ある整数の約数が何個あるか?

 

中学受験では、計算で求めます。

小学校では習いませんが、中学受験では常識です。

 

 

これを「プロはどう教えるのか?」という話。

 

たとえば、「24の約数は何個ありますか」という問題。

普通は書き出して数えます。中学受験でも4年生までは書き出しでOKです。

そのまま教えると、ダラダラと横に書き出してしまうので一工夫。

集団授業のときは、こんな感じで魚の骨の中に書くようにすると、子供達は喜んで真似してくれていました(*´∀`*)

こうやって表のかたちで書いて、上下をペアにしていくと、抜けも防止しやすくなります。

 

さて、これは5年生からは計算で求められるようにしていきます。

24の約数は、上記のように8個ありますが、

これを計算で求める場合は、次のようにやります。

 

① 24を素因数分解 24=2×2×2×3

② 素因数の種類毎に、個数をまとめる 2が3つ、3が1つ

③ ②で求めた個数にそれぞれ1を加えた数をつくり、それをかけ合わせる。(3+1)×(1+1)=8個

 

何をやっているか、直感的には理解しにくい上に、操作が抽象的なので、そのまま覚えようとしてもすぐ忘れてしまう子が多いです。

 

さて、これを小学生に、具体的にわかりやすく、印象に残る方法で教えられるかどうか。

腕の見せ所です。

 

 

まず,話を始める前に,少しだけ「場合の数」を理解しておきましょう。どうしても説明に必要になります。

場合の数はやり出すとものすごくいろいろとありますが、ここでは簡単にとどめておきます。

とりあえず簡単な樹形図が書けるぐらいまで理解してもらえれば先に進めます。

 

→ 補足 場合の数

https://ameblo.jp/youkazu7777/entry-12586399859.html

 

 

簡単な場合の数の計算が理解出来たら、次に進みましょう。

24はちょっと大きいので、12で考えてみます。

 

 

〈例:12の約数は何個あるか。「計算」で求めなさい〉

 

12を素因数分解すると,

12=2×2×3 です。

 

ここで、次のことを確認しておきましょう。

 

 

【ポイント①】

12の約数は「素因数分解に含まれる素数だけで作られている。」ということです。

これがわからない場合は、「なぜ約数に5や10がないのか?」を考えてもらえばいいと思います。

12=2×2×3で、式の中に「5」がないのだから、当然です。

 

 

【ポイント②】 

12の約数は、「すべて2か3が”材料”として使われている」ということを確認します。①を言い換えただけとも言えますが・・・

たとえば、6という約数は、2と3を1つずつかけると作れますし、4という約数は、2を2つかけると作れます。

でも2を3つかける(2×2×2)と作れる8という約数は存在しません。素因数分解の式のなかには2が2つしかないからです。

なので、材料の個数には上限があり、これも素因数分解した式を見る事でわかります。

 

 

【ポイント③】

1という約数は、どうやって作るのか?を考えます。

2や3を使ってしまうと1にはなりません。つまり、どの材料も使うことはできません。

かといって、何も使わないからゼロということでもありません。(0という約数はありません)

なので、ここでは2も3も使わないとき、どの材料も使わないときは「1」という約数ができるということを、

「約束」として理解しておきます。

 

 

 

では準備が出来たら、説明していきます。

12=2×2×3 と素因数分解できました。

したがって、12の約数は、2と3の組合せによって作られていることがわかります。

では、この組合せは何通りあるか。

ここで、場合の数の考え方を使います。

 

コージーくんが、お皿を持ってテーブルにやってきました。

テーブルには、2が2つ、3が1つ乗っています。

コージーくんは、ここから2と3を取っていき、それを自分のお皿に入れます。

 

2と3を1つずつ取っていった場合、お皿には2と3が乗っているので、できた約数は2✕3=6です。

もし2を2個取って3は取らずにスルーしたら,できた約数は2✕2=4となります。

このように,約数は2と3の組合せによりいろいろと決まります。

 

では、コージーくんがお皿に乗せる数字の組合せは何通りあるでしょうか?というのが,約数の個数を求めることと同じなのです。

 

まず、2が乗っているテーブルに来たら、2をお皿に乗せるかどうかを考えます。

 

2つありますから、1つ取ってもいいし、2つ取ってもいい。でも、2は取らずに、3のテーブルに移ってもいい。

 

結局、2のテーブルでコージーくんの選択肢は、「1つ取る、2つ取る、取らない」という3通りがあることになります。

3のテーブルでも、同様に「1つ取る、取らない」という2通りの選択肢ができます。

 

以上から、3通り×2通り=6通りという約数の作り方があるとなるわけです。

 

 

というわけで、約数の個数の求め方。

①まず、素因数分解

②素数の個数と種類を確認

③組合せ方法が何通りあるかを計算

 

という流れになるので、

という感じになります。

作業としてはこれだけですが、どのように理解しているかは重要な問題です。

最近の中学入試は、原理の理解がきちんと出来ていることが非常に問われるようになっています。

なんとなくわかったでは終わらせないようにしたいものですね。

 

 

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