介護士の限界

ケアプランをどう作るのか?


ケアプランとは、これから公的な介護サービスを受けるための設計図のようなものです。

つまり、ケアプランにしっかりと自身の希望を盛り込んでおかないと、どんなに質の高い介護サービスだったとしても不要な支援では満足度も上がりません。

実際に介護施設に入所された人は、その環境を受け入れる方と、その施設の機能を活用したいと考える人に分かれます。

もちろん、その両方を望む人もいるでしょうし、それ以外の目的を持つ人もいるかも知れません。

それでも、環境を受け止める人の中には、これまで住みなれた自宅で生活を継続できない事情を抱えているわけです。

伴侶を失ったということもあるでしょうし、自宅で介護してくれていた家族や知り合いが見つからなかったということもあるでしょう。

介護士として働くこみちが感じる「介護」とは、支援を受ける人にとってどれだけ満足できたかがポイントだと思います。

つまり、質の高いリハビリも、苦痛でしかないなら、必要だとは思いません。

心身機能を向上させることで、これまで諦めていた生活スタイルを手に入れられることこそが重要なのです。

さらに言えば、実現可能な生活スタイルをイメージさせてもらうことで、利用者は公的な介護サービスに期待を持つのでしょう。

逆を言えば、「食事を支援してもらう」という介護サービスだったとしても、気の合う人と談笑しながらの食事であれば、料理が一段と美味しく感じます。

一方で、どんなに美味しいものでも、冷めていれば味気ないですし、介護士に無理やり食べさせられるなら食事も苦痛になってしまいます。

介護士としては、安全に健全に介護サービスを提供しなければいけません。

そのためにも、介護知識や技術があるのです。

注意したいのは、介護サービスの根本となる「ケアプラン」をすべて人任せにしてしまうと、こそで提供される公的なサービスは、自身の希望が盛り込まれていないかも知れません。

ケアマネを味方につける!?


ケアプランを作成するのは、ケアマネジャーです。

ケアマネは、医師や看護師、機能回復訓練士など、幅広い人物と交流して、公的な介護サービスをピックアップします。

情報を集めるアンテナを張っていないケアマネは、身近な環境下で公的サービスを探します。

場合によっては、希望とマッチングしないサービスをケアプランに盛り込むかも知れません。

当然、狭い範囲から作られたケアプランは、面白味もなければ、向上心をくすぐる魅力も感じません。

そんなケアプランをもとに、これから更新されるまでの3ヶ月間、公的な介護サービスが提供されます。

介護士の仕事は、立ち上げられたケアプランの一部を見て、自身ができることを探りながら、その人らしい生き方を実現させることです。

もっと本格的なリハビリを希望しても、ケアプランに盛り込まなければ介護士の意見や考え方が通るわけではないのでしょう。

ケアマネと仲良くなって、より細かで微妙な希望するサービスにも答えてくれるかも知れません。

介護士はまだまだ携われない!?


ケアプランが作成され、介護サービスを提供することが決まれば、やっと提供する介護施設に勤務する介護士の出番です。

しかも、どんな種類のサービスを提供するのかは、ケアプラン通りです。

もっと足腰を鍛えた方が良いと思っても、介護士は利用者の様子を報告できたとしても支援の変更を自ら行えません。

言い換えれば、利用者の希望に従って作成されたケアプランを無視してはいけません。

その範囲内で、工夫するしかないのです。

時に介護士によって異なる判断が下されることもあります。

手が不自由で、辿々しく口もとにスプーンを運ぶ利用者がいて、衣類に食べこぼしがあります。

「上手く食べられないので、(介護士に)食べさせて欲しい」という訴えがあったときに、「食事もリハビリです!」と言って介護士の介助を許さない支援もあるでしょう。

しかし、自宅復帰も無可能となり、施設での暮らしがすべてになった利用者にとって、時には介護士に甘えたくもなるでしょう。

それを「リハビリ」にならないという理由だけで、支援を出し惜しみすると苦痛しか残りません。

本当にそれを利用者が望んでいるなら別ですが、介護士からいつも「ダメ!」と言われるばかりでは、ケアプランが合っていないのかも知れません。

プラン作成時は、あくまで必要な公的サービスを組み合わせているだけです。

実際に支援が始まってみて、ケアプランに沿ったサービスが提供できているのか問われます。

介護士についても同様で、厳しい声かけを得意とした人が希望なら問題ないのですが、「うるさいでしょう!」と罵倒されるのは望んでいたものではないはずです。

介護士の限界は、ここに現れます。

ケアプラン通りが基本であり、本来は介護士の自己判断はとても限られた範囲しかありません。

ある利用者の介助に入る際、ケアプランを見たことがないという話はあり得ません。

介助の目的は何か?

どんな種類のサービスを希望しているのか?

期間や時間、さらには回数はどれくらいが理想なのか?

ケアプランを読めば、介助の目的や頻度を知ることができます。