現状からの脱却を図るには?

今を知ることから始める


こみちと同じ中高年の方なら、今後の生活にいろいろと思うことがあるでしょう。

特に体力に任せた働き方に行き詰まりを感じると、働き方そのものを見直したくもあるはずです。

しかし、中高年での転職活動を経験すれば分かりますが、「年齢の壁」というものは想像以上に高く、こみち自身も面接などで「そこまで言われてしまうのか?」と採用そのものを自分から断ったこともありました。

例えばこみち自身のことで言えば、一般的な介護士とは異なるアプローチをしているのかも知れません。

と言うのも、今は介護における排せつなどの業務にも慣れてきて、特別な意識を持つこともありません。

以最近までは、担当するコースによって利用者の顔ぶれをチェックし、何人いるとか、苦手な〇〇さんがいるとか、いろんなことを気に掛けていたからです。

当たり前のことですが、「オムツ交換」は利用者のデリケートな介助です。

される側になれば、「動かないで!」「右!」「左!」と命令されながらされたいものではありません。

言い換えれば、「手順」というのは「前提部分」であって、利用者がいかに心地よくサービスを受けられるかが「介護士の課題」です。

原則的なことを言えば先のスケジュールを教えてもらえると、それだけ安心感も高まります。

そうだとすれば、オムツ交換の先にも「これからお尻をキレイにしましょう!」という声掛けが有効なのです。

もちろん、その前には介護士があいさつをして、ベッド状況の利用者に体調や交換のお伺いをすることもポイントです。

左右が理解できない利用者には軽く腰当たりに触れて、「こちらを少しあげましょうか?」とズボンを脱がせるための誘導へと繋げます。

これも実体験ですが、ある介護士がオムツ交換を見せて欲しいというので、見てもらったことがあります。

その際に言われたのは、「この利用者って、こんなに動けるんだ!?」ということでした。

こみちにすれば、利用者がベッド上で身体を動かしてくれることは当たり前で、洗浄している時も割と動いたりはしません。

というのも、「少し冷たいかも知れませんよ」などと作業を説明するように心がけ、「もう少しで終わるからね!」と我慢する時間を告げています。

軽度の認知力の低下があっても、これまでの経験で言えば、利用者はとても友好的に動いてくれます。

中には「悪いヨォ!」と言ってズボンを強く握っている利用者もいますが、拒絶ではなく、オムツ交換そのものを申し訳ないと感じていたりもします。

「ネェ、キレイにしましょう!」

そんな時は、だいたいオムツ中は大変な状態になっています。

それでも作業を終えてズボンを履く頃になると、利用者も「ありがとね!」などと労いの言葉を言ってくれたりします。

「スッキリしましたね!」

車イスで移動する利用者はすっかり落ちつき、「オヤツ食べようね!」と話し掛けるとニコニコしてくれたり、「楽しみ!」と言ってくれたりします。

でも時々、「こみち、いつの間にか居なくなるでしょう!?」と鋭い突っ込みを返してくれることもあります。

というのも、オムツ交換は始まったばかりで、誘導したら次の利用者へと向かいます。

テーブルまで案内すると、そこで別の介護士にバトンタッチすることになっていることもよく知っているのです。

「アハハ。そっかそっか、バレてましたね」

こみちが問いかけると、「いつもそうだろう!」と怒られたりもするのです。

「次の人が待っているから行きますね! オヤツ食べてくださいよ!」

利用者の肩に触れながら伝えると、もうスイッチを切ったのか腕組みをして目を閉じてしまうこともあります。

実際こみちよりも手早く作業される介護士はいます。

感覚的にはこみちのスピードは、「平均的」ではないでしょうか。

以前はもっと早くしようと思っていたのですが、これ以上手早さを優先すると利用者との関係が崩れてしまい、作業命令的になりそうなので止めてしまいました。

また、オムツ交換を済ませてから次の作業まで時間は余っていますし、使用したワゴンの補充や記録などをしても、特に遅過ぎるということもありません。

だったら、スピードよりも「質」を意識した方が良いと感じるのです。

介護士と営業マン

介護士という仕事は、いろいろな職業とダブります。

その一つが「営業マン」でしょう。

営業マンが行うセールストークが、介護士の声掛けとよく似ています。

商品やサービスを売りたいのが営業マンですが、「買ってください!」では客も振り向いてはくれません。

営業先では、天候や時事ネタ、ゴルフなど、相手の趣味や興味に合わせた話題が不可欠です。

「雨が続きますね。すっかり足もとが濡れて大変です!」

自分頑張りアピールは、聞かされた方が気を使います。

つまり、先のような例は好ましくありません。

「コロナでゴルフご無沙汰でしょう!? 私も行けなくてグラブばかり磨いています」

ゴルフ好きな相手なら、何か返してくれるかも知れません。

もしもスルーされたら、もう一つ別の話題を挟むのもいいですが、あっさりと本題に進んで先日納品した商品の調子や問題点などを聞いてもいいでしょう。

営業マンも介護士も相手反応次第でトークが変わります。

一方的な押し付けをしていれば、段々と相手から拒絶の対象になってしまうでしょう。

声掛けがうまくできない人は、そのままでは営業マンとしても活躍が難しいことになります。

ただ介護士の場合なら、一方的な押し付けでも、利用者が我慢してくれているに過ぎません。

勘違いしやすいポイントです。

介護士だから通用する働き方を続けていても、この先、異業種で成功は期待できません。

その部分はしっかりと認知するべきでしょう。

今の自分を知ることは、次の可能性を見つけるための準備なのです。

明日を掴んだ人の特徴


こみちはイラストを描いたりもしています。

ひっそりとYouTubeデビューもしているのですが、現時点での成果はほとんどと言っていいほどありません。

ただ、無駄かというとそんなことはなく、学ぶことも多いですし、課題や気づきもたくさんあります。

これから「明日を掴む」ためにも、成功者の行動を観察することは有益です。

そして、いろんな方法がありますが、どうやらこんなことではないのかと思っているポイントは「相手反応」を念頭に入れることでしょう。

例えば、イラストを描いても反響はほとんどありません。

有名人が描いた訳でもなければ、無名のこみちが描いたイラストなど多くの人にとって関心もないでしょう。

当たり前の話です。

ゴルフ好きな営業マンが営業先で自慢しても引かれるように、「描きました!」では見る気も起こりません。

見せ方や一捻りが必要なのは、「見てもらいやすくする心配り」の表れです。

今、その部分で試行錯誤しています。

どちらかというと、「描くことが好き」なだけなので、見てもらえる工夫をしていません。

介護士として、また営業マンとしてなら、きっとそんな振る舞いは続けていないはずです。

しかし、次を掴んだ人は、これまでの経験を土台にして前に進んでいます。

少なくとも、経験を「形」にしなければ、次もまた経験を積む作業が続きます。

例えば今のこみちが介護士を辞めたら、施設勤務のことやオムツ交換のやり方には触れられるでしょう。

しかしそれ以上のことはまだ未知の領域です。

よくある「いい施設選ぶのポイント」というワードも、値段や設備、サービス内容だけで判断するのは「介護士経験」を活かした内容ではありません。

情報を集めて比較する「ライター」でもよく使う手法だからです。

利用者の日常生活を豊かにするための配慮は、大変な苦労の割になかなか成果が見えない部分で、施設長はじめ各担当者の意識が高くなければなかなか到達出来ません。

それはスペックには現れないポイントで、現場経験が不可欠です。

しかも、作業をこなすだけでは気づかないポイントでもあります。

時間に追われやすい介護士は、利用者を想いながらも寄り添えないジレンマも多いのです。

一人では改善できないこともあるからです。

その意味でも、単純な現場経験ではなく、その経験を活かせる「次」を想定しなければなりません。

きっと、成功を掴んだ人は、そこに早くから気づき、行動してきたのでしょう。

職業の良し悪しではなく、どの職業でもいいので「形」にすることではないかと考えています。