夜のバスとUFO

せまい座席に二人乗りして

バスはだんだん山へと走った

トンネルの電灯に照らされて

オレンジ色に君は

いつもの三割増しに顔色が悪く

まるで本当にこれから

二人で死にに行くような

そんな気がした



バスは湖のほとりで止まり

顔色の悪い七三分けの男を乗ってきて(私たちは彼をこっそりダザイと名付けた)

水をしたたらせながら

「このバスはどこへ向かうんですか?」

そうたずねてきた

バスはどんどん山をのぼっていって


「私たちはきっと

「山奥の宗教施設かあるいは

「広い霊園へ向かっているんです

「きっとそこではでっかい十字架が

「ネオンライトみたいに光っていて

「きっと私たちはそこで

「キラキラ光るものに

「救われてしまうんです」



バスはどんどん山をのぼっていく

ふと君は目をさましたように

「あ、UFO」

そう叫ぶ

僕らの進む先に

ネオンライトみたいなキラキラが

くるくる回って

光って

ダザイも私も口をあんぐりあけて

バカみたいにその光を見つめた

君はUFO、UFO、とはしゃいで

ああ私たちはきっと

そろそろ救われるんだ

そんな気がした

夜のバスとUFO

オーケンとヨースイのぱくり

夜のバスとUFO

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-10-25

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