中国武術

中国武術の目的はバランスを崩すことではない

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中国武術では、太極拳などバランスを崩すことを比較的重視する門派があります。また推手という名称で、試合形式にてバランスを崩す、保つに関する技術の優劣を競う競技も行われています。

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中国武術において、相手のバランスを崩すことは本来目的ではありません。相手のバランスを崩すことは、攻撃を食らわないため、または自分の攻撃を当てるための手段の一つです。
本日は「バランスを崩すこと」について解説します。

バランスを崩す目的

中国の風景中国の風景

バランスを崩す目的は、大きな目線で考えれば、「自分の身を護るため」となります。技撃に於いて自分の身を護るためには、大まかに分けて2つのアプローチがあります。一つは

  • できるだけ早く敵を排除すること

です。そのためには、攻撃を当てることが必要です。そしてそのためには、相手の防御を無効化しなければなりません。

技術的に決定的な差が開いている場合は別ですが、技術が拮抗している場合、万全の態勢を整えた相手に対し、正面から打撃を行ってもインパクトのある打撃は当たりません。打撃を当てるためには、バランスを崩し、防御を崩壊させる必要があります。

以前別のブログでも紹介しましたが、人間はバランスを崩し転倒することを恐れ、それを最優先に処理しケガを防ぐような機能が備わっています。これを活用し、相手がバランスを立て直すことに全神経を集中させている瞬間に打撃を行えば、高い確率で打撃を当てることができるようになります。また当った打撃が効果的に作用するようにもなります。

相手を転倒させて脆弱な部分、例えば後頭部、顔面を地面にブチ当てる、摔法で損傷を負わせる、体力を著しく消耗させる、という技法も広義の打撃と言えると思います。

自分の身を護るアプローチの2個目は、

  • 攻撃を食らわないこと、相手に攻撃させないこと

です。上述しましたが、訓練されていない人間は、バランスを崩した瞬間またはそこから立ち直ろうとする途中経過では、相手を打撃で攻撃しようするところまで意識が追いつきません。よってバランスを崩させることにより、相手が攻撃できない状況を作り出す事が出来るわけです。

この2つのアプローチについて逆に考えれば、自分がバランスを崩せば自分の防御が無効化されてしまい、防御力がゼロになることを表します。バランスが崩されている間は自分が相手を攻撃することさえできない状況に陥るということです。よってバランスが崩されないようにする訓練は必要です。

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バランスを保つ、崩す具体的な方法論

花のある風景花のある風景

私が知っている具体的な方法論としては、一つは相手と触れた状態で押し合い、倒し合いをすることです。これによりバランスの鋭敏さとバランスを崩しにかかってこられた際の対応策を学びます。

もう一つは打撃や蹴り、受けという動作に、受け流し、巻き込み等を加え、バランスを崩す要素を入れることです。打撃を普通にガツッと受ける、防ぐだけではなく、引っかけたり、強く受け流したり、或いは打撃に捻転動作を加えて相手がこちらの攻撃を受けた際、その手を絡め取る意念を入れたものを使うことです。

但し、これらを行うには、バランスを崩すという要求を自分が理解し、それを最適なタイミングで体現する必要があります。よってこれらの動作は技術的には難しく自由に取り扱うには手間がかかります。

まとめ

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中国武術にとって技撃の中でバランスの奪うこと、保つことは重要な技術要素です。ある程度の手間をかけて練習するべきだと考えています。各門派の套路の中にもバランスの奪い合いに関するヒントはあると思います。

套路の練習は、練習者にいろいろなことを考えさせ、発見を行わせるということは、中国武術の練習の面白さです。自分で見つけた要訣を仲間と議論することも面白いと思います。

今回は、中国武術の技撃の目的は「相手のバランスを崩すこと」ではない、ということについて解説しました。中国武術は大きな分類で分けると打撃系の技術に分類されます。打撃系の武術は打つ、蹴るが技術の中心になるため対打練習には傷害の危険を伴います。傷害の危険を回避するために打撃の動作を便宜的に省略し、バランスの崩し合いだけを行う場合もあります。

ただし、これを行い続けるとせっかくの「打撃を当てるため」と「相手に打撃を打たせないため」という目的を達成するための手段としてのバランス崩しが、「バランスを崩すこと」を最終目標としてしまうような錯覚を起こしてしまいかねません。私は本日のブログでそれについての問題提起と注意喚起をさせていただきたいと思います。

今回のブログでは相手の重心を壊す、バランスを崩すことについて解説を行いましたが、私は、中国武術の技術体系は、武器術の操法を徒手に当てはめたものである、という考えを持っていますので、バランスを崩すことを軽視はしませんが重視もしないというスタンスです。

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