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婦人画報が伝えた京都の魅力の展覧会_えきKYOTO 1/20まで

2020年01月02日 | 美術館・展覧会

京都駅の伊勢丹にある美術館「えき」KYOTOで、日本最古の女性誌「婦人画報」が伝えてきた京都の魅力を、13の家元をキーワードに紹介する展覧会が行われています。





目次

  • 「婦人画報」ってすごい
  • 婦人画報が京都に注目する理由
  • 「和」を伝える圧巻の13の家元



「婦人画報」ってすごい

婦人画報。
女性なら誰でも知ってる、男性でも誰もが聞いたことがある、日本有数の雑誌です。
いささか「レトロ」を感じさせるネーミングですが、あえて創刊以来のタイトルを使い続けていることに、「令和」の時代にあっては逆に惹きつけられます。

【婦人画報 公式サイト】

創刊は日露戦争で日本海海戦に勝利した1905(明治38)年、日本国中が湧きたっていた頃です。
初代の編集長は、小説家・ジャーナリストとして活躍した国木田独歩。
日露戦争後に日本が一等国の仲間入りするのを見越して、女性のライフスタイルの向上を社会に提案しようとしたのでしょう。

さらに驚くことに、婦人画報は創刊以来、一度も休刊したことがありません。
第二次大戦中にも発行し続けたということは、よほど上流階級のマダムからの支持が強固だったと考えられます。

えきKYOTOの展覧会場の外側回廊には創刊以来の表紙がピックアップされており、入館チケットを買わなくとも見ることができます。
「時代の鏡」という言葉をよく耳にしますが、婦人画報の表紙を見ているとまさに「時代の鏡」です。
会場内の展示を見終わった後、外側回廊の表紙の展示を「絶対に見忘れない」ようおすすめします。




婦人画報が京都に注目する理由

創刊当時からの長い歴史のなかで、日本文化の継承と女性の生活を豊かにするための提案をしてきたこと。
婦人画報の媒体資料にコア・コンピタンスとして定義されている美しい文章です。

上質な和の文化を提案するためには「京都」が欠かせません。
数えきれないほど京都で取材をし、先端の和の文化のサプライヤーと密接な関係を築いてきました。

婦人画報の公式サイトでは、「上質な京都の今」を伝えるコラム「きょうとあす」に、すべてのページの先頭行からジャンプできるようリンクを配置しています。
婦人画報が京都をいかに大切にしているか、ありありと伝わってくるWeb戦略です。

【婦人画報 公式サイト】 「きょうとあす」

そうした先端の和の文化のサプライヤーとの密接な関係が、今回の展示のメインテーマです。
13の家元をあげ、取材時のエピソードや掲載時に伝えた和の文化の魅力を、掲載当時の写真や記事を交えて紹介しています。
あわせて各家元が生み出した最高峰の作品を目の前にすると、和の文化の素晴らしさに誰もがため息が出ることでしょう。



展示会場入り口の池坊の立花(写真撮影OK、展示は1/2-5)


「和」を伝える圧巻の13の家元


この展覧会で紹介されている家元は以下です。
いずれも多くの人が耳にしたことがある名前でしょう。

  • 池坊家(華道家元)
  • 石田家(ガラス)
  • 伊東家(御所人形)
  • 井上家(京舞井上流)
  • 上村家(日本画)
  • 江里家(截金)
  • 志村家(染織)
  • 千家(茶道裏千家)
  • 徳岡家(京都吉兆)
  • 中村家(塗師)
  • 森口家(友禅)
  • 樂家(樂焼窯元)
  • 冷泉家(冷泉流歌道)


【展覧会公式サイト】 ご紹介した作品の画像の一部が掲載されています

池坊家では、江戸時代後半に新たなスタイルの提案で門弟を大きく増やした家元・池坊専定が描いた「鶴図」にまず目を奪われます。
四条派の一流の絵師の作品かと思ったら、なんと家元の自筆です。
自然の生き物を美しく表現しようとする心は「いけばなも絵画も同じ」とあらためて実感できます。

上村松園のあでやかな「鼓の音」も多くの人を惹きつけています。
黒髪と衣装の色のコントラストが絶品です。

江里家による截金(きりかね)作品「「截金盒子 截金まり香盒」」は、球形の「まり」に表現した紋様が輝いている逸品です。
その文様は直線状に切った金・銀・プラチナの薄い箔で表現されています。
伝統的な和のデザインと、宇宙空間を思わせるようなどこまでも奥深い空間表現の調和が見事な作品です。

井上家では、祇園甲部の芸妓・舞妓がハレの日にまとう「黒地松竹梅留袖」が、その漆黒の色合いから、展示空間を引き締めています。
黒は色の中で、最も表現が難しい色です。
すべての色の印刷は理論上CMYの三原色の組み合わせで表現できますが、黒だけはCMYで表現せずに独自のインクを使っていることからもおわかりでしょう。
この留袖の黒は、まさに最高品質の「黒」を表現しています。

最後に、紙面に幾度も登場している作家の瀬戸内寂聴を、14番目のキーパーソンとして紹介しています。
氏との対話のエピソードから、とてもほのぼのとした気分を味わえること間違いなしです。



京都駅改札も新春モード


雑誌づくりの視点で見た京都の魅力が、とてもわかりやすく紹介されています。
つなぎ、つたえる『人』と『家』。
展覧会のテーマに、京都の魅力が集約されています。


こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



婦人画報ファンの目線で選ばれた「おいしい!」


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利用について、基本情報

<京都市下京区>
美術館「えき」KYOTO
婦人画報創刊115周年記念特別展
婦人画報と京都
つなぎ、つたえる「人」と「家」
【美術館による展覧会公式サイト】
【主催者による展覧会公式サイト】

主催:美術館「えき」KYOTO、ハースト婦人画報社、京都新聞
会期:2020年1月2日(木)~20日(月)
原則休館日:会期中なし
開館(拝観)受付時間:10:00~19:30

※会期中に展示作品の入れ替えは原則ありません。
※この展覧会は、今後の他会場への巡回はありません。
※この美術館は、コレクションの常設展示を行っていません。企画展開催時のみ開館しています。




◆おすすめ交通機関◆

JR/近鉄/地下鉄 京都駅下車、ジェイアール京都伊勢丹7Fへ
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:5分

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には有料の駐車場があります。
※休日やイベント開催時は、渋滞/駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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