストーリーは以下のような感じです。

 主人公の女子中学生・霧島千代子は、普段は大人しい少女であるが、自分の仲間が傷つけられると激昂し、過剰な攻撃性を見せるという問題児であった。そうした気質ゆえに、千代子は学校で腫れ物扱いされているが、しっかり者の幼馴染・日向遥に支えられながら、ある程度平穏な日々を送っていた。
 そんなある日、千代子と遥の前に、言葉をしゃべる謎の猫・フィーが現れる。宇宙人を名乗る彼の話によると、もうすぐ二人の住む架橋町に時空の歪みが発生し、そこから異形の怪物たちが現れだすという。そして、その怪物たちに対抗するためには、適合者に特殊な改造を施す必要があるという。
 フィーは二人がその適合者であることを告げる。千代子は安請け合いから、遥は親友を放っておけない思いから、フィーの提案を受け入れ、生体兵器「マジカロイド」としての力を手に入れる。
 適合者を見つけて仲間に加えていくことで、徐々に戦力を増していく千代子たちの一団。だが時間を経るごとに新種の敵が次々と現れるように、戦闘は否応なく激化していく……。


ゲームの特徴

王道ながら、戦闘に翻弄される少年少女達の心の機微も描いた、深みのあるシナリオ



本作の物語の骨子は、「特殊な力を得た少年少女が、町を襲う敵を撃退していく」というよくあるものです。周囲の大人たちにはナイショで、日常生活と町の防衛の二重生活を両立させるという物語の構成は、古き良きニチアサ物のような王道シナリオを彷彿とさせるでしょう。


ただし本作の物語は「戦って、悪を倒して、ハッピーエンド」というような能天気なシナリオではありません。本作では、まだ年端もいかない少年少女が、人とは違う力を得たこと、そして命を懸けて戦うことから生じる精神的な揺らぎを、きっちりと描写しています。


まずもって、本作はタイトルに「魔法少女」と銘打ちながら、主人公たちに与えられる力は幻想的なものではなく、極めてSF的で危険なものです。全身の組成を別物質に変え、超人的な能力を行使する「マジカロイド」の力は不可逆的なモノであり、しかも特殊な道具で常に抑えつけなければ暴走してしまいます。


そうした状態であるため、例えば主人公たちは徐々に、能力を抑えている(マジカロイドに変身していない)状態でも、優れた身体能力が発揮できるようになります。この身体能力の向上は、一見すると良い副作用のように思えますが、非日常が日常生活へ浸食してきていることを感じさせる重い事実でもあります。実際、平時の身体能力の向上については、前向きに捉える者とそうでない者に分かれている描写があったりします。


また、能力を使えば使うほどに神経に負担がかかっていくことから、戦闘を繰り返すにつれて、神経の集中している脳や目などの器官が不具合を起こすという、明確にマイナスの副作用も現れていきます。


さらに時間を経るごとに敵の怪物も強くなっていくことも重ねって、はじめは特別な力を得たことにはしゃぎながら戦っていたキャラクターたちも、シナリオが進むほどに少しずつ余裕を失っていきます。


……そうしたリスクを背負いながら命がけで戦い続けることは、徐々に少年少女たちの精神をも変化させていきます。そしてついに、あるキャラクターは、手に入れた超常的な力を利用して気に入らない一般人を殺すという、明らかな犯罪行為にまで走ってしまいます。


このように、戦いには綺麗事ばかりではなく、目を背けたくなる現実があることに気づいていく少年少女たちが、葛藤し苦悩ながらも町を守り続けていく、というのが本作の最も味わい深いところだと思います。


特に34話以降、それまで持ち前のヒーロー気質で仲間たちを引っ張り続けてきた主人公・千代子が、ある出来事によって完全に折れてしまう展開は、読んでいてゾクゾクしましたね。


そうしたストーリーの性質上、ストーリーが面白みを増してくるのに時間がかかるのが、本作の数少ない弱点と言えるでしょうか。とはいえその壁さえ超えれば、次へ次へと夢中で読み進めたくなるような、怒涛の展開が待っています。魔法の「ま」の字も出てこないSF的な世界観の本作に、なぜ「魔法少女」というタイトルが冠されているのか。その理由も最後には分かります。


まとめると、戦いに巻き込まれた等身大の少年少女たちの、心の機微を丁寧に描いた印象的なストーリーが、本作の第一の特徴です。


全てのキャラの活躍が必須となる、絶妙な難易度の戦闘



本作品の戦闘は、マップ上のユニットを動かして行動させる、ターン制の戦闘システムとなっています。


傭兵のような汎用味方ユニットはおらず(シナリオ終盤は除く)、味方として使えるのは全てストーリー上でも活躍するネームドキャラです。ちなみに味方ユニットは30名程度いますが、全員に豊かな個性があって、キャラクター的にもユニット性能的にも埋没していないのは凄いところだと思います。
※各ユニットの性能解説は、公式HPにあるものが分かりやすいので、気になる方はそちらを参考にしてみてください(ネタバレ有り)。


味方キャラクターたちについては、性能的な強弱はかなり露骨につけられてます。が、戦闘の難易度がシビアゆえに、全てのキャラクターが最大限のパフォーマンスを発揮しないと、ステージがクリアできません。


つまりどのキャラクターも欠かせない戦力になるため、ステージを進める度に、全員に対して愛着がどんどん湧いてくるんですね。


全員がパフォーマンスを発揮しないといけないとはどういうことか、少し説明します。まず前提として、本作では特殊な補助技を使用しない限り、1ユニットは1ターンに1度しか行動できません。
日向遥

例えば主人公の親友である「日向遥」は、全体的にステータスが高く、遠近どのレンジでも活躍できる優秀な技構成の持ち主です。そのためどんな場面でも十二分に活躍させることができます。


ですが、彼女には実は、他の味方ユニットにはなかなかできない大きな役割があります。それは防御力の高い敵ユニットに、持ち前の貫通攻撃でダメージを与えることです。


そのため彼女には、雑魚敵に攻撃技をぶっ放してMPや手番を消費させる余裕はなく、高防御キャラに貫通攻撃を飛ばすという役割を主に担ってもらうことになります。するとどうなるか。周りの雑魚敵は、日向遥以外のユニットで相手をしないといけませんよね。


そういった形で、多勢に無勢であるが故に、全ての味方ユニットが自分の役割を果たすことが求められるわけです。突出した一人がいるだけでは勝てないバランスが構築されています。


またほとんどのステージで、マップ上のどこに、どんな敵・味方ユニットが配置されるか、あらかじめ決定されています。特に味方ユニットの出撃制限があるステージも結構多いので、今まであまり活躍させてこなかったキャラに役割を担わせないといけないような場面もあって、戦闘に飽きが来ません。
戦力は限られているため、どのキャラにどういう役割をさせるかが悩みどころになる


またシナリオが後半に入ってくると、一回あたりの戦闘で60分~90分消費することもザラになるため、負けてゲームオーバーになった時の悔しさも、クリアできた時の嬉しさも大きくなっていきます。


……敵味方の戦力が数体にまで減り、MPも枯渇してきた最後の詰めの局面なんて、手が震えるほどに緊張しますよ。それまで積み上げてきたものが最後のヘマで崩壊するなんて悲劇も、普通に起こり得ますからね。


そんな感じで、シンプルながら、味方ユニットの個性と絶妙な難易度調整によって、時間泥棒なゲーム性に仕上がった戦闘システムが、本作の第二の特徴です。


※難易度は通常(リアル)と簡単(ドラマ)の二つがあり、ゲーム中にいつでも切り替えることができます。どうしても戦闘をクリアできないけれど、その後のストーリーが気になるという方は、活用を検討してみてください。


まとめ



以上、秀逸なバランスの戦闘システムと、それに負けない濃いストーリーを併せ持ったSRPGの大作『新説魔法少女』の紹介でした。


ちょっと肌色が多い作品ですが、どなたにでも文句なくオススメできる傑作です。


ここまでお読みいただきありがとうございました。


ーー
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20代サラリーマンです。ゼロ年代カルチャーに青春を溶かしました。 昔は競技クイズをがっつりやっていましたが、最近はTRPGばっかりしています。

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