2020/07/11

John Schneider / Now or Never ('81)

ジョン・シュナイダー / ナウ・オア・ネバー
A1It's Now or Never
イッツ・ナウ・オア・ネバー
B134 in Atlanta
34・イン・アトランタ
A2Them Good Ol' Boys Are Bad
グッド・オール・ボーイズ
B2Fallin' in Love with Love
フォーリング・イン・ラヴ・ウィズ・ラヴ
A3Stay with Me
ステイ・ウィズ・ミー
B3The Next Time
ザ・ネクスト・タイム
A4Let Me Love You
レット・ミー・ラヴ・ユー
B4Stay
ステイ
A5Still
スティル
B5You Could Be the One Woman
ユー・クッド・ビー・ザ・ワン・ウーマン
 もう30数年も前のこと。
 金曜ロードショーで、『愛に向って走れ』というアメリカ映画を見ました。

 ジャンルは脱獄モノです。無実の罪で投獄されたイケメンが、カマを掘られそうになって脱走し、妻子の待つメキシコ国境を目指す…たしかそんなストーリーだったと記憶しています。

 今でも鮮明に覚えているのは、凄まじい執念で脱獄囚を追跡する保安官。カーク・ダグラスが演じました。イケメンが逃げても逃げても、鬼の形相で追いかけて来るのです。ユーモアの欠片もなく、ただただ怖いだけの銭形警部みたいな感じ。

 この、カーク・ダグラスの役どころ。演じる俳優にとっては、この上なくオイシイ。まさに役者の冥利と言えます。この映画の企画自体が、ダグラスの接待とか、ご機嫌取りの類ではないかとさえ思いましたよ。

 その分、主役のイケメンが割を食ったカタチとなりました。影が薄くて、ほとんど印象に残りません。ま、相手がダグラスじゃ仕方ないですな。あのダグラスを相手に、存在感を発揮しろなんて無理々々。

 そのイケメンが、この人、ジョン・シュナイダーです。本作は『愛に向って走れ』の2年前にリリースされました。当時は、テレビの人気者だったらしい。

 内容はカントリー・テイストのロックン・ロール。ポップ・ミュージックの王道ですな。
 人気俳優が勢いで出しちゃったレコードだからといって、やっつけ仕事をしているわけではありません。きちんと作り込んであります。ジョン・シュナイダーはもともと歌手志望だったそうで、なるほど堂々たる歌いっぷりです。

 有名曲のカバーに、紛れ込むように、そうっと挿し込まれたA4。
 レーベル仲間、フレッド・ノブロックの手になるバラードの逸品です。
 ノブロック本人のバージョンよりも、ジョン・シュナイダーのカバーの方が心にまっすぐ挿し込んできます。

 オーラスのB5はドラマティック・バラード。大サビから転調しての盛り上げっぷり、まさに怒涛のようです。アルバムを「通して聴く」ことでしか得られないカタルシスが、ここにあります。

 A4やB5のみならず、どれもこれもいい曲ばかりです。
 ちなみにB2は、ロジャース&ハートのスタンダードではないので気をつけよう。

 じつは本作のような「人気俳優が勢いで出しちゃったレコード」は、佳曲が揃っていることも少なくありません。
 勢いに便乗したい音楽関係者やソングライターたちが、競い合うように上出来の曲を持参するからです。いい曲がおのずから、俳優の周辺に集まってくるわけ。

 そもそも、出鱈目で手抜きのレコードを出そうものなら、本業の人気に影響してしまいますからね。ある程度の水準は当然、クリアしています。
 俳優のレコード、あなどれませんぜ。
★★★

Produced by Tony Scotti / John D'Andrea

Arranged & Conducted by John D'Andrea
Mixing Engineer: Tony Papa
Engineered by Tony Papa, Carmine Rubino
2nd Engineer: Kevin Sorells
Musician Contractor: Shaun Harris

Rhythm Arrangements: Al Capps on A3, A5, B2, B4 and B5
Engineered Basic Tracks: Jim Hilton on A3, A5, B2, B4 and B5
Basic Tracks Produced by Robie Porter on A3, A5, B2, B4 and B5

Recorded at Santa Monica Sound Recorders, Santa Monica CA

Photography by Leon Lecash
Design: RIA Images

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