「メイドインアビス 深き魂の黎明」2020.1.17公開 ―なぜ屈指の悪役ボンドルド(黎明卿)は魅力的なのか―

アビスアイキャッチ 映画
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もう一回観に行きません?


まさか上映中に眠ってたとか?

いや、一回だけじゃもったいないなーと

眠って見逃したところがあるのですね?

眠ってはいません、、、
少し気は失っていたかもしれません

すごく面白かったのに

私もとても面白かったのでもう一度観たいです

仕方ないですね

さっそくレビューを書きたいところなのですが

本作はTVシリーズの続編です。

未見の方もいらっしゃると思うので、

少々長いですがTVシリーズのあらすじにお付き合いください

アビス黎明

TVシリーズのあらすじ

アビスとは

隅々まで探索されつくした世界に、唯一残された秘境の大穴『アビス』。
どこまで続くとも知れない深く巨大なその縦穴には、奇妙奇怪な生物たちが生息し、
今の人類では作りえない貴重な遺物が眠っている。

『アビス』の不可思議に満ちた姿は人々を魅了し、冒険へと駆り立てた。
そうして幾度も大穴に挑戦する冒険者たちは、次第に探窟家と呼ばれるようになっていった。

『アビス』は現在、深界七層まで確認されており、下層から上層に帰還を試みる探窟家は「上昇負荷」、通称「アビスの呪い」と呼ばれる事象の影響を受ける。
比較的浅い深層においては、上昇負荷の影響は潜水病に似た軽い目まいや吐き気などに留まるが、深層に行くほど帰路にかかる負荷は重く激しいものになる。
深界六層において帰還を試みるものは「人間性の喪失もしくは死、あるいは異形のものと化し」異形となったものは「成れ果て」呼ばれる
深界七層における上昇負荷は探窟家に「確実な死」をもたらす。

主人公リコとレグ

リコはアビスの縁に築かれた街オースの孤児院に暮らす探窟家見習い。
アビスへの憧れが人一倍強い彼女は、母のような偉大な探窟家になることを夢見ていた。
ある日の探窟で、リコは謎の存在に生命の危機を救われる。
その何者かが放った熱線の跡を辿ると、そこには人間の少年そっくりのロボットが倒れていた。

リコはロボットにレグという名前を付け、孤児院の大人達の目を欺きながら、共に過ごすようになる。
レグが孤児院に入って2カ月が経つ頃、リコの母親であるライザの白笛と封書がアビスの底より地上に上がってくる。
封書には、誰も見たことがない深層の生物の情報と「奈落の底で待つ」と書かれた紙が同封されており、その中にはレグに似たロボットのような絵も描かれていた。

ライザの封書を読んだ2人は、アビスの深層を目指すこととなる。
リコは母親に会うために、レグは自分が何者なのか知るために…

アビスの深界四層でタマウガチの毒に苦しむリコ。
リコを救ったのは「成れ果て」のナナチだった。

と、ここまでがTVシリーズのあらすじです

アビス深界四層までの冒険がTVシリーズでした
今回の映画はアビス深界五層からはじまります

深界5層

ナナチを仲間に加え、ボンドルドの待つ深界五層へと三人は冒険を進める。
そこで、プルシュカと名乗る女の子に出会い…

TVシリーズ未見でも観て欲しい作品

映画はTVシリーズからそのままの続きなので、TVシリーズを観ていないとよくわからないかもしれませんが、、、
未見でも面白いです

断言しましたね?

はい
人間は想像力があるので、知らなくても結構脳内で設定を補完できちゃうんじゃないかと、、、
ましてや本作はファンタジー世界です

そういう楽しみ方も楽しい。いや、楽しすぎるかもしれません

とにかく観て欲しいという気持ちは伝わってきました

作画、キャラクター、美術、音楽、声優さんの演技、
全てが高品質な作品ですから

TVシリーズ未見という理由でパスするにはもったいない

あとからTVシリーズを見てもきっと楽しいはずですが、

TVシリーズはAamazonプライム会員だと特典(無料)で視聴できます

メイドインアビス TVシリーズ1 第一話大穴の街

一話見るだけでも
「メイドインアビス」がとても作り手に愛されている作品だという事を感じてもらえると思います

映画だけで完結している作品ではないので
今回の映画レビューは難しいですね

そうですね
原作のコミックスは8巻まででています。
TVシリーズは1~4巻
この映画は4~5巻のエピソードが描かれています

映画は作品中、最も人気のある悪役との戦いですよね?

とても残虐な事をしているのにとても魅力的なキャラクター

はい。
なので今回は映画のレビューというよりは
本作の悪役、最強カリスマ人気キャラクター、ボンドルド卿の魅力について話したいと思います
が、その前に本作の主要キャラクターの紹介だけさくっと

さくっとお願いします

主要キャラクター

リコ
リコ
大穴の街オースの孤児院で暮らしていたが、伝説の探窟家だった母ライザを追うようにしてアビスへと潜る。
アビスへの憧れと探求心、そして相棒であるレグやアビスの中で出会った人々に助けられながら、今回ついに深界五層へと辿り着くが……。

レグ
レグ
アビスの中で見つかった、人間そっくりの姿をしたロボット。
記憶を失っており、自身の名前や機能はおろか、ロボットであることも覚えていなかったが、リコと共にアビスへと潜り冒険を続けていく中で、時おりかつての記憶のようなものが蘇りつつある。

ナナチ
ナナチ
深界四層で瀕死の状態だったリコに救いの手を差し伸べた「成れ果て」。
かつてボンドルドによって親友ミーティと共に実験にかけられ、現在の姿になる。
不死の呪いを受けたミーティを殺してくれるようレグに依頼した。
その後リコに誘われ、共に冒険へと旅立つ。

プルシュカ
プルシュカ
深界五層の前線基地でリコたちを出迎えた、ボンドルドの娘。
一度も地上に出たことがなく、ずっと深界五層で暮らしている。
夜明けの花という意味の名前は、ボンドルドが付けてくれたという。
10歳の誕生日にボンドルドから与えられたメイニャとはいつも一緒。
ボンドルドのことを「最高のパパだ」とリコに語る。

ボンドルド(黎明卿)
ボンドルド
深界五層に住む「白笛」。「黎明卿」の二つ名を持つ。
かつて地上にいたナナチら貧しい子ども達をアビスへと誘いそこで非人道的な研究を行っていた。

研究によって成れ果てとなったナナチを特に可愛がり、ナナチがミーティを連れて逃亡した後も様子を観察していた。

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黎明卿ボンドルドとカリスマ

カリスマとは、神の賜物としての超自然的・超人間的・非日常的な資質・能力をもつ者が民衆を惹きつけ、心酔・人格的に帰依させる力とされています。

常人とは異なる次元の存在であり

憧れの対象ですね

なるほど
それが本作ではボンドルド卿…

はい

とはいえ悪のカリスマです
非人道な所業をやり散らかしてますからね

ボンドルド卿は「黎明卿」とも呼ばれています。

「卿」と敬称で呼ばれるボンドルド。彼の人類への功績は計り知れません。
・ アビス深層へ向かうルートの新規開拓
・ 人間として無事に地上に戻れる限界である深界五層での活動拠点・前線基地の整備
・ 地上の生態系への悪影響を及ぼす原生生物のせん滅
・ アビス最大の謎である上昇負荷への対抗策の研究に従事
その活動の動機は決して金銭欲や出世欲といった俗物的なものではなく、ただただ飽くなき探求心と『アビス』の謎に対する憧れのみ。

誰に対しても礼儀正しく紳士的に接するが、その価値観は常軌を逸しており、必要であれば森を焼き払い、川に毒を流すことも厭わない。
自分自身や配下、身寄りのない子供たち、果ては自分の娘を被験体としてグロテスクな人体実験(解体)の数々を行っている。

だがその所業は、飛躍的な成果を人類にもたらしている。

「黎明卿」の謂れは「良き伝統も、探窟家の誇りも、丸ごと踏みにじって夜明けをもたらす」からだと言われています。

自身の体すら実験材料としているのがなかなかにクレイジーです

ボンドルドは研究のために身寄りのない多くの孤児を引き取って養っています。
実験の結果、異形の「成れ果て」となった後もその生が終わるまで養っており、全ての子どもの名前・性格・将来なりたかった夢・子ども達と話した事、全てを覚えています。

人ではなくなってしまった子どもたちにも

ちゃんと一人ひとりの名前で話かけているんですよね

子どもにというよりも生命に対する深い愛情なのかも

常人とは異なる愛情を抱いている事は確かで、しかもその愛と慈しみは本物。
ボンドルドにとってはともに『アビス』の謎を解き明かす愛しい子ども達なのです。

その研究は

その子ども達は実験の結果、『アビス』の呪い除けとして使われる事になります。
生体を必要最小限のサイズに加工してカートリッジに詰め込み、自らに装着。
『アビス』の上昇負荷(呪い)をカートリッジの中の子どもに負わせる事でボンドルド自身は呪いから逃れる事ができるという装置です。

呪いの負荷に耐え切れなくなった生体はカートリッジの中で沸騰し、死んでしまいます。

命を使う

おそらくボンドルドの最終目標は子ども達も『アビス』の呪いから免れることだったとは思うのですが、、、

まだそこまで到達していない

カートリッジは最終目標を目指す途中で産まれた副産物なのでしょうね

ボンドルドに対してリコが叫びます

「ロマンは理解できるのよ!」

でもその所業は到底容認できるものではない、、、

なぜボンドルドは魅力的なのか

みいたさんは、これまで出会った人の中で
この人には到底かなわないと思った人はいますか?

んー、、、

私はたくさんいます

ん、んー、、、

みいたさん?

はい

もう大丈夫ですからw

私の中では「かなわない人」=「とんでもなく凄いな!」と思わされる人物になります。

そういう人物の共通点として、自身の価値観に対する忠誠心ともいうべき意志を持っています。

大人とは、委縮した子供である

即興劇の指導を行うキース・ジョンストン氏(英国の演劇教育者)の言葉です。

人は幼いころは駄々をこねたり大泣きしたり、大声をだして質問したりと、わりと感情や疑問をストレートに表に出していたと思います。
もちろん多少は他人の目も気にはしますが、大人になった今よりは自分らしくあったのではないでしょうか。
やがて歳を重ねるごとに「他人の目に映る自分」を気にしはじめ、それぞれのTPOに合わせて仮面を被り、一般的に大人と呼ばれるものになります。

常識的な大人のできあがりです

一方、とんでもなく凄い人には変人が多い(イメージ)気がします。

「他人からどう見られるか」なんて事は多少は気にしているかもしれないけど、あまり「気にしない」「委縮」しない。
そんなことは二の次くらいに思っています(たぶん)。
では彼らの優先順位の最上位は何か?

それはきっと自分の価値観なんだと思います。
大人になっても価値観に忠実であり続けるという事は、それだけ強い意思をも持っているという事です。
彼らは「あるべき姿」「憧れ」を追って邁進できるだけの強力な推進力を持っています。
だから、今ある不完全な姿に不満を持ち、変えたいと思っています。

「憧れ」に向かって走り続ける人って魅力的ですよね

ですね

だけどその情熱だけでは世界は変えられませんし、人々を心酔させるカリスマにはなれません。
変えるためには人々を納得させるベースとなる知識・論理・技術が必要です。
委縮せずに「憧れ」を持ち続け、かつインテリジェンスを習得した大人こそが人々を惹きつけ変革を起こす「鍵」になるのかもしれません。

本作ではその人物が

ボンドルド卿です

作品世界でもボンドルドは、彼に献身する「祈手」という使徒をたくさん従えていますね

ボンドルドに共鳴して自ら望んで集った人達なのでしょう、、、

黎明卿と祈手
黎明卿と祈手

やっぱり…

カリスマってちょっと危ない存在ですね

本作の見どころ―価値観と価値観の戦い―

そして本作ではそんな最凶のカリスマにリコ、レグ、ナナチが挑みます。

「憧れ」に真摯に向き合う姿勢はボンドルドもリコも同じです。

異なるのは価値観です。

絶対に譲れない認められない相手との戦いにリコ、レグ、ナナチは挑みます。

このバトルは壮絶で、グロテスクで美しく哀しいものになります。

レグ&黎明

どうですか?

「メイドインアビス」をご興味持っていただけましたか?

是非、劇場で観て欲しいですね!

TVシリーズは総集編として2019年に前編後編で映画化されています

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