どう話せば伝わるのか?

そもそも話し方とは何だろう?


文章を書く時、よく「起承転結」が必要になると耳にします。

今さら「起承転結」の意味を説明することもないと思いますが、この文章でも起承転結の「起」=きっかけになっています。

話のきっかけができたのだから、もう少し説明を加えたいなと思うでしょう。それこそが「承」であり、例外や別アングルこそが「転」になるのです。

やがて話もまとめになり、最後の結び「結」を迎えます。

本音を言えば、起承転結の説明をしたかった訳ではありません。

聞いてもらえる話し方とは何だろうというテーマです。

対面で話すよりも、こうして文章で書くことの方が難しいと感じます。

その理由は、対面なら相手のリアクションを感じながら、話し方に変化をつけられるからです。

きっかけとなるテーマを投げかけた時点で、相手がどれくらい関心があるのか分かるでしょう。

曖昧ならもう少し話を続けてみて、表情や視線、返ってくる言葉などを観察して様子を見ることだって可能です。

しかし文章の場合、ある程度伝わったと仮定して、話を先へ進めていくので、書き手が急いでしまうと起承転結それぞれがしっかりと機能せず、何を伝えたかったのか聞き手が汲み取れません。

その意味で、書くことは話すことよりも難しいなと思うのです。

また、話し方を考える時にポイントになるのが、話全体を貫くフレームだけを意識することだと思います。

フレームとは何でしょうか。

思うに、話が伝わるか否かは、話し手と聞き手の信頼関係が左右します。

言いかえれば、言葉の語尾や言葉の選び方はそれほど重要ではありません。

ただ、誤解を解くのであれば、テンポや言葉選びが適切ならより相手の心に届く話し方になるでしょう。

つまり、フレームとは「起承転結」のような役割を持った一連の流れを指します。

「あのさぁ、ちょっと聞いたんだけど…」

「知っている?」

どんな話し方でも構いませんが、初対面の人や目上に人、特別な関係なら、もっと気を配った話かけ方があるかもしれません。

なぜ、伝わらないのでしょうか?


いきなり関心のないテーマについて長々と説明を受け、その話を最後まで聞いてくれるのは優しい人です。

ふつうなら、「早く終わらないかなぁ」と思いながら、適当に相づちを打つくらいでしょう。

もっと露骨なら、「あのさぁ!」と同じ調子で聞き手から話題を変えてしまうかもしれません。

話をするうえで、フレームが大切だと紹介しました。その1つが「起承転結」のような展開です。

しかしもっと大切なことは、話をなぜ始めたのかという話し手の理由です。

話すことで、相手にどんなことを伝えたいのかが不明確だと、そもそも何も伝わりません。むしろ、「何が言いたいんだ!?」となってしまいます。

「自分が知った情報を教えてあげたい」というのも理由になります。

「相手に何かをして欲しい」というのも話す理由でしょう。

つまり、何を伝えたいのかが決まることで、初めて話し方を考える意味が生まれます。

思うに、「伝わらない」のではなく、単に「伝えるものがなかった」のです。

実際にやってみたいこと


話し方をうまくなるには、相手の気持ちを察することです。

大切な話ほど、場所や時間が大切です。

インターネットを使って検索するように、必要な情報だけを提供しても、相手には伝わりません。

もしもそれで伝わるのなら、聞き手がとても優秀なのでしょう。

必要な情報とは、「伝えたいことがら」です。

話をしようと思った理由とも言えます。

しかも、誰もがその話に必要性を感じているとは限りません。たとえ重要なことだとしてもです。

あることがらに対する理解が、「12345」の5つから構成されているとしましょう。

すべてを相手が理解してくれたら、話し手の意図がしっかりと伝わったということです。

多くの場合、「1245」や「2345」のように、相手の関心にはどこかが欠けています。

端的に言ってしまえば、欠けている部分だけでも十分なのですが、「話し方」としては好ましくありません。

かと言って、いつでもなんでも全部を話してしまうと、話が長かったりまとまりがなくなってしまったりするのです。

残念ながら、話し手は聞き手がどれほど詳しく知っているのかわかりません。

言いかえれば、知らないことや詳しくないことを踏まえて話すことができれば、伝わりやすい話し方になるでしょう。

だからといって、「ここまで分かるよね?」と口にしてしまうと、聞き手は責められているように感じてしまい、その先を聞くのが苦痛になります。

例えば、自分や赤の他人のことを話のきっかけに持っていき、「悩みを聞いてもらう」というスタンスを取るのはどうでしょうか。

相手がすでに知っていることがらを口にしてくれたら、聞き手となって教えてもらうのです。

ある意味で、「承」や「転」になるわけです。

頃合いをみて、「そうそう、これってどうなんだろうね?」と本題を切り出します。

その際、相手に伝えたい情報はある程度絞り込めているので、より反応が明瞭になるでしょう。

「何それ?」となれば、さらに説明を加えればいいし、「ダメダメ!」と否定されれば、理由探しに矛先を変えましょう。

根本的に不要な話題とわかれば、もう同じ話を繰り返すべきではありません。

しかし、さらに新たな「6」や「7」の要素を加えれば意味を持つのであれば、策を練り直すのも方法です。

特に介護施設では、さまざまな視野を持った人に出会います。

使う言葉も違えば、話し方も異なります。

介護の仕事に就いたことで、こんなにも「話し方」が大切なのかと実感しました。

また、相手を誘導する魂胆が見えてしまうと、話し手と聞き手の信頼関係は失われてしまいます。

「いちいち話すのは面倒だな」とか、「何で分かってくれないんだろう?」という苛立ちが表情に出てしまうと、聞き手も話し手の気持ちに気づき、「そんなことを頼んでない!」と不満が爆発します。

「大切なことだから、これだけは知っていてね!」とか、「知っていれば聞き流して欲しいんだけど…」そんな言葉を話す前に持っていき、何で話したいのかを伝えることも大切です。

もちろん、これらが話し方のポイントのすべてではありません。

しかし、話し方に着目すると、これまでにはなかった視点が見えてくるのも事実です。

介護の分野では「話し方」が問われるので、これから入職する人は気にしてみるといいでしょう。