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「今日は、私たち、2人きりみたいよ」と言いながら、ジェシカがスタジオに現れた。「夏休みだから、仕方がないわね。今日は、バーを鏡に平行に置きましょう」



私は結構冷静に微笑んで、ジェシカと一緒にバーを運んだ。そして、彼女がプリエのお手本に入った、まさにその時。教室のドアが開いた。



「すみません。初めてなんですけど、もう、遅いですか」と、黒人女性が、腰を曲げたまま、様子を伺った。



「あら!ようこそ!いいわよ。今、始めるところだから」と、ジェシカは私の承諾をとるように、こちらに微笑みかけながら言った。

私はもちろん(個人レッスンを免れた幸運に感謝しながら)笑顔で頷いた。



ジェシカが尋ねると、その女性は、子供の頃にバレエを習っていたと答えた。「でも、ほとんど覚えてなくて」と言いながら、彼女は、脚を1番ポジションに、とても綺麗に揃えた。




易しいバージョンのバーレッスンとはいえ、頼る人が誰もいないと、覚えられるものだった。というか。いつの間にか、身体が次のステップを知っていた、みたいな。




(クラシックバレエの参考書に、バレエの動きは、300年ほど前に完成されている、と書いてあった。


その動きのパターンは、次々に美しくステップが繋がるように出来ているらしいから、私の脳も、ようやくその連鎖に、反応を始めたのかも知れない)。



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脚を1番ポジション、relevé(ルルヴェ)でバランスの時、ジェシカが私の姿勢を直しに来た。彼女は手探りで、胴体のコントロールを始めた。



私の身体は、感覚的に矯正を理解する。まず、みぞおちが開いているから、それを閉じる。お腹を落とす。そしてそのまま、少し前のめりにさせた。



「Chigusa, 今よ。鏡を見て」と、ジェシカが囁いた。


私は、静かに横を向いて、確認した。



私の身体は、他人みたいに、真っ直ぐに立っていた。見慣れた、うねりがない。かなりコントロールしているはずなのに、気分は、いつもよりリラックスしていた。



「これよ。わかる?」と、ジェシカが、静かに言った。



正しくやれば、私なんかでも、綺麗に立てる。バレエは、人を美しくする。それを教えてくれるジェシカの実力に、胸が熱くなった。







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