どこかの誰かの投げたボールが

私の背中に当たる。

 

私は振り返る。

 

たくさんたくさんの人が

無表情に、素知らぬ顔で歩いていて

誰が私の背中にボールをぶつけたのかは

分からない

 

込み上げてくる怒りは

このままでは収まらない。

憂さ晴らしに、私も どこかの誰かの背中に

ボールを投げつけよう。

私よりも弱そうで、何も言わなそうな

やつがいい。

 

ちょうどそのとき

私よりも弱そうで、何も言えなそうなやつが

背中を丸めて歩いてくる

 

私はそいつの背中めがけて

思い切りボールを投げつける

たまりにたまった

色も形も名前もない怒りをこめて

 

そいつがこちらを振り向く前に

表情を消して、素知らぬ顔で

私は 足早に歩き去る

 

こんな風にして誰もが

犯人捜しと八つ当たりに

瞳を燃やしながら

街を行く

 

日本中の人が

世界中の人が

あの人もこの人も

私もあなたも。

 

(写真・文: きのぴお・ぴーぱーたん)

 

 

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