Simone Bolelli
生年月日: 1985.10.08
国籍: イタリア
出身地: ボローニャ(イタリア)
身長: 183cm
体重: 83kg
利き手: 右
ウェア: EMPORIO ARMANI
シューズ: Mizuno
ラケット: Wilson Blade 98 (18×20)
プロ転向: 2003
コーチ: なし
イタリア人だが芝など速いサーフェスを得意とし、当たりが厚く球離れの早いフラット系の強力なストロークに加え、ダブルスでの実績が証明するようにネットプレーにも長けた才能豊かなオールラウンダー。サーブとキレのあるフォアとのコンビネーションが軸となる歯切れの良いプレースタイルで、ハマった時の強さには定評があり、上位陣でも窮地に立たされることがしばしばあるという要警戒プレーヤーとなっている。しかし、実際のところは15年にマルセイユでラオニッチを破るまで対トップ10で35連敗という史上ワースト記録を継続していたというのは何とも意外だ。シングルスでは実力がありながら08年ミュンヘン(250*)での準優勝が最高成績でツアータイトルはいまだ獲得できずにいるが、ダブルスにおいては同胞のフォニーニとのペアで15年全豪を制覇し、オープン化以降では初のイタリアペアによるグランドスラムチャンピオンとなった。同年はそのペアでマスターズ3度の準優勝にも輝き、ATPツアーファイナルズへの出場も果たしている。また、腕や上半身に漢字のタトゥーを彫っていたり、14年、15年とウィンブルドンで2年続けて錦織とフルセットの激闘を演じたプレーヤーとして日本での知名度も上がっている。
屈指の打球センスで志向するのはハイリスク・ハイリターン
ストロークではテンポの速さとボールスピードで相手を圧倒していきたいのが彼の志向するスタイルで、ベースラインからあまり下がることなくライジングで鋭いボールを打ち抜くセンスはツアー屈指。球種も概してフラット系でネット上の低いところを通過するため相当なハイリスクテニスといえ、それが乗せると怖い要因でもあるのだが、体力面に不安があり長いラリーは厳しいのでミスが増えるのを覚悟で打っていくしかないという側面もあり、プレーの安定感はどうしても犠牲になってしまう。
一打で仕留める破壊力が魅力のフォアハンド
非常に力みがなく振り抜きの良いスイングからスピードボールを連発しウィナーを量産するフォアハンドは彼の最大の武器で、その日のテニスの出来を左右する生命線のようなショットである。ラリーの中で効果的なショットを重ねて徐々に追い込んでいくのではなく、ストレート、クロス、回り込みの逆クロスなど、どのコースにも強烈なフラットショットを深くコントロールできる強みを活かして、サーブの次の一球や打ち合いの中でも初めて高い打点がとれたその一打で仕留められる破壊力が大きな魅力。相手としては軌道の高いスピンボールやネットプレーを交えてボレッリのリズムをなんとか崩していく必要がある。
強打とスライスを使い分ける硬軟自在の片手バックハンド
厚いグリップでボールの上がりばなを上から抑え込むシングルバックハンドも展開の速いテニスにあって十分に武器として機能する。早いタイミングで捉えるハードヒットはクロスコートに直線的に引っ張っていくのが大半で、ダウンザラインへの強打は少なくエラーも目立つが、しっかりと肩を入れて構えるためストレート方向も少なからず相手に意識づけることができる。また、同じタイミングから地を這うような低く滑るスライスも多用し、高低や前後に打点を狂わせる術も持ち合わせている。フォアが剛なら、バックは柔の色彩が強いのが特徴で、面を合わせてコースを変えるカウンターや前に出てきた相手に対してアングルに落として鮮やかに抜いていくパッシングショットなどがその例に挙げられる。
威力と確率の高さを併せ持つサーブ
サーブは威力と確率が高次元で併存し、高いサービスキープ率を実現している。1stの確率を高く維持しつつ、210km/hにも届くフラットサーブでコンスタントにエースを奪う力があり、さらに2ndのポイント獲得率も高いという総合力の高いサービスゲームを構築している。
抜群の才能が開花を見ない原因は心身の淡白さにあり
技術的な弱点はほとんどなく、正統かつ多彩なテニスは元No.2のハースを彷彿とさせる。良くも悪くも素直なショット軌道は瓜二つといえるほど似ており、ショットの精密さや相手の弱点を巧みに炙り出す老獪さでは大きく劣るものの、パワフルな一撃による突破力では優っている。ただ、フィジカル面に大きな課題があり、オープンコートを突かれると追わなかったり、試合が進むにつれて球際での粘りがなくなる傾向がある。メンタル的にもやや執着心に欠ける部分があり、彼のテニスは良く言えば痛快だが、裏を返すと能力任せで非常に淡白。この点こそ彼がいまひとつ突き抜けた活躍ができてこなかった最大の原因だろう。度重なる怪我の影響や年齢のことを考えれば、これからのフィジカル向上は見込みにくいが、有望な若手の台頭が著しいイタリアにあってもセンスと攻撃力が抜群のテニスは十分に生き残る余地がある。世代の近いフォニーニと並び立つ天才系プレーヤーとしてまだまだ存在感を示してくれることに期待したい。