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【中学入試国語】過去3年でよく出題された小説・物語文ランキング2【6位~10位】

中学入試国語よく出題された小説物語文ランキング

 前回に引き続き、過去3年の中学入試に出題された国語の小説・物語作品のランキングです。まず最初に最近よく出るテーマについてお話しようと思います。

 

・狙われやすいテーマ

・他社理解→男子校で女子が主人公、女子校で男子が主人公。世代間や、異国文化など異なるカテゴリの人に対する心情理解、それによる成長。

・現代社会が抱える問題→格差、いじめ、ヒエラルキー、学級崩壊等)

・身の回りに起きる問題→家族間、親子間、兄弟間の仲たがい→成長。これは典型的な問題)

 

・よく出る物語文ランキングベスト5

 前回の記事でベスト51位~3位(3位が3作品)の紹介をしました。

1位小嶋陽太郎「ぼくのとなりにきみ」
2位 こまつあやこ「リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ」
3位 瀬尾まいこ「あと少し、もう少し」
3位 佐藤いつ子「キャプテンマークと銭湯と」
3位 佐川光晴「4本のラケット」(『大きくなる日』所収)

この紹介記事は↓ベスト5はこちら↓

 

 

では、ランキング6位以下を発表

6位 森絵都「クラスメイツ<前期><後期>」

・入試出題回数6件
・(共学校)青山学院横浜英和、暁星国際、城西大学附属城西、星野学園 他

中学1年24人クラスメイト、その1人1人を主人公にした24のストーリーで思春期の1年間を描く短編集。うれしい出会いや、ささいなきっかけの仲違い、初めての恋のときめき、仲間はずれの不安、自意識過剰の恥ずかしさや、通じあった気持ちのあたたかさ。子どもじゃないけど大人でもない、だれもが身にしみるリアル。シリアスなのに笑えて、コミカルなのにしみじみとしたユーモアでくるんだ作品集。

・[コメント]発売は2014年5月、以降、中学入試問題として頻出している。短編集で入試としても使いやすい。中学生1年が主人公ということで中学受験にもってこいの素材。2015年の入試には特に数多くの学校で出題された。入試問題の素材は前年春先に決めることが多いため3~5月に出版されるものは翌年使われる確率が高いらしい。 

 

6位 辻村深月「1992年の秋空」(『家族シアター』所収)

2年の秋空」(『家族シアター』所収)
・入試出題回数6件
・(女子校)大妻嵐山、頌栄女子学院、昭和女子大学附属昭和(共学校)開智未来 他

近くにいるから傷つけ合う。遠くにいてもわかり合える。
大好きだけど、大っきらい--読めばきっと、あなたの「わが家」に帰りたくなる。
家族を描く、心温まる短編。 

 [コメント]キャラクターが違う1歳差の姉妹に起きるできごと。性格が違うので他社理解という切り口。過去に麻布、洗足、慶應藤沢でも出題されたことがある。

 

8位 朝比奈あすか「君たちは今が世界(すべて)」

・入試出題回数5件
・(男子校)海城、開成、サレジオ学院(女子校)大妻 他

六年三組の調理実習中に起きた、洗剤混入事件。犯人が名乗りでない中、担任の幾田先生が放ったその残酷な言葉は、子どもの世界に終わりと始まりを連れてきた。いじられ役、優等生、『問題児』、クラスの女王の親友。教室での立ち位置がまったく違う4人は、苦悩と希望を抱えながら自分の居場所を必死に探し求めていて…。教室というちっぽけな王国の先に、本当の世界が待っている。

[コメント]2020の開成、海城で同一素材が使われたということでザワついた。使用された箇所は2校で異なる。朝比奈あすかさんは早実の人間タワーなど、他作品も出題されている。開成で使用された文章は、女子の駆け引きという素材。男子校に出すことにより他者理解の解釈が必要になる。

 

受験ドクターの2020開成国語の解説


8位 水野瑠見「十四歳日和」

・入試出題回数5件
・(男子校)海城、暁星(女子校)学習院女子(共学校)慶應義塾湘南藤沢、帝京大学 他

四人の十四歳に起きる、それぞれのできごとや心情の動きを描いた、オムニバス形式の物語

・[コメント]2019年8月発売から間もないはずの、2020年の入試に5校出題された。日能研の12月の合格判定模試でも使用された。発売翌日(8/23)のアマゾンレビュー第一稿に「中学受験の題材にぴったり」というレビューがありその通りの結果となった。

 アマゾンの第1レビューはこちら

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10位 椰月美智子「しずかな日々」、他

・入試出題回数4件
 (男子校)鎌倉学園(女子校)桜美林(共学校)日本大学藤沢

おじいさんの家で過ごした日々。それは、ぼくにとって唯一無二の帰る場所だ。ぼくは時おり、あの頃のことを丁寧に思い出す。ぼくはいつだって戻ることができる。あの、はじまりの夏に―。おとなになってゆく少年の姿をやさしくすこやかに描きあげ、野間児童文芸賞、坪田譲治文学賞をダブル受賞した感動作。

[コメント]家族の絆がテーマ。2006年に発売されて以降、鉄板となっている。2018-19では4件だが、2008年~2017年で32校(年平均3.2校)出題された。首都圏中でも慶應藤沢、芝、早稲田、筑波大附属、国学院久我山、暁星、獨協埼玉、江戸川女子、富士見、共立女子第二、都市大付属等で出題されている。

 

その他

注目作品として、以下の作品を紹介します。

宮下奈都『つぼみ』

つぼみ、に所収されている短編が2020年に麻布、武蔵で出題されました。

「まだまだ、」2020麻布、2018海城他
「なつかしいひと」2020武蔵

同作者の作品「スコーレ№4」の主人公麻子の妹や叔母をめぐる物語。自分の人生と向き合い、悩み葛藤しながら前に進んでいく人たちが描かれている、全6編。

 [コメント]2020年麻布の問題で2018年海城と同じ出題だったこともあり、過去問などで解いたことがある受験生が多く入試終了後ざわつくことに。また2020武蔵でも「なつなしい人」が出題。2018年にも「つぼみ」から神奈川学園、横浜雙葉で出題がありました。短編の取り扱い方にもよりますが、「つぼみ」全体を一作品とすると8位以上に相当します。

朝倉かすみ『ぼくは朝日』

出題校:2020筑波大学附属駒場、慶應義塾普通部

小学4年生の朝日を中心に、マイペースな父、母代わりのしっかり者の姉、愛猫のくろちゃん、そして家族を取り巻く個性豊かな人々。
ともに笑い、泣き、怒りながら家族の絆は強くなっていく。アットホームな家族の予想外の結末!あなたの目頭はきっと熱くなる。 

 [コメント]2018年11月という新刊で、2020筑駒、慶應普通部という中学受験全体に影響を及ぼしそうな難関上位校でこの作品が出題されたので注目ということで取り上げました。

 

1位~5位はこちら↓

 

・さいごに 

 いかがだったでしょうか?面白そうな本が多そうだという感触を持ってくれたらうれしいです。前回も書きましたが、面白そうだからちょっと読んでみるぐらいに考えて、あまり勉強とか力をいれすぎないほうがいいと思います。1冊でも読めばちょっと見方も変わってくるように思います。

今回はここまでです。では。

 

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