★まだ前半期さえ経過してはいないが、本日は個人的にピックアップしたい選手についての彼是を書き連ねてみたい。
気圧の急激な変動によりやや鬱気味な昨今なので、ここはシリアスにいき過ぎず肩の力を抜いた文面にて。
1980年代から90年代にかけての、週刊少年ジャンプ黄金時代を知らぬ人々には全く理解出来ない比喩かも知れないが、そこはまぁご容赦を求める。
では…スパーキンッ!!
☆鈴木みのる【界王拳発動!!】
・神宮興行における対鷹木信悟でも顕著ではあったが、昨今の鈴木みのるに観られる中〜後半での急激なスピードアップ及び打撃力のストライク・インパクトはあまりにも凄まじい。
相手を徹底的に追い詰めてからのGSPDがこれまでの定石だった筈が、終盤での猛チャージから唐突にGSPDを放っては、まるで呆気ない程に相手をKOしてゆく。
ジェイ・ホワイトのブレードランナー宜しく、カウンターとしての要素まで必殺技に付加された事により、更にも増して鈴木みのるの試合から一秒たりとも目の離せない緊迫感が感じられる。
スタミナロスを起こしても決して不思議ではない試合の佳境中、急激に戦闘力を向上させては並み居る若き猛者達を圧倒する、我等がプロレスの王。
近頃、俺は彼の試合の中〜終盤辺りでこう叫ぶのが決まりと化している
「出た!界王拳だ!!」
瞬間的に速度、攻撃力、防御力の全てを飛躍的に向上させ対戦相手を蹴散らす、界王星に伝わる秘奥義である。
鈴木みのると対峙し、それまで有利に闘いを運んでいた対戦相手はこう思う
『何だ今のは?瞬間的に、スピードとパワーが急激に伸びやがった…!』
しかもタチの悪い事に、彼は常人の想像など及びもつかない修行を積みまくっている為に、俺の目測では恐らく30倍界王拳までなら、問題なく耐えられるコンディションを創り上げている。
恐るべしプロレスの王…
一体、この多忙な最中にいつ界王星に修行へ出向く時間があったのか?
☆ジェイ・ホワイト【絶望的戦闘力】
・少年時代、ジャンプを見ていた日本中のガキ共はフリーザが発した、あのセリフに驚愕し絶望した。
〘私の戦闘力は、530000です〙
うっそー!!
ぜってー勝てねえじゃん!!
悟空の10倍界王拳発動時が180000だった時代、フリーザ様の告白は我々ガキ共に
“どうにもならない事が世の中にはあるのだ”
という非情な現実を教えてくれたものだった。
そして日本へ帰還したジェイ・ホワイトだ。
最早向かう所敵無し状態の、絶対的強さを手に入れG1の舞台へ現れてしまった。
後述するウィル・オスプレイと違い、別にジェイは信じられないアクロバットムーブとインパクトを誇示する訳ではない。
ただひたすら、強い。
ただひたすら、クラシカルスタイルのレスリングを忠実にこなしているだけなのに、強い。
あらゆる全ての攻撃、所作に無駄が一切なく、相手のオフェンスはまるで柔らかなクッションに吸収されるかの様に緩やかに無効化されてしまう(様に観える)。
今現在、このキング・スイッチが敗戦するシーンを想像する事は難しい。
これ程に図抜けた実力を得てしまうと、もう負けに“説得力”が無くなってしまう。
負けの説得力がないと、それは最早俺の知っているプロレスでは無くなってしまう。
そう思わされるレベルの選手へとスーパーグレードアップしたジェイ、図らずも今秋のテーマは
“ストップ・ザ・スイッチブレード”
となってしまった感すらある。
これ程の超実力派を相手にし、勝ちを得る役割を担う選手も大変である(笑)
今やジェイの敗戦は大いなる違和感でしかなく、勝利者はそのジェイと互角の説得力と実力を持つ選手でなければ格好がつかなくなっているのだ。
…と、なると。やはりジェイを打倒すべきは、あの男しか…?
☆石井智宏【Road to SUPER SAIYAN GOD】
・本人には非常に申し訳ないが、最早石井智宏クラスの選手を“勝ち負け”で評価するバカは皆無だ。
『勝った負けた?そんな小さな事の為に俺達はプロレスをやってないですから』
内藤哲也の吐いた、このプロレスの本質を如実に表した名言の真価を、今最も体現する男こそがこの石井智宏である事は間違いない。
初戦である☓鈴木、☓オスプレイと、その興行におけるベストバウトを当然の様に連射してはその才覚を誇示した“名勝負製造機”。
そのあまりの健在ぶりと深化(進化とはまた違うニュアンスだ)を見るにつけ、石井智宏は、俺がキッズの頃に畏怖の念を抱いていた天龍源一郎の領域に、正に到達しようとしている事実を痛感する。
勝敗という、画一的側面など遥かに凌駕し、その日の誰よりも鮮烈さと強靭さを見せ付けてはプロレス界随一の存在感を放っていた、かつての天龍源一郎。
『勝っても負けても、天龍さんがより凄かった』
『勝っても負けても、また天龍さんの試合が観たい』
少年時代、深夜のワールドプロレスリングを鑑賞しては震え上がっていた俺。
現在のジャパニーズ・ベストバウトマシンから、俺は少年時代の天龍さんに感じていた畏怖の情景が蘇ってくる。
本当に本当に素晴らしい選手である。
勝ち負けをも超越する、己の理想とする闘いのみを追求する、闘いの美意識に誰よりも忠実に生きる…
正にリアル・サイヤ人、現世に降臨した戦闘民族の末裔である石井智宏。
勝敗といった概念を空虚とする石井智宏、彼が到達すべき次なる聖域は〘神の領域〙。
天龍源一郎ら、ほんの一握りの神々のみが辿り着いた孤高の世界観に他ならない。
ジェイ・ホワイト、そしてウィル・オスプレイと、若き超実力者達が闊歩する今秋の戦闘ロードにて、理想の闘いにこそ美意識を抱き邁進するジャパニーズ・ベストバウトマシンは、若き二人を向こうに回し堂々とMVPを争うに違いない。
☆オカダ・カズチカ【尻尾を掴まれたラディッツ】
・世界最高の選手として名高い天下のレインメーカーが、何処か精細を欠いている。
試合そのものは勿論高水準に違いないが、心無しかピーク時の印象に及ばない秋を過ごしている様に映るのは俺だけか?
変形コブラクラッチが思ったより猛威を奮わず、フィニッシャーとしての説得力に疑問符を掲げる声が、俺の周囲にも続々と聞こえる様になってきた。
腰部の故障の影響も結構甚大に見え、持ち前の爆発的スピード感が失われている様に感じられてしまう。
先日の☓ジェイ、俺の解釈ではとても互角の攻防には観えず、終始イニシアティブを握り試合そのものをリードしていたのはジェイ・ホワイトの方であった様に思うのだ。
これは実力差というよりも現状のコンディションの差であり、一定以上のコンディションを保持する事の困難なG1において、如何にジェイ・ホワイトがその点ずば抜けているかの証左でもあった。
現状、オカダ・カズチカの腰部は“ラディッツの尻尾”となっている。
その弱点を握られるや、明らかにペースダウンし本来の実力を削がれてしまう。
ペースダウンした状態で有効な攻撃を放てる筈は無く、唐突にコブラクラッチを出したとしてそれで決まったとしても、どうにも100%気乗り出来ないのだ。
『コンディショニングこそ最強の必殺技だ』
鈴木みのるの師匠、カール・ゴッチの言葉の重みの真意はそこにある。
目視出来る最大の弱点を抱えてしまった世界最高の選手、ここから如何にして周囲をはねのける豪勢をブチかます事が出来るか?
後半戦に向け、お手並み拝見である。
☆ウィル・オスプレイ【こんなのはスカウターの故障だ!!】
・恐らく今秋の最大級のインパクトを放っている、若き怪物ウィル・オスプレイ。
20kg増量にして、ムーブの精度と速度に一切の翳りなし。
若き日の飯伏幸太を強烈に彷彿とさせる、打撃力の狂気性と無類の鋭さ、飯伏を遥かに凌駕する重厚感まで兼ね備えた怪物…いやバケモノは、俺に内蔵された現状のスカウター性能では戦闘力を測定する事が出来ない。
何度か計測を試みるも、その度に数値は青天井に跳ね上がり、果てには『ボンッ!!』と破裂してしまうばかりの我がスカウター。
自らを威風堂々、GOAT(グレーテスト・オブ・オールタイム。要するに歴代最高の意)と称するこのバケモノは、その大口さえ全くハッタリではない空前の凄まじさを毎晩ブチかましては、我々の想像の彼方へと飛躍していってしまう。
ジェイ・ホワイトとは違う“ジャンル”にて、絶対的強さを獲得しては対戦相手を次々と葬り去るウィル・オスプレイ。
先日の☓鷹木、オスプレイの敗戦に思い切り強い違和感を覚えたのは、決して俺だけではないだろう。
鷹木信悟が弱い訳ではない、単純な話し…ウィル・オスプレイが極端なまでに強過ぎるのだ。
☓石井においても、疲労困憊だった石井智宏と比較し、ウィル・オスプレイにはまだまだ有り余る余裕が感じられた。
ウィル・オスプレイが保持している地力のレベルは、あの石井智宏や鷹木信悟さえ全く及ばない程の高みに登り詰めた様に見えてならなかったのである。
我々は今、プロレスの歴史に燦然と名を刻む稀代のモンスターをリアルタイムで目撃している。
ウィル・オスプレイ
ジェイ・ホワイト
カール・フレドリックス
クラーク・コナーズ
ゲイブリエル・キッド
アレックス・コグリン
若き外国産ニュージャパンは、我々古参ファンに全く新たな新日本プロレスを提示しようとしている。
いや、もうそうなりつつある。
そう言えば、近頃のクラーク・コナーズの戦闘力も可笑しな事になっており、ヤングライオンの立場で既にエリート戦士の戦闘力を軽く上回る数値を、我がスカウターは弾き出していた。
マスター・ワトが若干スベった感のある若手日本勢。
上村と辻の、大いなる奮起に期待するしかない。
★明日はお待ちかね、実観戦での後楽園ホール。
石井智宏☓鷹木信悟
ジェイ・ホワイト☓ウィル・オスプレイ
オカダ・カズチカ☓タイチ
ビッグマッチでメインを飾ってきた三カードが、一夜にして後楽園ホールにて観戦出来る…!!
この、ドラゴンボールで叶えた訳でもないのに唐突に降り注いだ幸運を享受した我々は、明日は当然の様に心身を闘いのワンダーランドに投げ入れ没入するつもりである。
戦闘前、何杯かのアルコールを身体にブチ込み、【気】を最大限に高め解放する所存なのであった。
そしてこれから俺は、プロレスリング・ノア【N-1 VICTORY】を観戦せねばならない忙しい夜を過ごす訳である。
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