永代供養でも戒名は必要?土地代とそれ以外にかかる費用は?

お墓の問題について

お墓の専門業者に相談に来たBさんは永代供養を検討していますが、その場合でも戒名が必要なのかどうかについて悩んでいます。

そこでここではそもそも戒名とは何なのか、永代供養の場合でも必要なのかどうかについて見ていきたいと思います。

 

永代供養の場合でも戒名必要?

①そもそも戒名とは?

戒名とは、厳しい戒律を守って仏門に入った方が授かる名前のことをいい、本来であれば、戒名は生前にもらい仏教の信者として生活を送ることが理想的であるとされてきました。

しかし現在では、ほとんどの方が亡くなってから戒名をもらうことが多いようです。

一般的に戒名は、菩提寺、つまり先祖の位牌を納めているお墓の住職が決定します。

また菩提寺がない場合は、葬儀を取り仕切る僧侶がつけることもあります。

 

②永代供養の場合、戒名は必要?

戒名は葬儀の時に使い、位牌に置いたりお墓に刻むために使用します。

このように葬式に使ったりお墓に刻むためにつけられる戒名ですが、永代供養墓の場合、この戒名は必要なのでしょうか。

菩提寺があり、そこで葬儀や納骨を行う場合は、基本的に戒名は必要です。

しかし、供養の方法も多様化しており、先祖代々受け継いできたお墓に入るだけではなく、永代供養や海洋散骨といった供養の方法もあります。

永代供養とは、納骨堂や永代供養墓に遺骨を預け、遺族に代わって霊園や墓地の管理者に供養や管理をしてもらう方法です。

納骨堂とは遺骨を預けておくお堂のことですが、多くの場合、13回忌や17回忌などのタイミングで遺骨を永代供養墓に移します。

永代供養墓は他の遺骨と合祀されることがほとんどで、墓誌版などに故人の名前が記されます。

この墓誌名の名は、公営や民営の霊園であれば戒名ではなく俗名のままで問題ありません。

また海洋散骨は、遺骨を粉砕して粉状にし、海にでて撒くという供養形式です。

年忌法要などをどうするかは故人と遺族の考え方次第ですが、墓を持たない供養形式のため、とくに戒名を必要としていません。

 

③戒名が不要だと感じたら?

それでは、戒名について検討してみて、やはり不要だと感じた場合はどうすればいいでしょうか。

まずは、菩提寺がある方は、その旨をお寺に伝えて相談しましょう。

戒名をつけなくていいとするのは、仏式での葬儀や法要は必要ないという意味になります。

もし菩提寺の僧侶にお願いして葬儀を行わないのであれば、墓地に入ることも拒否されてしまうかしれませんし、離檀する必要が生じる可能性もあります。そのことも含めて、しっかり相談することが大切です。

菩提寺がなく、葬儀社にお寺紹介してもらうという際には、葬儀社や紹介先のお寺に戒名は不要であることを早い段階でしっかり伝えておきましょう。

 

④戒名の料金は?

戒名の料金は基本的には決まっておらず、お布施という形で支払われます。

相場はだいたい最低2万円からとなっているようですが、戒名のランクによっては、高い場合100万円を超える場合もあるようです。

 

お墓の土地代について

相談者Bさんは、予算の都合上お墓を建てるとしてもあまり費用はかけたくないので、お墓は最低限の大きさでよいと考えています。

業者によると、民間のお墓の区画では最小のものは0,36、つまり60×60cmと座布団一枚ぐらいのものがあり、お寺の場合は、3~4平米くらいからあるそうです。

確かにお墓を建てるための費用はけして安いものではありません。

だからこそ、お墓を建てる上でどのくらいの費用が発生するのかについて、きちんと把握しておく必要があります。

お墓を建てるためには、そのための土地区画と実際に建てる墓石とが必要となってきます。

そこで今回は、お墓を建てるための土地代としてどのくらいのお金が必要なのかについて見ていきたいと思います。

 

①お墓の永代使用料とは?

お墓の土地代はより具体的な言い方にすると永代使用料と呼ばれるものとなっています。

これは、お墓を建てる上で墓地や霊園の管理者から永代使用権と呼ばれる権利を購入する際に必要となってくる費用のことを指して言います。

つまりその土地区画の永代使用権を購入することで、初めてその区画にお墓を建てることができるようになります。

またお墓の跡継ぎがいたり管理費を支払い続ける限りは、永代使用権を持つ区画をずっと使用していくことができます。

ちなみにこの土地代は、お墓を建てる時に墓石代などとまとめて支払うのが一般的とされており、いわばお墓の初期費用の1つとなっています。

ただし永代使用権を購入したからといって、その区画がお墓の利用者のものになるというわけではないので注意が必要です。

所有者はあくまでもその区画がある墓地や霊園の管理者にあるということは、あらかじめしっかり理解しておきましょう。

 

②お墓の土地代の相場は?

土地代である永代使用料を支払うことで、そのお墓のための土地区画を利用できるようになります。

では、お墓の土地代の相場はどのくらいなのでしょうか。

土地代の費用の相場は全国的な平均で70万円前後となっています。ただし各地域ごとに見ていくと、その価格はさまざまです。

相談者Bさんは茨城県に住んでいますが、例えば関東地方の場合、東京都心であれば160万円〜200万円、多摩地域で40万円〜60万円、神奈川県では40万円〜60万円、千葉県は20万円〜40万円などどなっています。

これらの地域ごとのお墓の土地代を見てみると、大都市圏の中心に行くほど高くなり、逆に都心から遠ざかるほど比較的安くなるという傾向にあります。

つまり地域によって土地代に差があるということですが、ではどうしてその差が生まれるのでしょうか。

 

③なぜお墓の土地代の価格に差があるの?

地域によってお墓の土地代の価格に差が見られますが、その差が生まれる原因とは一体どのようなものなのでしょうか。

ここでは、その原因として考えられる4点を挙げて説明していきます。

 

▪土地の価格(地価)の影響が大きい

まず、お墓の土地代がその地域の土地の価格(地価)の影響を直接受けやすいという理由が挙げられます。

地価と聞くと、多くの方は不動産にかかる価格をイメージされるでしょうが、お墓の土地区画にかかる費用もそのまま不動産にかかる価格を指します。

そして、地価は地域によってばらつきがあるため、各地域のお墓の土地代にも差が出てくるものと思われます。

 

▪運営母体の違い

次に、墓地や霊園の運営母体の違い、つまり管理者の種類が違うという点も土地代の価格に差がある理由として挙げられます。

墓地や霊園の種類は大きく分けてお寺の墓地と公営霊園、民営霊園の3つが挙げられ、その管理者もそれぞれお寺と地方自治体、公益法人や民間企業と異なります。

この中でも公営霊園の場合は住民が納めた税金で運営されるため、他の2つのタイプの墓地や霊園に比べ、土地代が比較的安く設定されていることが多いようです。

ただし、公営霊園の区画は土地代が安い反面、競争率も高めになりがちですので早めに動くのがおすすめです。

 

▪立地や広さ

次に挙げられる要因として、そのお墓の区画のある立地や広さが関係してくることにあります。

立地に関しては、主にその区画のある墓地や霊園の立地条件が大きく関係しています。

例えば、都市部に近く比較的アクセスの良いところであれば土地代も高くなり、一方で地方部で比較的アクセスの良くないところに立地している場合は逆に土地代が安くなる傾向にあります。

また、墓地や霊園の周辺環境の良し悪しによっても土地代が高くなったり安くなったりします。

さらにその区画が広かったり狭かったりすることで、土地代も高くなったり安くなったりします。

もちろん面積が広いほど、それに比例して土地代も高くなっていきます。

加えて区画が広いと、その分墓石も立派なものにしたり、五輪塔や墓誌、地蔵像などといった墓石以外の施設を設けるなどするため、土地代以外の費用もかさんでくることとなります。

 

▪お墓の種類

その区画に建てることのできるお墓の種類によっても土地代は変わります。

特に近年では普通の和型墓石を使ったお墓だけでなく、複数の故人のご遺骨を合祀をするための永代供養墓や樹木葬専用のお墓といったさまざまなタイプのお墓がでてきており、一言でお墓といってもその種類はかつてよりも多様化してきています。

そして、合祀用の永代供養墓や樹木葬専用のお墓は、普通のお墓に比べても比較的土地代が安く設定されていることが多いようです。

 

土地代以外にかかる費用とは?

お墓は土地代以外にも墓石代や年間管理料、納骨費用などさまざまな費用がかかります。

以下ではその価格について具体的に見ていきます。

 

①墓石代

墓石代には石材費や加工費、施工費も含まれます。石材費は原産地が国内であるか海外であるかによって、加工費はデザインや使用した石材の量によって、また実際の工事でどのくらいの人員や機器を投入したかによって異なります。

墓石代の平均はおおよそ100万円〜200万円ですが、もちろん石材の質や量、デザインなどによって高くなる場合もあります。

 

②年間管理料

年間管理料とは、お墓を利用し始めてから毎年墓地や霊園の管理者に支払う管理費用のことです。

いわば、賃貸住宅でいう家賃にあたるもので、お墓を守っていくうえでこの管理料を定期的にきちんと払う必要があります。

年間管理料の相場は墓地や霊園の種類によって異なり、公営霊園は4千円〜1万円、民営霊園は5千円〜1万4千円、お寺の墓地は1万円前後となっています。

 

③納骨にかかる費用

納骨にかかる費用とは、具体的には故人のご遺骨の納骨供養の際に読経を行う僧侶の方へのお布施代や実際のカロートへの納骨作業にかかる費用、そしてお墓への故人の戒名の彫刻代を指します。

お布施代は1万円〜5万円、納骨作業の費用、1万5千円〜3万円、故人の戒名の彫刻代は3万円〜5万円となっており、これらを全部合計すると数万円〜10万円前後の費用が必要となってきます。

 

永代供養の特徴と種類とは?

相談者Bさんの母親は現在は自分で車の運転をするなど健在ですが、Bさん自身はそれもあと5年ぐらいが限界ではないかと考えています。

しかも母親は亡くなった後はお墓を次ぐ方がいなくなってしまうので、まだ元気なうちに、例えば墓じまいにはこれぐらいかかる、また、永代供養としてはこんな方法があるということを相談しておきたいと考えています。

そこでここでは永代供養のお墓の種類やそれぞれの価格について具体的に見ていきます。

 

①永代供養のお墓の種類とは?

永代供養のお墓は、大きく分けて「単独墓」「集合墓」「合祀墓」「納骨堂」という4つのタイプのお墓があります。

▪単独墓

単独墓は、一般的なお墓と同様に個人ごとに墓石を建てることが可能です。

多くの寺院墓地などでは、33回忌までなどと一定期間は単独で供養することができます。

ただし、あらかじめ決められた期間が過ぎた後は合祀されるのが特徴となっています。

▪集合墓

集合墓は、一般的にはシンボルとなる石碑がひとつ建立されており、納骨するスペースが個別に分けられていることが大きな特徴です。

単独墓同様、定められた回忌を超えると合祀されます。

 

▪合祀墓

合祀墓は納骨するスペースが区分されておらず、シンボルとなる石碑などモニュメントが設置される点では集合墓と同じです。

しかし、納骨するスペースが区分されていないため、改葬することは難しいのがデメリットとなっています。

 

▪納骨堂

遺骨を安置できるスペースです。家族用や夫婦用、個人用などさまざまなタイプがあります。

 

永代供養のお墓を検討する際に気をつけるべき点とは?

①永代供養は永遠ではなく期間があること

永代供養のお墓は33回忌、50回忌など、供養の期間があらかじめ定められています。

永遠に供養してもらえると勘違いしてしまうとトラブルの元になりますので、検討する際はしっかり確認しておきましょう。

 

②改葬できなくなる可能性がある

永代供養のお墓は、将来的に複数の方と同じ場所に遺骨を納めることになることが多いため、改葬できなくなる可能性が高いことを把握しておくことが大切です。

33回忌など供養の期間が先まであると改葬する可能性までは考えない方もいますが、改葬できなくなる可能性があることは知っておきましょう。

 

③家族や親族と相談しておく

永代供養墓にする際には、家族や親族との事前の話し合いはとても重要です。

跡継ぎをする可能性がある方からすると、違う考え方を持っている方ももいるかもしれません。

できるだけ永代供養のお墓のメリットやデメリットをしっかり話し合っておきましょう。

 

永代供養のお墓の費用は

永代供養は一般的なお墓と比べると安価とはいわれていますが、実際にどのぐらいかかるのでしょうか。

それぞれのお墓のタイプ別に見ていきたいと思います。

①単独墓

単独墓の永代供養料の平均相場は約40万円と墓石代です。

ちなみにある調査によると、全国の平均墓石購入価格は約134万円となっています。

つまり永代供養料約40万円と墓石代を合計すると、価格約134万円で約174万円となります。

このように永代供養墓といっても単独墓を選択する場合は、決して安価とはいえない金額が必要になります。

しかも一定期間後は合祀され墓石は撤去されてしまいますので、そのあたりも十分考慮して検討しましょう。

 

②集合墓

納骨堂の永代供養料の平均相場は約20万円です。

また、墓誌に氏名などを刻字するため、文字数によっても異なりますが一般的に約3万円を費用としてみておきましょう。

費用を重視している方にとっては単独墓よりも選びやすいかもしれませんね。

また納骨スペースが分けられていることを希望する方にもおすすめです。

 

③合祀墓

合祀墓の永代供養料の平均相場は約10万円、墓誌への刻字に約3万円かかります。

ただし、納骨スペースが分かれていないため、改葬ができないので、「後継ぎがいない」「費用はできるだけかけたくない」という方にはおすすめのタイプです。

 

④納骨堂

納骨堂の平均費用相場は約98万円となっています。

スペースがコンパクトですが、個人用、夫婦用、家族用の順に納骨スペースが広くなるため費用は高くなります。

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