私は時々院内の売店で料理の雑誌を買って読む。しかし、それを見ながら作ることはない。料理は好きな方である。この病気になる前は時々変わった物が食べたくなって本をみながら作った。意欲が減退するのは病気のせいと言うよりは、薬のせいかも知れない。

 
「10時半を過ぎたわ。間に合うかしら?」
 
と改めて不安になって来た。 
 
「後3人くらいか❓」
 
朝早めの外来は、1人につき、かかる時間が短くて済む。
 
「1時間半待たされて、診て貰えるの5分くらいだから(*^^*)」
 
以前、外来が大変混雑していた時に、隣に座っていた、私より明らかに年上の患者が言っていた。ここで話しかけられたのは、今のところその時だけである。
 
「本宮さん。本宮さくらさん、一診までお入り下さい!」
 
やっと呼ばれた。ふと時計を見ると10時46分だった。
 
「ぎりぎり間に合いそう(^-^)v」
 
私は診察室のドアをノックした。
 
部屋に入ると
 
「こんにちはニコニコ
 
と挨拶する。主治医は微笑んで、
 
「こんにちは。どうですか?」
 
と返す。お決まりの挨拶である。
 
待っている間に答えは用意しておく。今日は、
 
「まあまあです。おねがい
 
と答えた。
 
「昼過ぎるとしんどいです。仕事から帰ったりすると特に・・・誰でもかもしれませんが・・・ショボーン
 
主治医は
 
「そうですか。」
 
とだけ答える。これが有難い。特に突っ込んで聞いて来る訳ではない。話したければこちらから喋るし、ちゃんと相槌を打ちながら聞いてくれる。今日はそれ程話すこともないのでそれ以上は話さない。主治医も黙っている。そんな時私は、
 
「いい主治医に巡り逢えたわ。」
 
と思うのである。人から見て当たり前のことが嬉しい。こんな時、主治医は何と言って話を終わらせるのか興味があった。私なら、
 
「そうですか、前と同じお薬出しておきますね。一日分余分でいいですか?」
 
と言うだろう、そう思っているとそのまま返って来たので可笑しかった。
 
「時々、2回飲んでしまうので余分に下さい。」
 
と私は付けたしだが、そのことに対して心配する様子もなく、
 
「じゃあ、29日分出しておきますね。次回の診察は・・・。」
 
と日付と時間を指定した。この人は今のところ大丈夫だと思われているのかも知れない。オーバードラッグだとか思わないのだろうか!?
 
少し疑問に思うが、そこはスルーされたのが残念だった。
 
こうして今日の診察は変わったこともなく終わった。
 
何気ない日常だった。
 
 
 

 

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