「介護職とは何だったのか?」こみちの見解

介護未経験だったこみちが見た「介護現場」とは?


こみちが配属された部署は、少し特殊な場所なのかも知れません。

ある意味で、こだわりやクセの強い利用者が多く、一般的な介護ケアでは満たされない人たちだからです。

それは、実際に配属されて言われた一言として、「こみちは利用者から受け入れられている」というものでした。

利用者に受け入れられなければ、新人教育期間を終えると同時に「異動」だったかも知れません。

それくらい「利用者から支持されること」が重視されます。

一方で、支持されるために、多くの介護士が使うテクニックがあります。

その一つが「声色」を変えることで、介護士はいろんなトーンで話しかけます。

また、「見えるところ」と「見えないところ」の区別もあって、上司からの評価につながる部分や、利用者から感謝されやすい作業を好む介護士も出てくるのです。

それもこれも、「異動」しないで今の職場に残っていたいからでしょう。

というのも、こみちの配属先となった場所は、ユニットケアを尊重し、少人数の利用者に手厚い介護支援を行います。

言い方を変えれば、別の部署ではもの凄いスピードでオムツ交換に追われたり、次から次へとトイレ誘導を行います。

もちろん、それも大切な介護支援ではあるのですが、どちらかというと「本当に必要不可欠な部分」を重点的に支援していると言えるでしょう。

その意味では、利用者とじっくり話たりする時間も少なく、「傾聴」や「共感」は最小限に抑えられているのかも知れません。

そうでなければ、より多くの利用者を限られた介護士だけで回せないからです。

「ユニット」は、そんな介護現場を見直し、寄り添う介護を実現しようと考えられたケア方法です。

実際に、個々の利用者と話す時間は作りやすいですし、それぞれの性格や好み、個性などもしっかりと掴めます。

ところが、実際の「ユニット」ではきめ細やかな介護支援が行われているのかはとても微妙な部分です。

というのも、「何を基準にきめ細やかな介護」と言えるのかは、見解に差が生じます。

ある介護士にとっては、介護事故を回避し安全に暮らせる介護をモットーとするかも知れません。

それ故に、利用者の希望よりも無事故を優先した判断になることもあるでしょう。

場合によっては、利用者が要求しても「安全性」が担保できる範囲でしか介護しないということも起こり得ます。

別の介護士は、利用者に生きがいや充実感を得て欲しいと判断の許す限りいろんなことを企画したかも知れません。

しかし、良かれと思った作業は、サービス残業扱いとなり、人事面でもほとんど評価を得られなければ、「利用者のために好きでしているだけ」になってしまいます。

それでも「利用者が好きで」信念にブレがなければ問題ありませんが、介護職として少しでも出世や報酬アップを期待しているなら、介護事業者選びは慎重さも必要です。

仕事内容の充実度と報酬アップがリンクしているとは限らないので、「良い職場だけど仕事は大変」とか、「報酬は高いけれど、それ以上に見えないサービス残業も多い」など、それぞれの施設で特徴があるからです。

なぜこみちは、老健を最初の施設に選んだのか?


介護施設といえば、特養やデイサービス、訪問介護などをよく耳にしていました。

それ以前に介護職として適性がないと思っていたので、合わなければその時に考えようというくらい続かないことも想定の範囲でした。

一方で、介護職としてできるだけいろんなことを経験できるのは、「医療と介護」「利用者支援の充実度」「認知症利用者から医療支援者」と幅広いタイプを経験できるのが「老健」のイメージです。

実際に老健にはいろんな利用者が入所してくるので、いろんな見地に基づいた幅広い経験が期待できます。

ただ、見地広めたとしても、介護現場でどれだけ維持されているかは別問題です。

なぜなら、一般のサービス業のように利用者ファースト100%ではなく、介護士それぞれが持つ独自の介護理念やこだわりで、対応するしないが出てきます。

利用者が要求しても、しっかりとした説明もしないで「拒否」や「無視」が起こるからです。

こみちとしては、対応できない時こそ、丁寧な説明が必要だと思っています。

そして、理解をしてもらうには日ごろからの関係性が大切です。

上司に評価されるポイントだけという働き方をしている介護士は、利用者を怒らせないようにしても、満足させたいとは思っていません。

もっとも、体力に任せて、全ての要求に対応していたら、身体を壊してしまう人も出てくるでしょう。

「靴下を履かせて、脱がせて」

これだって、「どうしますか?」と一度要求をストップしなければ、本当に永遠に繰り返されることがあり得ます。

だからこそ、利用者をコントロールしようとする介護士が現れるのです。

「利用者の自立心」や「個人の尊重」はどこに行ったのか?


介護理念の根幹を揺るがしかねない現場の方針に、夢みがちな介護士は困惑します。

時間的、体力的、環境的側面から、理想の介護ケアも限界値が異なるのです。

「介護士はどこまで対応するべきか?」しかし「報酬アップ」は期待できない。

そうなってしまうと、介護士のモチベーションは、何で保たれるのでしょうか。

こみちの場合は、本当に利用者たちです。

もしも彼らが感情を持たないロボットだったら、こみちは介護職を続けられなかったでしょう。

そうなれば、「老健から特養が良いの?」、それとも「グループホーム?」と考えても、施設の種類よりも方針や現場環境の方が重要だと感じました。

最終的には、「楽しく働けるかどうか?」に行き着きます。

ただ、楽しく働ける場所は、介護業界以外にもあるはずです。

それだけに、「どうして介護だったのか?」自分なりの答えを見つけておくのもポイントです。

こみちの場合、もう介護職がという視点ではなく、利用者たちが好きで働いている状態でしょう。

それくらい利用者は魅力的ですが、介護職としては「つまらないこと」も多いです。

未経験の方には、是非とも挑戦して欲しい仕事です。

一般的なサラリーマンとも違いますし、いろんな経歴の人が働いています。