徒然草枕

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カーテンコールでの山響ライブでベートーベンの4番を聴く

 以前からライブ配信に熱心な山形交響楽団であるが、今日の19時からやまぎんホールで開催されるベートーベン交響曲スペシャルがカーテンコールでライブ配信されるとの情報が開演2時間前に飛びこんできた。慌ててPCの作業を終えて放送開始を待ち受けることに。事前に知っていたら夕食を先に摂るのだが、直前まで知らなかったので空腹を抱えての視聴になる。

 今回はベートーベンの交響曲第4番に序曲集である。ベートーベンの交響曲第4番と言えば、カルロス・クライバーによる超快速超熱演なんかが伝説に残っていたりするが、阪氏はどういう解釈で来るか。またラストのエグモントは村川千秋氏が登板とのことで山響と村川氏の組み合わせがどういうミラクルを起こしてくれるかにも注目したいところ。

 

 やまぎん県民ホール×山響 ベートーヴェン交響曲スペシャル(第3回)

指揮:阪 哲朗
   村川 千秋
管弦楽:山形交響楽団

ベートーヴェン/交響曲第4番 変ロ長調 作品60
       歌劇「フィデリオ」作品72 序曲
       「コリオラン」序曲 ハ短調 作品62
       劇音楽「エグモント」作品84 序曲(指揮:村川千秋)

 ベートーベンの交響曲第4番は快速テンポでとにかく明るい演奏である。細かいアンサンブル云々よりも全編をノリでグイグイ押していったという印象。元々古楽器も用いた室内オケなので、そもそもの音色が軽めなのであるが、かなり軽やかにして爽やかな演奏である。

 後半のフィデリオも基本的に同じアプローチ。古楽器を用いた金管の音色が柔らかくて非常に爽快。軽やかに駆け抜けるような演奏となった。

 次のコリオランはもっと深刻で重苦しい曲なのであるが、阪の指揮は重さに沈んでしまうことがなく、つねに躍動的である。演奏全体が常に前進力に満ちたものになっている。ただ深刻になりすぎるのはどうかとも思うが、この曲の場合はもう少し感情の襞があっても良いような気はした。

 そして最後は指揮者が村川千秋氏に代わってのエグモント。以前の時も村川氏が指揮台に経った途端に山響の音色が全く変わったのだが、同じ現象が今回も。急にドッシリと低重心なサウンドになった。演奏に一気に深みが増す。決して阪氏の演奏が悪いというわけではないのだが、やはり村川氏の演奏は味わい深い。実にしっとりとしたエグモントを聞かせてくれた。


 なかなかの演奏であった。ちなみに今回のライブ配信を聞き逃した方も、カーテンコールでは山形交響楽団の過去の演奏のアーカイブも配信されているのでベートーベンの交響曲第5番や6番を楽しむことが出来る。地方オケの雄・山形交響楽団の熱演をこの際に一聴されることをお勧めする。

curtaincall.media