※お知らせです。
急用が出来て明日一泊の予定で大分まで行って来ます。
返信等、遅くなるかも知れませんが、悪しからずお許しください。
マトリックスA
店のドアに「準備中」の札を掛けて、僕らは遅い朝食を食べに出かけた。
第15話文末
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「もうひとつのラスト」 第16話
僕らは手をつないで歩き始めた。
「え、ピザ?」
「浩史、ピザ好きじゃ無かった?」
「いや、好きだけど・・・朝からピザはちょっと重くないかなと・・・」
香瑠は無言で繋いだままのぼくの左手を持ち上げた。
「いま、何時?」 言われるまま腕時計を見てみた。
「10時38分」
「よく見て、もうすぐ10時40分だわ」
「確かに・・・」
「ここから『BENITO』まで何分かかる?」
「・・・7・・8分くらいか・・・」
「そして、メニューを見てオーダーして焼きたてのピッツァが私たちのテーブルに並ぶのは?」
「分かった、君が正しい。朝食じゃない。ブランチだね」
「分かればよろしい」
持ち上げられていた僕の左手が、繋いだままだけど香瑠の力から開放され、引力の法則に従った。
おまけなのか、慣性の法則?もしくは香瑠の力が働いて、腕が揺れ始める・・・。香瑠が鼻歌を歌い始めた。それは明らかに「フニクリ・フニクラ」だった。
やがてぼくらの行く手に、小さなフラワーショップが見えてきた。その向こう隣りに、白い壁のイタリアンレストラン『BENITO』がある。
ドアの少し手前から赤レンガを敷きつめたテラスになっていて、それは通り際まで続いている。
店内のものもそうだが、テーブルもチェアもオーナーが自らイタリアで求めたものと聞いた。ちょっと洒落ている。
テラスと店内とは、大部分をガラス窓で仕切られているのだが、床から軒先まで続く、高くて広いそのガラス窓は、薄茶色の木枠が縦横に走る格子となっていて、白い壁と赤茶色のテラスの間に絶妙なバランスをもたらしている。
香瑠は僕と手を繋いだままドアの前を通り過ぎてテラスの手前で立ち止まり、僕を振り返って言った。
「素敵!ここにしましょ、ここで食べたいわ!」
香瑠はとても嬉しそうに白い歯を見せている。
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