未経験からのスタート
これまで介護業界に縁がなかった人も多いでしょう。
実際、こみちもそうでした。
中高年のこみちにとって、転職をせざるを得ない状況になり、自分に何ができるだろうかと考え始めて、思い悩んだ末に見つけたのが「介護業界」でした。
介護だからと言うよりも、「介護業界に挑戦するしかない!」と言うのがホンネで、本当に自信もなかったですし、「ダメ元」くらいの気持ちだったのです。
このブログでも紹介しましたが、こみちの場合はいきなり就活を始めたのではありません。
ハローワークを通じて「職業訓練」を申請し、「実務者研修」を受講しました。
タイミング的に、初任者研修も選べたわけですが、実務者研修を選んだのは「介護のことをより詳しく教えてもらいたかったから」です。
少し語弊のある説明をするなら、初任者研修では「寄り添いが大切」だと教え、実務者研修では「寄り添いとは何か?」を学びます。
このように、介護に関連する知識や技術を学んで行くのですが、同じような研修でも、その目的が異なります。
と言うのも、初任者研修が「現場での即戦力」を期待するのに対し、実務者研修では「3年以上の実務経験を経て、介護福祉士になる」を目指します。
介護福祉士がら、ケアプランを作るケアマネにもなれ、より介護の核心を担う立場も視野に入ってきます。
いきなり介護士として働くことに戸惑う人は、ハローワークで相談したり、就活フェアやスクールなどを調べてみてもいいでしょう。
入職して覚えること
介護施設と言っても、実に様々な種類の施設があります。
さらには、施設によって介護支援の方法や方針に差があって、すんなりと受け入れられるものもあれば、なぜそんな風にするのだろうと戸惑うこともあるはずです。
そんな違和感は、それだけ生活スタイルに差があって、人はいろんな生き方をしている証拠とも言えるでしょう。
しかしながら共通点もあって、特に「衣食住」に関する部分ほど差が少ないはずです。
そこで、入職して覚える項目は、1日の流れと言うことになります。
何時に食事をするのか、その後はどう過ごすのか、それを知ることで自分が何をしなければいけないかも理解できるでしょう。
当面の目標としては、「トイレ誘導」がポイントになります。
その利用者が一人で立てるのか、歩けるのかによって、介護士として気をつけるポイントが異なるからです。
利用者の中には、「トイレ」そのものを理解していないこともあります。
ゴミ箱をトイレと勘違いしたり、便器の水で手を洗おうとするかもしれません。
そこで、「ズボンを脱ぎましょう!」と言うように、手順を説明する必要も出てきます。
同様にお茶を入れる際も、熱いまま気にせずに飲んでしまうかも知れません。
しかし、美味しく飲みたいと思う利用者もいて、温い温度を好まないこともあるでしょう。
つまり、その利用者に合わせた「お茶」をいかに提供できるかも、介護士の仕事になってきます。
オムツ交換をマスターする
介護士としての壁とも言えるのが、オムツ交換でしょう。
こみちも失敗して覚えました。
オムツ交換の失敗とは、装着が不適切なために横漏れしたり、肌を傷めてしまうことです。
「褥瘡(ジョクソウ)」と言って、同じ姿勢を続けることで肌への圧迫が原因となり、表面が剥離することがあります。
そのためにも定期的な体位変換が必要で、基本的には2時間程度で身体を動かします。
ベッド上にいる利用者に多いのですが、実は一日中車イスに座っている利用者でも起こります。
柔らかいクッションを敷いたり、定期的にお尻を動かしたり、いろんな方法で褥瘡予防が必要なのです。
その意味では、2時間くらいでトイレに誘導をすると、肌への負担は軽減されるでしょう。
オムツ交換のポイントはいくつかあります。
最終的には利用者との信頼関係が大切なのですが、介護士として覚えておきたいのは、オムツ交換は利用者の衛生を保つ行為だと言う部分です。
つい、手順ばかりを気にしてしまうのですが、装着が不適切では褥瘡や異臭の原因となり、快適な生活が送れません。
そのことを念頭に置き、オムツ交換の手順を覚えましょう。
「自分で見て違和感がないこと」
上手に交換した時は、オムツが身体にフィットしています。
しかし、装着の位置が適切でないと、余分な隙間や左右のズレが現れます。
また、ゴワゴワしたままだと、利用者の不快感も残るでしょう。
腰回り、足の付け根などは、特にゴワゴワしやすいので確認が必要です。
現場で求められる目安は、一回の交換で5分と覚えておきましょう。
もちろん、状況によっても異なるのですが、中には20分くらい掛かってしまう介護士もいて、その間、他の介護士がカバーしなければいけないことも知って欲しいのです。
最初は時間のことは気にしなくてもいいでしょう。しかし、いつまでもそう思うのではなく、「オムツ交換」も他の仕事と同じで速やかに終えることが利用者の負担を減らすポイントなのです。
食事介助のポイント
オムツ交換が苦手でも、食事介助ならできると言う介護士もいます。
忘れてはいけないポイントは、利用者にとって心地よい食事を心掛けること。
介護士の都合で食事を急かし、まるで一気飲みするような食事では食べた気もしないからです。
中には短時間で食べさせることを「スキル」と感じている介護士もいるのですが、栄養を取れなくなった利用者に対して食べるように促す行為とは目的が異なります。
実際、お腹が空いていても口をなかなか開いてくれない利用者はいます。
そんな利用者に上手な促しはスキルとも言えますが、利用者が顔を歪めながら無理やり食べさせられている姿は、決して適切な介護ではないでしょう。
しっかりと飲み込んだことを確認しながら、利用者の食事ペースに合わせたいものです。
そこからどう進んで行くのか?
上記のような基本スキルが身につく頃には、もっと幅広い視野となり、介護への期待も膨らんでくるはずです。
同じ施設でさらに経験を重ねる人もいるでしょうし、別に施設でと考える人もいるのではないでしょうか。
同じ施設が良い部分は、慣れた環境なので働きやすいと言うことでしょう。
別の施設を目指す理由は、やりがいや幅広い視野の他、報酬や待遇面もあるはずです。
地方の施設と都心部ではかなり報酬額に違いがあります。
また、高齢者介護と障がい者介護のように、対象となる利用者が異なることもあるでしょう。
高齢者の支援を経験し、障がい者支援に興味を持つこともあれば、その反対だってあり得るからです。
いずれにしても、基本スキルが身につけば、そこからは自分の目指す環境で働けるのもポイントです。