10天体12サイン(および3モダリティ4エレメント)、アスペクト理論が終わりました。

(個々のアスペクトの詳細=天体×天体の組合せと象意についてはまた別途書く予定です)

 

 

西洋占星術の基礎論のうちで残っているのはハウス理論です。

あと支配星(ルーラー)についてもまだきちんと書いていませんね。

 

読者の皆様はここまでの記事をきちんと理解されているでしょうか?

 

天体、サイン、ハウス、アスペクトという4つの基礎理論が分かっていないと

資質や性格、適職、恋愛結婚、相性判断、未来予測といった中級以降の内容を

正しく理解することができません。何事も基礎からの積上げ(土台)が大事なのです。

 

さて、今回は「そもそもハウスって何なのさ?」というカラクリのお話です。

さらに言えば、サインとハウスは働きや役割がどのように違うのか?ということです。

 

 

ネイタル図を見れば、外側の円周は12サイン(黄道)を示しています。

それに対して、内側の部分は12ハウスに仕切られているわけです。

 

つまり、1枚のホロスコープ(平面図)の中に

外部の円周(サイン)内部の円周(ハウス)という

性質が異なる2種類の円周がハイブリッドされている構造になっているのです。

 

 

「外周」を構成している「ゾディアック」(黄道12宮)の12サイン

1年をかけて太陽が通っていく公転軌道であり、四季の変化を表します。

(牡羊座が春分点、蟹座で夏至、天秤座で秋分点、山羊座が冬至ですね。

ちなみに、太陽の移動速度は 夏の期間はやや遅くなり、冬場はやや速くなります。)

 

これは地上世界とは関係がなく、天上の世界だけで完結しているお話です。

天空において1年をかけて太陽が通っていく専用の通路(王の道)です。

 

この黄道上の12区画が「サイン」で、そのどこに入居しているかによって

そこに入る惑星が帯びる性質や色づけが変わってくる

あるサインと別のサインにある天体間では「アスペクト」が発生する

というのがサインやアスペクトの理論です。これらは全て天の世界でのお話です。

 

 

それに対して、ホロスコープ内部にある12ハウスの分割というのは

斜めに輪切りになっている黄道帯を、地上のある地点から眺めながら

 

太陽の上昇点(東の地平線)南中点(天頂)下降点(西の地平線)北中点(天底)

という東西南北の起点となるポイントを定めて、空間を12分割したエリアです。

 

 

ですから、こちらの方は、天空の世界の話なのではなく

あくまでも、地上のある1地点から捉えた「地上の視点」です。

だからこそ、ハウスが意味するのは、地上の具体的な物事の領域なのです。

 

あるサインに入っていて、あるアスペクトを持っている天体が

地上のどのハウスに降りてくるのかによって、その天体の作用が

どの領域や分野や事象のなかに現れてくるのかを表示するのがハウスの機能です。

 

という抽象的なお話をしても、おそらく大多数の読者にはよく分からないでしょう(笑)

なので、具体的なケースを見ることで、ハウスの構造と作用を体感してみましょう。

 

◆ 出生時刻が変われば ハウス配置が大きく変わる!

 

同じ日(1/29)に生まれた人で、出生時刻が異なる4枚のホロスコープを分析しましょう。

明け方、正午ごろ、夕暮れ、深夜 で どのようにハウス配置が違ってくるでしょうか?

 

ちょうどこの日付の星の配置は半球だけに偏っていますので説明に好都合です。

 

 

明け方に生まれた場合は

太陽の位置は 東の地平線(上昇点=アセンダント)あたりにありますね。

この人の場合、全ての天体が「東半球」に偏っています。(1・2・3・10・11・12ハウス)

 

東半球に天体が偏る場合は、他人の立場や意見を全く考慮しない

自分の考えや思いだけで突っ走る傾向が強くなります。

東側のASC=第1ハウスでは「自分軸」「能動性」が強調されます

 

 

この出生図のように、第1ハウスに太陽がある人は、

基本的に他人の話は聞かず、糸が切れた凧のように気儘に行動します。

第1ハウスにある天体は「三つ子の魂 百まで」の修正しにくい先天的性格を示します。

 

 

さて、では正午頃に生まれた人ではどうでしょうか?

今度は太陽はMC(南中点=天頂)あたりにやってきます。

 

注意してほしいのは、先ほどと個々の天体の位置はほとんど変わっていません

月が22度から25度に動いただけで、他の9つの天体はほぼ同じ度数にあります。

つまり、出生時刻が変わっただけでは、天体の相対的な位置関係はほぼ変わりません。

 

しかし、地上から見た区分である「どのハウスに入るか?」が全く違ってしまうのです。

 

このように、多くの天体が南半球に偏っていて(南半球は 7・8・9・10・11・12ハウスです)

太陽が10ハウスにあり、MC付近に天体が多く集まっているタイプの人は

社会生活がとにかく華やかになります。

 

天頂=MCは、そのチャートで最も太陽が高く昇って輝きの頂点を極めるポイントです。

正午の太陽光線が明るく燦燦と降り注ぐわけですから

大衆からの評価や、社会におけるスポットライトや称賛を浴びて

目立つ公的ポジションで活躍し、脚光を浴びる生き方を求めるのです。

 

社会・会社・仕事のために人生の大半の時間を過ごすことで充実感を感じます。

逆に言えば、北半球が空っぽなので、プライベートな個人生活は空疎になります。

仕事がoffになり長期休暇になると、何をしたらいいのか分からなくなるタイプです。

別の言い方をすると、きわめて外向的なキャラです。

 

 

 

さて、夕方ごろの出生時刻ではどうでしょうか?

月は25度から28度まで進みました。もうすぐ魚座から牡羊座に入りますね。

太陽は西の地平線=下降点(ディセンダント)にあります。

 

この出生時刻では、MCにある天王星を除くすべての天体が

西半球(4・5・6・7・8・9ハウス)に集中して偏っています。

 

 

DSC=第7ハウスは、他者(相手)、対人関係、パートナーを示す領域です。

そこに太陽やその他の天体が集中する人は、受け身的で、他人に合わせる人です。

「他者軸」で「受動的」に生きようとします。

 

明け方生まれの東半球に天体集中していた人とは真逆になります。

自分はこう思う、自分が決断して断行して何かをするという能動性が欠落して

周囲の人がそう言ったから、他人にそう求められたからそうする、という生き方になります。

 

この人は、自分があまり無い、自我や能動性が不明確なタイプなので

常に周囲の目や他者の意見を気にして左右されやすく

他者との「社交関係」が人生における中心テーマになってきます。

 

 

さらに、深夜生まれだとどうなるでしょうか?

月は魚座28度から進んで、ついに牡羊座1度にサイン自体が変わりました。

 

月は性格を決める「3大感受点」の1つなので、魚座と牡羊座では全く変わってきます。

その他の天体では、太陽、水星、金星が明け方と比べて約1度ほど進んでいます。

 

天体の配置では、太陽は北中点=ICのあたりに沈んでいます。

真夜中ですから、昼間の天頂=MCの反対側に来ます。

北半球(1~6ハウス)に、天王星以外の天体がすべて入っています。

 

北半球集中型は、社会における「地位や肩書」にはあまり関心がありません。

人からどう社会的に評価されようがされまいがあまり気に留めないし

社会活動に重点を置くよりも、マイホーム生活や自分の趣味に時間を費やす人です。

 

別の言い方をすると、きわめて内向的なキャラです。

あまり好んで外に出て行って、多くの人の注目を集めたいとは思わない人です。

 

というふうに、同じ1日にも関わらず、出生時刻が変わるだけで

天体がどのハウスに配置されるかが全く違ってくることがお分かり頂けたでしょうか?

 

月以外の天体の相対的な関係(度数)は大きく変わりませんが

ハウス配置が変わることで、その人がどんな生活スタイルを好み

どの領域で自己表現して生きていこうとするのか?

がまったく天と地ほども変わってくるのです。

 

さらに、ASCや月のサインが違ってくると、基本的なキャラクターにも違いが生じます。

このように、西洋占星術は「出生時刻」に大きなウエイト(個人差)を置いています。

個人差やオリジナリティが端的に表れるのが「出生時刻の違い」なのです。

 

このあたりが、出生時刻をあまり重視せず、日付(月と日の関係)だけに注目する

東洋占(四柱推命)とは大きく違っている点でしょう。

(なので、私は出生時刻が不明ならば、四柱推命に重きを置きますが

正確な出生時刻が分かるならばホロスコープに重きを置いて鑑定します)

 

ホロスコープの語源は「東の空」という意味で、出生時刻のASC(上昇宮)を指しています。

 

古代ギリシャ人たちは、個々人の運命の具体的違いを産み出すのは、

「生まれた時刻」の違いである、と考えていたことになります。