人間の息がムンクの「叫び」を劣化させる irreversible



 
国際研究チームにより、ムンクの傑作「叫び」が劣化する主な原因は、人間の息であることが判明しました。

ノルウェーのオスロにあるムンク美術館は、1910年に描かれたムンクの「叫び」を所蔵しています。学芸員たちが絵の劣化に気づき、ベルギー、イタリア、アメリカ、ブラジルの科学者たちが調査を行いました。背景の夕焼けと主役である人物の首の部分の色が消え、白くなってきているのです。

研究チームは当初、光照射を減らすことで劣化を防げるのではないかと考えていましたが、予備テストの結果、光照射は劣化の原因ではないと分かりました。

最新の調査結果によると、ムンクは誤って不純物を含んだカドミウムイエロー顔料を使用した模様です。不純物が混ざっていると、低湿度の環境に於いて、顔料は消えたり剥がれ落ちたりすることがあります。

ある大学教授は「人間が呼吸する時、湿気と塩化物が放出されます。一般的に、絵に近づきすぎると息がかかり、良くありません」と話しています。

「ムンクは故意に不純物を含む顔料を使用したのではないと思います。ただ、それほど質の高くない顔料を購入しただけでしょう。1910年当時は、現在のように顔料の品質をコントロール出来ていませんでした」

ムンク美術館は、今年後半にオープンする予定のオスロ・オペラハウスに場所を移す予定です。今回の新発見は、新しい場所での「叫び」の展示方法に取り入れられる見込みです。

研究者たちが、環境の変化でこの傑作の劣化が緩やかになることを望む一方で、「叫び」にはまだ問題があります。左下の角に、修復不可能だと思われる茶色い水のシミがあるのです。

2004年8月22日の日中、マスクをして銃を持った2人組によって、ムンクの傑作「マドンナ」と共に「叫び」が盗まれました。そのことが原因で、水のシミが付着したのです。

2枚の絵は、2006年に警察の捜査により取り戻されました。


ムンクの「叫び」は5点ありますが、画材なども違い、それぞれにそれぞれの素晴らしさがあるので、その中の1点でも劣化してしまうのは非常に残念ですね。今後の技術の進歩で、何とか修復できるようになることを願います。

今日の英単語:reversible
reversibleには、片仮名のリバーシブルと同じ「裏返しても着用できる服」と言う意味もありますが、「元に戻すことができる」「可逆の」という意味もあります。これに否定を表す接頭辞ir-がついたirreversibleは「不可逆の」「撤回不可能な」という意味になり、ソース記事では「修復できない」というニュアンスで使われています。また、irreversibleには病気などが「治療不可能な」「不治の」という意味もあります。


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