【看取り】ご遺体との接触はリスクがあります

雪乃
雪乃

いつもありがとうございます。先日起きたTwitterカツ丼マイ騒ぎから、介護についての話題も賑やかになっています。そんな中、介護の看取りのケースについて「うちで亡くなられた入居者さんにはスタッフがキスしてお見送りしている」などという経営者まで現れたので、その件について書いてみます。

介護職と看取りについて

現在のところ、病院以外で亡くなられる利用者さんはあまり多くはありません。

介護施設内で亡くなったり、自宅で亡くなられるケースは今後増えてくると思いますが、私は在宅の介護サービスを調整していてもそのようなケースを担当したことはあまりありません。

末期がんのようにあらかじめ死亡する時期がわかっている場合などは、訪問診療と訪問看護などを調整して、自宅での看取りを調整する場合もあります。

介護施設などでも同様に、利用者や家族が施設での看取りを希望されるケースは医師や看護師にしっかりと協力を得た上で、病院への搬送などは行わず、施設での看取りを実施することになります。

看取りの主体はあくまでもご本人やご家族ですが、介護職が看取りに関わるという例は、今後増えると思われます。

しかし、Twitterを見ていると、あたかも介護職が看取りの主体であるかのように勘違いした投稿が見受けられるように感じます。

看取りを美化したり、介護職が感動を感じる物語として看取りのケースを消費しているかのように見える投稿もあります。

ある施設では、『亡くなられた利用者の死後処置を、家族とスタッフが爆笑しながら行った』ということがあったそうです。

爆笑しながら処置を行ったスタッフは法人の代表にその動画を送り、代表はスタッフからそのような動画が送られてきたとSNSに投稿し、私はその件について知りました。

動画の投稿こそありませんでしたが、個人的には信じがたい投稿です。看取りをどのように受け止められるかは、ご家族次第だと思います。家族の死を淡々と受け止められていたご家族にもあったことはあります。亡くなられた後の処置を笑って見ている家族も、極めてまれでしょうが、いるかもしれない。

しかし、その様子を撮影させてもらうというスタッフの神経が理解できない。

SNSに投稿するのは、利用者家族と関係性が構築できていることのアピールかもしれません。しかし、亡くなられた利用者さんをそのようなアピールに使っているのだとしたら個人的には感心しません。

撮影させてください、と言うこと自体、私だったらできないでしょう。まあ普通に考えたら亡くなられたご家族と一緒にであろうが、ご遺体を前にして爆笑するなどという神経が、私にはよくわからないのですが。

何も看取りのケースを必ずしも重大に、悲劇のように受け止めろと言っているのではありません。最低限の節度があるだろうと思うのです。私の価値観の押し付けだと言われようが、今のところこれを譲るつもりもありません。

また、撮影させていただくにしても、リスクがあります。

安易に遺体の写真を保存してしまえば、流出のリスクはありますね。介護の仕事は、個人情報を預かるので、どれも流出させてはいけないのは同じです。

流石にプロとして個人情報の扱いはしっかりしてるだろうと思いますが、SNSなどから流出してしまえば訴訟沙汰ですね。

また、看取りのケースを美談ばかりだと思わせるような投稿をするのは、誤解の元だと思います。キラキラした話ばかりではないのが現実です。キラキラしたケースばかりが介護の世界にあるのだと、世間には思ってほしくないです。単なる個人的な願いですが。

遺体との接触と感染リスク

ここまで書いてきた話だけでもう、不謹慎極まりないと思うのですが、さらに不謹慎というか表現のしようもない投稿がありました。

爆笑しながらエンゼルケアの話を投稿した法人代表を擁護する文脈で、別の施設経営者が「うちでは亡くなった方とハグしたりキスしたりする。爆笑しながらエンゼルケアなんて問題ない」と投稿しました。

そりゃ死生観は人それぞれなんでしょう。でもこの感覚も、私には理解ができない。

遺体にキスをしたりハグしたりするのは、ご本人を大事にするとかそういう次元の話とは何か違うと思います。

そして、専門職としてあるまじき行為です。

感染のリスクを無視しているとしか思えないからです。

人体は、生命活動を停止すると細菌の増殖が始まります。

病院などで勤務すると、ちゃんと習うそうです。看護師だったり、病院で勤務する介護職だったら知っているはずです。

病気に対する抵抗力が低下している方と接する機会の多い職業なのですから、自分の身をしっかり守らないといけません。感染症対策が疎かなようでは、利用者の安全も守れません。

亡くなったご家族の前でどう振る舞うかは、百歩譲ってその事業者とご家族との関係性によりいろいろあるにしても、感染症や衛生管理についての知識が乏しいとなれば話は別です。

「生きてるころと何が違うんだ」という発言も理解しがたい。生き物は死亡したら細菌が増殖するのは基本的な知識の範疇です。

基本的な知識を欠いたまま、看取りについて語るのもどうかと思います。

私だって別になんでも知っているわけではありません。ですが、知ろうとする姿勢は大事だと思います。

投稿主はTwitterで感染症のリスクについて指摘をされながら、まともに返事をしませんでしたし、別の話題では「根拠なんてどうでもいい」とまで言っています。

そうやって根拠を軽視するから、感情論、根性論で感染リスクを伴う対応をして、現場の人間にも危険なことをさせてしまう。

これまでに積み上げてきた根拠や、初歩で習う知識は重要です。

それを軽視して失敗したら「ドンマイ、お疲れ」では済まなくなります。

これからの介護とか看取りとか、いろいろ語っていますが、基本的な知識が足りないのならまずは勉強するべきではないかと思いました。

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