ファイナンスを学ぶ上で非常に重要な概念が丁寧に書かれています。
AMAZONやNetFlixなど最新の実例が盛り沢山で実践的に学べる点が評価されると思います。
重要だと感じた点をメモしておきます。
資本市場とファイナンス
- すべて情報、インセンティブの世界であり、お金ではない
- ファイナンスは本質的に、プリンシパル-エージェントの問題、所有と経営の分離、といった近代資本主義の根深い問題(情報の非対称性)を解決しようとするもの
- 所有者(プリンシパル)は、不正を行わないように経営者(エージェント)を監視しなければならない
- 株主はどうすれば、経営陣が株主の利益を追求するようにできるのか?この監視の問題を解決しようとすることが、ファイナンスのすべて
資本配分
- CFOとCEOにとって、最も重要なファイナンスの問題
- キャッシュを分配するか、再投資するか。社内の既存枠組みを利用してオーガニックに成長するのか、外部の力を使って成長するのか。自社株買いで株主に還元するのか、配当をするのか
- 自社株の買い戻しや配当の仕組みそのものは、価値には影響を与えないが、投資家から注目を集めるのは、情報を提供すると同時に、プリンシパルとエージェントの問題にチャレンジしようとするから
- 自社株買い
会社の情報をすべて持っている人が株を買い戻すのは、その会社が過小評価されていると考え、とても強いシグナルを送る - 配当
株買い戻しと同じ結果をもたらすが、配当はまったく反対の反応を受けることがある。会社の将来に関するすべての情報を持つ人が言っているのは、良い投資先が見つからず、会社は過小評価されているとは思わない。実際のところ、お金を使って何かしようにも、するものがない。
価値は全て将来から生まれる
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今日の価値は、将来の価値創出に対する期待を反映するもの
- 長期にわたって資本コストを上回る利益からのみ、価値が創出され、高い利益を上げるようにキャッシュフローを再投資することによって生じる
キャッシュフローの重要性
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収益性の考え方は不完全であり、経済的なリターンを計測するにはキャッシュの方が優れている
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キャッシュを測る方法
- EBITDA(EBIT+減価償却費) ※EBIT(Earnings Before Interest and Tax)
- 営業キャッシュフロー
- フリーキャッシュフロー(FCF)
- FCFは事業運営で圧迫されることのないキャッシュの金額=キャッシュの最も純粋な評価基準で、会社評価の基盤
- 営業キャッシュフロー
純利益+減価償却費-売掛金増加分-在庫増加分+前受収益増加分+買掛金増加分 - フリーキャッシュフロー(FCF)
EBITAT(EBITー税金)+減価償却費±運転資金の増減+設備投資 -
CCC(キャッシュコンバージョンサイクル=現金循環化日数)2014年、アマゾンの在庫日数は平均46日、顧客からの回収期間は平均21日、サプライヤーへの支払期間は平均91日
⇨現金循環化日数は、マイナス24日間(ビジネスモデルがキャッシュを生み出す源となっている)