転職して数か月が立ちました。
おもむろにはじめてみたブログですが、書き続けていて業務に支障が出てきたので休止中です。
そもそもこのブログを始めたのは、後輩たちに武器を配りたかったのだ。
言葉にすると物騒だが、故瀧本哲史氏の「僕は君たちに武器を配りたい」をもじったものだ。
本の内容としては、昭和・平成と変化していく時代に、今までを突き進むだけでは先がない。そこで少しでも今を歩いて行けるようなヒントを配るので、このヒントをもとに自分で考えて、今を生きてほしい。というようなメッセージを含んでいそうな内容である。
武器というのは、戦う力である。
自分は、興味もなく知識もゼロの中で放り込まれ、適正も感じないまま、どうにか宇宙業界を生きていける程度の知識と簡単な読解力を身に着けた。
ただ、生き残るほどの体力と体調を維持できなかったため、別の分野で働き始めている。
心残りは、後輩に十分な引継ぎができなかったことだ。
それは業務の引継ぎもあるかもしれないが、今後の業界や職種で身に着けていった方が楽になるような知識のことだ。
ちなみに、この企業で生み出された自分の考え方は、かなり特異らしいため、参考にはならない、と話してはいた。
引継ぎができなかった理由も、引き継ぐ時間を与えず、会話でしか伝えられなかったからだ。
人工衛星のような長期間で、刻々と考えることも変わってしまうプロジェクトの中で立ち振る舞う必要があるときもあるでしょう。
カリスマ的な人であれば、会話で人の心を変えることはあるかもしれない。
よくプロジェクトマネージャーの印象深い言葉が紹介されているが、正直、私からすれば人の心を変えるとか二の次なのだ。
長期的なプロジェクトは、知識が記憶とともに薄れるのだ。
時間が、記憶を削っていくのだ。
その時に必要なのが過去の資料であるが、当時の担当者ではない場合は、予備知識を知らずに資料を使い始めてしまうのだ。
予備知識がない場合は、調べればいいかもしれない。
しかし、過去に資料があるプロジェクトは大抵、スケジュールが削られる。スケジュールが削られなくても、新規要素のある部分に力を集中するため、調べないで、同じだから大丈夫、あるいは時間がないから”調べず”そのままにしようと考えるのだ。
その果てに発生した不具合を何回も見てきた。
このブログは、記憶に薄れる予備知識という名のヒントを蓄え、このヒントをもとに自分で考えてほしいといった思いから作られている。
記憶が呼び起こされるうちは、書き続けていくと思う。
既にいくつか記事を読んでいる方は気づいているかもしれないが、調査も適度にしている。
かつて、他のメンバーよりも、検索の力で無知をカバーしてきた名残である。
なにせ、物理学は高校レベル以下で、電気はほとんど手を付けなかった。
さらに、専門は有機化学、ニッチな分野を研究していた学生が、宇宙業界でエンジニアとして働くには分が悪いのだ。
少ないと思うが、そんな人も宇宙業界には何人かいると思う。
あるいは、特化した専門分野がある中で、他のサブシステムやコンポーネント分野に手を出していなかった人も何人かいると思う。
幸い、機械設計・開発以外に、人工衛星のシステムエンジニアをしていたので、細部はともかく、全体を把握してきた。
自分の実施してきた機械設計だけでは見えてこない、他のサブシステムとの繋がりを知らないと想像できない部分に気づいてほしいと思っている。
なので、特定の人工衛星ではなく、全般的に言えることを記載している。
もちろん、人工衛星を製造する組織によって文化や考え方、発想が違うため、抜けた考えをしていると捉える人もいるかもしれない。
それでも、ヒントのために情報を展開していこうと思う。
もちろん人工衛星に限らない。
もしかすると、ネタが尽きて、今の業務に近い分野を解説していくことになるかと思う。
それでも、情報を展開し、戦う武器を配っていこうと思う。
それくらい、自由にしたっていいじゃないか。