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Pierre-Hugues Herbert

ピエール・ユーグ・エルベール

 生年月日: 1991.03.18 
 国籍:   フランス 
 出身地:  シルティカイム(フランス)
 身長:   188cm 
 体重:   75kg 
 利き手:  右 
 ウェア:  LACOSTE 
 シューズ: NIKE 
 ラケット: YONEX VCORE 97 Pro 
 プロ転向: 2010 
 コーチ:  Jean Roch Herbert  

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 細身の体格ながらバネのあるフィジカルを伸びやかに使ったダイナミックなサーブと繊細なタッチ感覚で自在に操るネットプレーを軸としたしなやかなテニスを持ち味に単複に活躍の場を持つフランスのユーティリティプレーヤー。同胞の先輩格であるマウと組むダブルスにおいては15年全米を皮切りに16年ウィンブルドン、18年全仏、19年全豪を制した実績が燦然と輝き、すべて同じパートナーでのキャリアグランドスラム達成は06年のブライアン兄弟以来史上8チーム目の偉業であった。近年のツアーの中で最もコンスタントに結果を残す完成度の高いペアの一角としてトップ争いを演じており、加えて高齢化の進行が著しかったダブルスツアーにある意味では風穴を開けた存在ともいえ、その価値は高く評価されるべきだろう。また、その躍進のきっかけともいえるのがプシシェズニーとのペアでラッキールーザーから第1シードのブライアン兄弟、第2シードのドディグ・メロらを破ってツアー初優勝を果たした14年東京(500)であったこともあり、日本での声援も大きい。現在のところジュニア時代からの流れそのままにダブルスでの華々しい成績が際立っており、スペシャリストと呼ぶにふさわしいプレーヤーだが、ダブルスで培われるうまさが直接的にテニスの強さに還元されそうな展開の速いプレースタイルを持つだけに、まさにチームを組むマウなどと同様に遅咲き的に今後シングルスの方でも飛躍が見られる可能性は十分にある。明らかに速い環境で生きるテニスであり、過去タイトル獲得に近づいたのもハードや芝の大会ではあったが、一方で意外にクレーでも上位を食う力を持っており、このあたりはさすがフランス人と言ってもいいかもしれない。

マッケンローを想起させる大胆かつ独特なサーブ

 モーション開始前の体の沈み込み、両足の幅を非常に広くとるワイドスタンス、ネットに詰める時間を縮めるためのかなり前方へのトスアップ、リターン側に背中全体が見えるほどの大きな捻り動作、肘を伸ばしてラケットが地面に近い低い位置から出てくる大きなバックスイングなど、マッケンローを想起させるかのような大胆かつ独特なサーブはエルベールのトレードマークで、210km/hを超えるスピードでエースを多く奪う1stの強力さはもちろん、2ndのキックサーブも鋭い曲がりや跳ね上がりで簡単には叩かせない。強気に思い切って振り抜く中で実現される質の高い2ndである分、裏返しとしてダブルフォルトが多い弱点はあるが、自分から崩れない限りは相手へのプレッシャーは十分なものがある。

柔らかいタッチで魅せる十八番のネットプレー

 強烈なサーブやリターンとのコンビネーションとして、またストロークで一瞬の隙を突いてネットラッシュを仕掛けるプレーは彼の十八番と言ってもいいパターンで、相手を多いに苦しめる最大の武器である。サーブにおいてはどちらかといえばサービスダッシュよりも3球目アプローチの選択が目立ち、クロスに戻ってきたボールをストレート方向に流すフォアの精度が生命線。技術的には縦に詰める動きの素早さがありながら、ボレーは非常に柔らかいタッチで短くアングルにコントロールできる点が相手の意表を突く形となる。中でも本人が最も得意なショットに挙げるバックボレーは秀逸。パンチ力というよりは精度で勝負するタイプで、深さを出すボレーもしっかりとバックスピンをかけるため、少し浮き上がった軌道からベースラインに優しく吸い込まれるのが特徴だ。

主体的な揺さぶりは有効も安定性に難ありのストローク

 ベースラインでの戦いはあまり得意ではなく、突然短く落とすドロップショットも含めてバックハンドのスライスを多用した揺さぶりは効果的だが、とりわけ左右の動きがスムーズでないためにしっかりと打点に入って打てるケースが少ないことが安定性を欠く要因となっている。構えることができればリズミカルに跳ねるようなフォームが特徴的なフォアハンドのストレートや逆クロスに意外性のあるバックのダウンザラインとウィナーを狙えるショットを備えており、回転量の比較的少ないこれら攻めのライジングショットを頻繁に繰り出せる高いポジションを維持できている時の彼は十分に強い。課題はロングラリーに耐え得る洗練されたフットワークの習得ということになろう。

シングルスで露呈しやすいメンタル面の揺らぎ

 メンタル面に不安な部分があり、サーブがまったく入らなくなってダブルフォルトを連発することがある。ダブルスならベテランのマウの心強いカバーがある分さほど問題にはならないが、当然ながら周りの助けが得られないシングルスではその弱みが勝敗を決することにもなりかねず改善が求められる。

サーフェス低速化のピークアウトを追い風に飛躍できるか⁉

 ストロークのとりわけ守備面をはじめとする相手のショットへの対応力に弱点があるが、そこを改善しネットを窺う機会をさらに増やせれば上位陣にとっても警戒を要するプレーヤーになれるポテンシャルはある。年を経るごとにストローク力が確かに強化されてきているうえ、近年はサーフェスの低速化が収まり、再び全体に速いサーフェスが増えている傾向があり、これを追い風としてネットプレーヤーの彼にもツアーを盛り上げる活躍を期待したい。