ケアマネジャーとの関係
ケアマネジャーとは、現行の介護保険制度を運営するキーマンです。
彼らの働きぶりによって、公的介護サービスが左右されると言ってもいいでしょう。
しかし、以前の記事でも触れて来ましたが、専門家としての立場が十分に確立しているのかというと少し疑問もあります。
というのも、ケアマネジャーとしての業務だけは介護施設が運営できずに、各フロアーの現場責任者を兼務し、日程表の作成や各利用者の現場対応、もちろん介護士たちの相談役まで行うハード業務になっています。
ところが、例えば看護士と報酬面で比較して、特別な優遇を受けているとは言えません。
場合によっては、同年代の看護士で役職を持っていれば、太刀打ちできないことも多いでしょう。
つまり、業務に対する「単価」が異なるのです。
そうなると、ケアマネジャーとして求められる「ケアプラン」にどこまで真摯に向き合えるでしょうか。
日常業務を滞りなく運営することに追われてしまうケースもあります。
そんな介護施設では、行き届いたケアが利用者に行うことは難しく、現場の看護士がその場で判断するような対応となってしまいます。
結果的に、施設に介護方針や理念が用いられずに、介護士としては目指すべき支援が何なのか戸惑います。
新米介護士なら各介護技術を学ぶことも大切ですが、さらに上の介護を学ぶには向いていない施設になってしまうのです。
そんな結果もケアマネジャー次第だとすれば、特に現場と兼務している場合には彼らの踏ん張りが大切です。
看護士と先輩介護士との三角関係
病院や老健など、比較的看護士が多く勤める施設では、介護士も看護士と接することが多いでしょう。
医療的な役割を担う彼らは、介護施設の中でも「医療的処置」を中心に業務を行なっています。
また、利用者の容態が変化した時など、介護士としても心強い存在です。
しかし、未経験から入職できる介護士とは異なり、大学や専門学校などで3年以上看護を学び、国家試験に合格した彼らは、どうしても介護士を「下」に見ています。
見下しているという意味ではなく、流れとして「より利用者の生活支援」に関わる存在という意味で、「医療的処置」の面では介護士の意見を無視することもあるでしょう。
それだけ専門家としての判断を行なっているという意味だとすれば、介護士にとっては「緊張する相手」にもなります。
特に現場運営を担う先輩介護士にとっては、看護士からの確認や連絡に緊張するようです。
しかし、無理難題を突きつけているのではなく、利用者の状態を確認したのかや指示に従った作業を行ったのかなど、介護の業務に含まれる作業に関するものです。
一方で、介護現場でも指示を仰ぐ立場にいる後輩介護士にとっては、看護士からの確認に何と返答するば良いのか悩みます。
特に先輩介護士から詳細な指示を受けていない場合、「聞いていません!」と答えることもはばかられ、「あの〜、その〜」と何とも曖昧な対応となってしまいます。
これも別の記事で触れた部分ですが、先輩介護士こそ、現場を回す任務を忘れてはいけません。
後輩介護士に面倒な業務を振って、ステーションで事務仕事に更けるには、現場のモチベーションを下げてしまうからです。
もちろん、重大な業務があればその限りではありませんが、働かない介護士はいつでも忙しいふりをして、面倒な業務をしないのはいつものことなのです。
これから入職を考える未経験者との関係
これまで介護施設で働いてみて、未経験者の方が施設で働く場合、覚えておいて欲しいことがあります。
それは、疑問に感じたことの多くは、正当な常識と一致していること。
利用者が服薬する薬を介護士が扱うのは、責任重大な業務です。
なぜなら、血圧をコントロールする薬などは、服薬を忘れることができないからです。
そんな薬を利用者が飲み忘れたり、上手く飲めなかったりしないように介護士は特に気を使います。
そのためには、薬の数に間違いはないか、袋に記載された名前は合っているか。実際に服薬してもらったときに、袋に残っていないかなど、当然に気にしなければいけないことは、やはり介護士として働く以上、注意しないといけません。
それは、先輩介護士から指示を受けなくても、自分で感じ取り、確認するべきことなのです。
同様に、オムツ交換などでも、注意ポイントがあって、それらを業務の中で一つずつ覚えていることになります。
つまり、全く現場未経験者なら、初任者研修などで基礎知識を学んだ方が良いでしょう。
また、不安がある場合には、入職する介護施設でどのような研修や勉強会を行なっているのかも確認しましょう。
最初から報酬や待遇ばかりで決めてしまうと、折角介護士になっても、現場で何のために行っている作業なのかも分からないままになってしまうからです。
特に、ケアマネジャーが上手く機能していないと、先輩介護士の指示も自己判断によるものが多く、結果として利用者の希望が反映されない介護支援となります。
利用者と介護士に溝ができた施設では、心身機能の向上も期待できないので、ヤル気のある利用者や介護士ほど施設を去ってしまいます。
残されたメンバーだけでは、現状を改善することも難しく、これまでの業務を追われながらこなしていくことになります。
そんな施設で働くと、介護を間違えて覚えてしまうので、本当ならとてもやりがいある介護士という仕事も、誰でもできる仕事に格下げされてしまいます。
介護士が、プロとしての仕事になれば、報酬もアップされるでしょうし、看護士とも対等な関係で接することが可能な日も来るはずです。
しかし、まだまだそこまでの道のりは長いと言わなければいけません。なぜなら、看護士のスキルと介護士では大きく異なるからです。
事実、介護士として働き出し、一度休職して看護士になった人もいるほどです。
それくらい、両者の社会的な役割は異なります。
看護士同等とはいきませんが、ケアプランを把握した介護士を目指すことは可能です。