いちかわ壱『リセット』ネタバレ感想
描き下ろし番外編「越えてはいけない」収録。●「誰がいらないって言っても、俺はずっと傍にいるよ――」冬真(とうま)の恋人は、バスケ部の先輩で幼馴染の蒼(そう)。チームメイトや男女問わずモテるのに、恋人には過剰に依存して、捨てられる度泣きついてくる。そんな蒼の傷心に付け込んで、始まった秘密の関係――。いつそのことに気づかれてしまうのかと、いくら体を重ねても怯えていた冬真。そんな不安定な冬真と、蒼の歪んだ独占欲に気づいた、チームメイトの槙は、冬真を放っておけずに――!?
二つ違いの幼馴染み同士+受の同級生の三角関係。
ネガティブ思考の幼馴染みCP+見かねて介入する友人という図式。
付き合い始めて1年経ったところからスタート。相思相愛の幼馴染みCPなのに、病的に心配症な執着攻と卑屈な受というどちらも性格に難がある者同士のため、恋人として良好なコミュニケーションが保てずにギクシャクしていく二人。
そこに現れたのが二人のチームメイトで受の友人でもあるイケメン男子。受を心配した友人が無邪気にお節介を焼き始めたことで、ぎりぎりのところで保たれていた均衡が崩れ、ヒリヒリした三角関係に突入していくという展開。
BLではなかなか見かけない斬新な構成。まるでこの物語のあとに本編が来るような前日譚的作りになっています。この一冊ではメリバに近い印象。
最後まで読むと、タイトルの「リセット」の意味が分かり、成程そういうことだったのかとハッとさせられるものの、「リセット」=「二人の前向きな再スタート」と受け取るにはあまりにダークな幕引きといった印象。
執着攻(蒼)の歪んだ愛情はある意味分かりやすく、少し行き過ぎた感じがしつつも受一筋で可愛く感じられたのですが、槙の介入で冬真(受)の気持ちがどんどんあやふやになっていったのがなんともやるせない気持ちになりました。あんなに蒼のことを好きだったのになぁと。最終話になると蒼に対して冷めた発言をしたり、投げやりな態度になっていく冬真。
健気受が好きなので冬真が蒼を突き放した時点であちゃ~という気持ちに。蒼の病み方はわりと好みなんですが、冬真のメンヘラ具合は思いのほか分かりにくかったです。
「リブート」というタイトルで6 月号から続編の連載が始まったようです。
リセット
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