英文法解説: 時制とその使い分け 【TOEICやセンター試験対策】
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さまざまな翻訳ツールのおかげで便利になりましたが、それらのツールが作った英文が正しいのか修正が必要なのか判断するには確かな英文法の知識が必要です。 この記事では、特に間違いやすい時制 (tense) の使い分けやポイントについてまとめました。

現在形、現在進行系

現在の習慣や客観的な事実は現在形で表し、一時的で流動的な状況は現在進行系を使います。

同様に過去の出来事や習慣は過去形で表し、過去のある時点で進行中のことは過去進行形を使います。

She only does what she is told to do.

これは彼女の習慣 (性格) なので、現在形を使います (wasではない)。

次の2つの使い分けはどうでしょうか?

I am living with my mother.
I live with my mother.

上の文は現在進行系なので、何かの事情で一時的に一緒に住んでいるという意味です。下の文は現在形なので、ずっと一緒に住んでいるという意味が込められています。

He is smart.
He is being smart.

この2つの違いも同じように考えます。上の文章は現在形であり、彼は賢いという意味です。一方で下のように現在進行系にすると、一時的に賢い、つまり利口ぶっているという意味になります。 現在形なのか、現在進行系なのかで、大きな違いがあります。

習慣的なことは現在形で表すのが原則ですが、forever (絶えず)、always (いつも)などの習慣を表す副詞がある場合には現在進行系を使うこともできます

He complains about his boss.
He is always complaining about his boss.

これはどちらもOKです。使い分けとして、現在進行系にした場合には話し手の苛立ちがニュアンスとして含まれます

動作を表す動詞の現在形・現在進行系

become (なる) やget (得る) など動作を表す動詞を現在形で使うと、「いつも〜する」という習慣の意味になります。

This law becomes outdated.(この法律はいつも古くなる)
This law is outdated.(この法律は古くなっている)

したがって、上の文では状態を表す動詞is (今~である) の方が適切です。

現在進行系で使った場合には、流動的な意味合いになります。

This law is becoming outdated.(この法律は古くなりかけている)

状態を表すbe動詞以外の動詞

状態を表す動詞はbe動詞以外にもいろいろあります。例えば、have (持っている)、see (見える)、like (好きだ)、know (知っている) 、hear (聞こえる)などです。 これら状態を表す動詞は、今の一時的なことであっても現在形で使われます。 例えば「聞こえていますか?」という意味では

Are you hearing me?

のような現在進行系ではなく、

Do you hear me?

と現在形で使うということです。

この項の注意点として、どんな動詞も現在進行系を作れるわけではないことを挙げたいと思います。進行形にできるのは、意図的にしている (そうしようと思ってしている) 場合のみです。

例えばthinkには「思う」と「考える」という意味があります。「思う」のは意図的ではないので、I am thinkingという表現はありません。

一方で「考える」のは意図的にしていることなので、

I am thinking

という表現を使うことができます。

未来を表す現在形と過去形

時や条件を意味するwhen ~ やif ~ の副詞節の中で未来のことを表す場合には、未来系を使うわけではありません。

時・条件を表す副詞節中での未来の表し方
ルール1: 「現在」からみた未来のことは現在形で表す
ルール2: 「過去」の時点からみた未来のことは過去形で表す

たとえば、

We'll go when you are ready.

(あなたの準備ができたら、というのは現在から見た未来のことなので、whenの中では現在形で表しています (when you will be readyではない)。

If anyone calls me, please let me know.

これも未来のことを話していますがifという条件の副詞節の中では現在形になります。

I told her to wait until I got back.

「戻るまで待つ」というのは、言った過去の時点からは未来のことですが、untilという時を意味する副詞節の中にあるので、ルール2に従って過去形になります。

現在進行形と未来進行形の特殊な用途

進行しない動詞の現在進行系は「〜しかけている」

Stopやfinish、catchのような一瞬で終わってしまって「進行」しない動詞の現在進行形は、〜しかかっているという意味になります。 例えば

I am catching a cold.(今風邪をひきかけている)
I catch a cold. (私は毎年風邪をひく)

ちなみに「今風邪をひいている」と言いたい時には

I have a cold.

となります。

進行形で「近い未来の予定」も表せる

進行形は、近い未来の予定を表すこともできます。

I am going shopping on Sunday.(日曜日は買い物に行く予定だ)

ちなみに「買い物に行く」にも2種類あり、1つはある意味娯楽としての買い物で、この場合はgo shoppingです。
もう一つは生活の維持に必要な買い物 (スーパーで食料品を買うなど) で、この場合はdo the shoppingといいます。動詞や、theが必要かどうかが変わるので間違えないようにしましょう。

未来進行形は「控えめ表現」

未来進行形はwill be 動詞ingの形になり、未来のある時点で〜している最中だろうという意味合いが有名です。 しかし未来進行形にはあまり知られていない意味もあります。それはwillが持っている意志の意味を排除して、控えめな表現にするニュアンスです。 例えば、

How long will you stay here? (どれくらいここに滞在するつもりですか?)
How long will you be staying here? (どれくらいここに滞在することになりますか?)

の違いとか、

Will you come to our party? (私たちのパーティーにきてくれますか?)
Will you be coming to our party? (私たちのパーティーにお越しになりますか?)

といった違いがあります。

未来進行形は丁寧な言い方なので、お客さんへのアナウンスにもよく使われています。例えば新幹線のアナウンスで

We will soon be arriving at the Fukuoka terminal.(もうすぐ終点、福岡に到着します)

などと言われます。

余談ですが、交通機関の発着は未来のことであっても現在形を使うのが普通です。例えば、

The next bus arrives at 10:00 and gets to Tokyo station at 10:30.

のように現在形で使います。

現在完了形

現在完了形はあくまで現在に意識が置かれている

過去のことを念頭におきながら現在のことを話す場合には、現在完了形を使います。あくまでも現在に意識が置かれた現在形の一種であるということが大事です。

文法の教科書によると、現在完了形には4つの用法があります。
1) 完了用法: 過去に始めたことが現在終わっている
2) 結果用法: 過去にあったことの結果、現在こうなっている
3) 経験用法: 過去から現在までに〜したことがある
4) 継続用法: 過去から現在までずっと〜だ

しかしこれらの区別はあいまいですので、こういうものがあると知っておくだけで構いません。少し例を見ていきます。

Your card has expired. (カードの有効期限が切れている)

有効期限が切れたことをこのように現在完了形 (結果用法) で表現しています。もし現在形で表現すると、一般的事実の意味合いになります。

Your card expires. (あなたのカードの有効期限は切れるものだ)

過去を表す言葉があると現在完了形は使えない

もしyesterdayなど過去を意味する言葉がある場合には、現在完了形は使えません (あくまで現在完了形は現在形の一種なので)。その場合は過去形にします。

Did you go to the concert yesterday? (Have you been to ~ ではない)

会話では現在完了形を過去形で表現することがある

Justやeverがある時には、現在完了形を過去形で表現することがあります (特に会話)。

I just got home.

完了形の継続用法

継続用法、つまりずっと~しているという表現の場合は、普通の完了形か完了進行形を使います。 進行形にできない動詞を除いて進行形にすることが多いですが、workやstudyのようなそれを続けることができる動詞は完了形も完了進行形も可能です (その場合は完了形だと事実を客観的に伝え、完了進行形は感情を込めて伝えるニュアンスの違いがあります)。 例えば、

I have worked here for three years.

は3年間働いているという事実を伝え、

I have been working here for three years.

はより感情を込めたいい方です。

過去の順序の表し方

過去完了形は、「過去のある時点」までの完了、結果、経験、継続を意味します。 また、過去のある時点からさらにさかのぼった時点での出来事を表す大過去と呼ばれる用法もあります。

When I got there, he left.

これはどちらも過去なので、私がそこについた時に彼が立ち去ったという意味です。これに対して過去完了形を使った

When I got there, he had left.

にすると、私がそこについた時には彼は立ち去っていたという意味になり、彼が立ち去ったほうが時間的に前であることを表現できます。

もし連続する複数のイベントを古い方から新しい方へ順番に表すなら、全て過去形にします。

He sat a chair and told the story.

関連図書

この記事に関連した内容を紹介している本やサイトはこちらです。

英文法の基礎:第1-3文型の盲点 【TOEIC高得点を目指すために】

カランメソッドステージ10までの体験談【レベル・所要時間・効果】

まとめ

最後に今回の内容をまとめます。

  • 文法的に正しくても、ニュアンスが違うというのはよくある。使い分けを知るのが大事
  • 時や条件を表す副詞節の中では未来形を使わない
  • 現在進行系はあくまで現在形の一種である

今日も【医学・生命科学・合成生物学のポータルサイト】生命医学をハックするをお読みいただきありがとうございました。

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