なぜ、タメ口を気にするのか?
社会人経験があると、ビジネスシーンで「タメ口」になることはないでしょう。
言いかえれば、タメ口で話すことに違和感を覚えます。
しかし、介護業界では「タメ口を使わない」という風潮があります。
それは、介護士の社会経験不足が問題視されているからでしょう。
「介護」は日常生活を支える役割です。
つまり、自分の日常生活をベースに介護することができてしまいます。
「食べる?」「飲めば?」
年上である利用者に対して、「介護してあげている!」という意識が強いと、タメ口になってしまうかも知れません。
本来なら、両親にどんな話し方をするべきなのかが分かっていれば、「タメ口」を全否定するべきではないと思います。
「ねぇ、お父さん。これ食べる?」
もちろん、利用者は家族ではありませんし、介護士はサービスを提供する人です。
「〇〇様、こちらを召し上がりますか?」
理想的な声掛けをしても、それを聞いた利用者がどうもしっかりしなければ意味がありません。
利用者が心許してくれるなら、タメ口も使いようだと思うのです。
結局、何が良くて何がダメなのか?
介護士の評価はとても曖昧な基準で行われます。
ルールや規律も大切ですが、それだけでは「いい介護」にはならないからです。
考えてみれば、「介護」は「生活」なので、個々の生活歴にどれだけ適応させられるのがポイントとなります。
少なくとも、早口では聞き取り難いので、利用者にとって心地よいスピードで話すことが欠かせません。
また、「〇〇ちゃん」という砕けた言い方は、人生経験豊富な利用者ほど、頭ごなしに否定することはありませんが、利用者の気遣いに介護士も気づくべきなのです。
もちろん、「タメ口」も同様です。
信頼関係の上に親しみとして使うものでなければ、砕けた口調を使うのは避けましょう。
女性介護士の中に、「お父さん」と男性利用者を呼ぶ人がいます。
その利用者にとって、女性介護士は娘や孫のような存在で、その介護士にだけ耳を傾けることもあります。
そんな時に敬語で話しかけると、利用者の方も身構えてしまい、話が通らなくなってしまうのです。
思うに、言葉づかいの良し悪しではないようです。
結局のところ、利用者と介護士の間で「信頼関係」が築かれたかどうかがポイントになります。