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Casper Ruud

キャスパー・ルード

 生年月日: 1998.12.22 
 国籍:   ノルウェー 
 出身地:  オスロノルウェー
 身長:   183cm 
 体重:   77kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  YONEX 
 シューズ: YONEX 
 ラケット: YONEX EZONE 100 
 プロ転向: 2015 
 コーチ:  Christian Ruud 


 スピンの効いたパワフルなフォアハンドを可能な限り多く使ってラリー戦の主導権を握る攻撃的なテニスを持ち味とするノルウェーの新鋭プレーヤー。18歳になってまもない17年リオデジャネイロ(500)でツアーレベル自身初の勝利を挙げた勢いそのままに見事にベスト4に進出して注目を浴びたが、実際にジュニア時代にはNo.1の経歴を持ち、またコーチでもある父親は最高39位を記録した元プレーヤーと、期待されない理由はない逸材である。本格ブレイクが訪れたのは21年、モンテカルロ(1000)とマドリード(1000)でのマスターズ2大会連続ベスト4を皮切りに、シーズン中盤のクレー大会3週連続優勝、のみならず積み上げた自信が生きる形でハードでも結果が出るようになり、堂々のトップ10入りを達成するとともにATPファイナルズに出場し見事なラウンドロビン突破を果たした。進化の速度は止まず、22年には全仏と全米のグランドスラム2大会で決勝に上り詰めるなど、真の強豪としての地位を確固たるものにしている。クレーコートを非常に得意とするストローク重視のテニスを持ち、たしかに躍進の過程では筋力アップも伴い重い打球によって相手を押し込むプレースタイルが定着してきてはいるが、いわゆるクレーコーターと聞いて思い浮かべる強靭な肉体を活かして泥臭いプレーを一貫するタイプではなく、軽快なステップから飄々とキレのあるショットを打ち込むテニスが基底にある分だけ、魅力に富んだプレーヤーであると言うことができる。

抜群のキレでパワー勝負に打ち勝つフォアハンド

 ルードの強さの大部分を構成するベースラインからのストロークは、スピンをかけた高い軌道のボールを深く打って相手を押し込んだり、あるいはクロスの浅い角度を突いて走らせたりと、自身が後方のポジションにいながらでも自発的に展開する能力に長ける武器である。中でもゆったりと無駄のないモーションで繰り出すフォアハンドのキレが突出しており、弾けるような強いインパクトでボールを捉えて相手の堅い守備を一撃で突破することも、柔らかいスイングに切り替えて巧みな組み立てで崩すこともできる完成度の高いショット。後ろ足に体重を残し、上半身も少しのけ反るくらいの体勢で、引きつけた打点からスイングスピードを爆発的に上げて打つのが特徴で、その自然な流れとしてラケットを頭の上に振り抜くリバーススイングが多くを占める。フォア側の厳しいコースに打ち込まれた強いボールにしっかりと追いついて打ち負けずにスピンボールで打ち返す粘りの守備は相手を大いに疲弊させる。また、ひとたびラリーの主導権を掴めばバックサイドからの回り込みフォアを連続する態勢をがっちりと作り上げ、逆クロスで追い詰めて最後はストレートに引っ張って仕留める形を得意としている。どこまで回り込んででもフォアで捕る志向が現在のツアーで最も強いプレーヤーの1人だろう。相手の嫌がるヘビースピンを執拗に続ける戦術的な思考は良いが、時折それに拘りすぎてポジションも落ちてしまい持ち前の攻撃力が消える時間帯があり、今後はアグレッシブさと慎重な戦術とのバランスの見極めが課題となるだろう。

やや硬さが残り耐性の低いスピン系のバックハンド

 クレーを主戦場とすること、および身長がそれほど高くないこともあり、バックハンドは外側から巻き込むようなスイングでトップスピンをかなり強くかけて斜め上方向に打ち出す個性的なショットとなっている。平均的なペースの打ち合いではフォア同様に回転量で相手を押し込む質の高いショットを放つことができ、最近は意外性のあるダウンザラインへのウィナーも奪えるようになってきた。しかし、握りやスイングが古風と言っていいこの打ち方では、バック対面でもフォアに劣らぬスピードが求められる現代テニスにおいて不利を露呈しやすい。実際に、緩急への対応の甘さやチャンスボールで気負って力む傾向は見られる。また、バック側を厳しく狙われた際、打ち終わった後に踏ん張り切れず体が流れる悪い癖があり、次のフォア側への返球に対応できないケースが散見される。回り込みフォアを多用する姿勢にしても主導権争いで優位に立つうえで好材料である一方、硬さが残り耐性の低いバックに自信がないために仕方なく無理をしているように見えなくもない場面があり、その使いどころの判断には改善の余地ありだ。一方で、バックのラリーで安定性を確保しつつ、クロスの長短に滑るボールをコントロールできるスライスの質は高く、スピンとの高低差を駆使して特級の武器であるフォアの強打に持ち込むうまさを担保している。

エースも確率も計算できる高質なサーブ

 決して大柄な体格ではないながらも、地面の強い蹴りと安定したクイック気味のフォームによって、正確にラインに乗せてコンスタントにエースを稼ぎつつ、弾む球種を織り交ぜて高い確率も維持できる、総合的に高い次元のサーブを持つ。強力なフォアハンドに確実に繋げてポイントを重ねていくサービスゲームの質はトップレベルでも全く見劣りしない。

後方から高さと深さを出すリターン

 リターンは大きく下がってしっかりと高さと深さを出すことでラリー戦に持ち込む返球を基本としている。アドバンテージサイドにおいては要所で2ndに対して回り込んで強烈にエースを叩き込む姿勢も見せる。前に入って叩くレパートリーも加わってくるとさらに脅威が増すはずだ。

運動量で上回り球威で勝負できるテニスはシンプルに強い

 元来の天才的な打球センスが良い意味で前面には出ない堅実かつ強度の高いテニスをここ数年で築き上げてきたルード。運動量で相手を上回り圧倒的な球威で打ち勝つスタイルは、シンプルなだけに明確な対策を講じづらいというのが現状彼の強みといえる。今後トップ10に長く在位しながらさらにその上を眈々と狙うべく、クレーでさらに勝ち星を伸ばすためにフィジカル強化に努める傍ら、その他のサーフェスでは抜け目なく相手の隙を突くネットプレーを戦術に組み込んで攻撃の幅を広げたい。全仏のタイトル争いに常に絡み、またシーズンを通してツアーで存在感を発揮するプレーヤーへと成長していくことを期待したい。