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「名→姓」か「姓→名」か

1月27日のグッド!モーニングで、日本人の名前をローマ字表記する際、「名→姓」の順としていたこれまでの慣例を「姓→名」の順に改めるよう呼びかけられているという話をしていた。

日本人と同様に人名の構成が「姓→名」なのは、中国人、韓国人、エチオピア(アムハラ)人、ハンガリー人などがある。
中国人や韓国人の名前はローマ字でも順番を変えず「姓→名」とするのが普通。
香港では中国語名と英語名の両方をもつ人が多く、ローマ字では一つにまとめて「英語名→姓→中国語名」とすることが多い。例えば英語名ブルース・リー(Bruce Lee)、中国語名李小龍なら「Bruce Lee Xiaolong」というふうに。
ハンガリー人の名前は英語など他の欧米諸国では「名→姓」にすることが多い(この点日本人と似ている)。日本でも「名→姓」の順で言う傾向がある。ハンガリーの場合、周辺諸国では「名→姓」の順であることや、神聖ローマ帝国やオーストリアの支配下にあった歴史などが影響しているからでしょう。音楽家のリストはハンガリー語名は「Liszt Ferenc(リスト・フェレンツ)」、ドイツ語名「Franz Liszt(フランツ・リスト)」のように二つ持つ人も多かった(ヨーロッパの個人名は共通してキリスト教の聖人に由来するものが多く、置き換えが可能なことが多い点も言える)。

欧米でも「姓→名」の順で表記している場合もある。電話帳、辞書の人名の項目など人名を検索するようなものや、公文書でも見られる。この場合、姓と名の間にコンマを付ける。この場合のコンマは、コンマの前にあるのが実際には後に来る(倒置している)というニュアンスを持つ。
ルーマニアの独裁者ニコラエ・チャウシェスク(名→姓)の裁判では、判決文を読み上げる際「チャウシェスク・ニコラエ」と「姓→名」の順に読み上げられた。

日本に住む外国人の外国人登録では、詳しくは知らないが、「姓名の表記は日本式とする」というのを本で見たことがあるので、おそらく「姓→名」の順にするだろう(例えば「カルロス・ゴーン」は外国人登録上は「ゴーン カルロス」)。日本人が外国に住む場合も、国にもよるが、法律上の問題で「名→姓」とすることもあるだろう。
日本に移住した欧米系外国人の中で、日本式に「姓→名」で広く知られている有名人もいる。例えば「パンツェッタ・ジローラモ(Girolamo Panzetta)」、「ジリ・ヴァンソン(Vincent Giry)」。
大学1年の時英語のクラス仲間でボウリングに行った時、日本語で「名→姓」で(例「太郎 山田」)名簿に書かれていた。レーンの画面上に下の名前を表示される意図があったからだろう。
沖縄の屋号で名前を「名→姓」で言ったようなものがある。
卓球の世界では欧米人であっても選手の名前を「姓→名」(姓と名の間はスペースのみ、コンマなし)で英語表記するらしい(アテネオリンピックで見た)。卓球は中国で盛んで、中国から海外に移住して活動する卓球選手も多いからだろうか。
私がお客様の名前に触れるような仕事をしていた時、外国人の場合同じ方の名前でもものによって前後が入れ替わっていることがあった。海外に滞在する日本人も(気分や考え方の変化、その他諸事情によって)ある時は「名→姓」で書いてある時は「姓→名」で書くという人もいるのかなと思った。
東アジアのことを扱った英語の学会誌で、「A」という学会誌は出身国を問わず(中華系、朝鮮系でも)「名→姓」表記で統一されていた。一方、別の「B」という学会誌では出身国を問わず(欧米人でも)「姓→名(姓と名の間はスペースのみ)」表記で統一されていた。Bは東アジアの慣習に合わせたのだろうか。

私が学生のころ、欧米人の名前は日本でも「名→姓」の順で言うのに日本人の名前は欧文で「名→姓」の順に替えるのは不公平で嫌だと思っていたけど、ここで例をあげたように、諸事情によって本来の順番を逆にするのは各国で見られることを知って、そんなに目くじらを立てることではないと思った。

日本人の名前のローマ字表記を「姓→名」に変更することに大賛成だ。「名→姓」で表記する従来のやり方だと、現地でも「名→姓」で言うものだと誤解される可能性大なので、なるべく現地での順番通りに表記するのが望ましい。

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