1.緑内障とは?
緑内障とは、目から入ってきた情報を脳に伝達する視神経という器官に障害が起こり、視野(見える範囲)が狭くなる病気のことです。
治療が遅れると失明に至ることもあります。
白内障のまとめもあります⇒
視神経は通常100万本くらいの線維の束になっているが、その線維が減っていき、減った部分はものが見えづらくなります。
40歳以上の20人に1人が発症すると言われ、進行するまで自覚症状はありません。
緑内障は年齢とともに発症するリスクが高くなるため、40歳以上の人は年に1回は眼科受診が勧められています。
失明原因1位の緑内障と言われています。
2.緑内障の種類
①原発開放隅角緑内障
房水の出口である線維柱帯が徐々に目詰まりし、眼圧が上昇します。
ゆっくりと病気が進行していく慢性の病気です。
②正常眼圧緑内障
眼圧が正常範囲(10~21mmHg)にも関わらず緑内障になってしまう種類の緑内障。
これを正常眼圧緑内障と呼び、開放隅角緑内障に分類されます。
近年行われた全国的な調査の結果から、緑内障の約7割が正常眼圧緑内障であり、また欧米にくらべて日本人に多いと言われています。
このタイプが一番多いと言われています。進行はゆっくりで、見える範囲が少しずつ減っていきます。
<正常>
<初期>
<中期>
<末期>
症状は、少しずつ見える範囲が狭くなっていきます。
その進行は非常にゆっくりで、両方の目の症状が同時に進行することは少ないで、病気がかなり進行するまで自覚症状はほとんどありません。
③原発閉塞隅角緑内障
隅角が狭くなり、ふさがって房水の流れが妨げられ(線維柱帯がふさがれて)、眼圧が上昇します。慢性型と急性型があります。
④発達緑内障
生まれつき眼内の水の流れ路が未発達であることから起こる緑内障です。
⑤続発緑内障
外傷、角膜の病気、網膜剥離、目の炎症など、他の目の疾患による眼圧上昇や、ステロイドホルモン剤などの薬剤による眼圧上昇によっておこる緑内障です。
眼圧が高くなるほど、「視神経乳頭」という部分に圧力がかかり神経線維が傷つきやすくなります。急激に圧力が高くなることで、2~3か月でほとんど目が見えなくなることもあるようです。
<検査方法>
①視力検査
②屈折検査
専用の機器で近視、遠視、乱視の度数を調べます。
③眼圧検査
眼に空気を噴射し、眼球内の水の圧力を調べます。
④眼底検査
医師が顕微鏡で眼球の中をのぞき視診。眼底写真を撮り、視神経の減り具合を調べます。
⑤視野検査
ドームの中を覗いて、上下左右に現われる光が見えた時にボタンを押す。その結果で、視野が欠けていないかを調べます。
3.緑内障の治療
緑内障は、眼圧を下げることができれば、その進行を防止したり、遅らせたりすることができる可能性のある病気です。
ただし、障害されてしまった傷ついてしまった視神経は回復することはありません。また、進行を止められない緑内障もあります。
治療の目的は進行を止める、または遅らせることであり、回復させることはできないです。
①薬物療法
多くの緑内障は薬物療法が治療の基本となります。
現在は、緑内障のタイプ・重症度・眼圧の高さなどに応じて処方されます。
点眼薬の種類は緑内障治療薬だけで現在10種類以上あります。
<種類の目薬だけで効果が少ないと判断された場合>
複数の目薬を組み合わせて処方されます。点眼は1回に1滴。複数のときは5分以上空けてさすことで、なるべく副作用を少なくして、確実に効果を得る点眼方法。
眼圧を下げる飲み薬もありますが、全身の副作用が強く出ることがあります。
②レーザー治療
主に2つの方法があります。
一つは、虹彩(いわゆる茶目)に孔を開けて、眼内の房水の流れを変えるというもので、多くの閉塞隅角緑内障がこの方法によって治療可能と言われています。虹彩に孔を開けるときにレーザーを使用します。
もう一つは、線維柱帯に照射することで房水の排出を促進するためのレーザー治療です。一部の開放隅角緑内障に効果があります。レーザー治療の痛みは極軽度で外来で行うことができます。
③手術
薬物療法やレーザー治療が功を奏さなかった場合に行われる治療です。
①房水を眼外に染み出すように細工をする手術
②線維柱帯を切開して房水の排出をたやすくしてやる手術
の二つがあります。
手術をしても症状が改善するのではなく、あくまで眼圧を下げて進行を食い止めるのが目的です。
術後に再手術が必要となる可能性もあります。またうまく眼圧が下がっても定期的な管理が必要と言われています。