田舎暮らしの残念なところ二つ
二カ月会わない間に、二十歳の息子が金髪になって帰って来た(笑)。髪を染めたり、色を抜いたり、試行錯誤できる若者のエネルギーに脱帽である。私も今更だが、数日でもいいから、一度は金髪を体験しておいてもよかったかななんて。
そもそも息子程には外見に気を使わなかった学生時代だった。どおりで金髪にしようとまでは思わなかった訳だ。
B'zが好きすぎて、稲葉さんみたいになりたくて髪型や洋服のテイストを真似していた記憶はある。
息子と方向性は違えど、それなりに楽しんでいた学生時代を久しぶりに思いだして苦笑い。
さて、昨日の「田舎暮らしの良いところ三つ - おみぃの裏山に引き続き、今日は「田舎暮らしの残念なところ」について少し考えてみた。
その壱 車がないと生きていけない
「高齢者」「マイカーのない人」「ペーパードライバー」「免許のない人」「運転苦手な人」にとってはかなり不便なことは間違いない。
「高齢者」に該当する人にとっては、車をまだ自分で操れるか否かということは死活問題なのである。高齢者ドライバーによる事故のニュースを聞かない日はない昨今。「免許返納しても生活が成り立つんならとっくに返しているよ」というのは近所の八十代後半のおじさん談。
我が町のコンビニは、もはやコンビニエントとはとても言える代物ではない。コンビニまで車飛ばして15分。そもそも歩いて買いに行けるような商店は、この30年で激減している。激減というよりほぼそのゼロに近い。
たとえ若い人が同居してるにせよ、この地域の多くの世帯は共働き。やれ買い物だ、やれ病院だと、いちいち若い人を頼るわけにもいかないだろう。
路線バスの便も今は朝夕のみ。しかし地域のコミュニティバスが運営されるようになったことは朗報だ。元々運転好きでない私は早めの返納をしたいので、コミュニティバスの充実には大変期待しているところだ。
その弍 緊急時のサービスが利用しにくい。利用出来ない場合も!
たとえば換気扇周りや水廻りのトラブル関係、エアコンクリーニング等、今まで沖縄で利用していた全国チェーンのサービスが、該当地域でないという理由でことごとく断られるということを数回経験した。
それでいて、不思議ときっちりとオール電化のセールスは隅々まで網羅されていたりのアンバランスがなんとも言えないが。
二十年前、夫が突然倒れた時は沖縄の離島に住んでいた。慌てて119番したら、繋がらなかったか、「診療所に直接電話し直して」と言われたのか、記憶が曖昧だが、とにかく今で言う「ドクターヘリ」の到着するまでの時間の心細さと言ったらなかった。
夫が亡くなって後、離島じゃなかったら…と慰めてくれた人もいたけれど、離島じゃなければ夫は助かったのかは神のみぞ知るである。
おまけ 娯楽にしても、食品や衣料品、雑貨等の選択肢が圧倒的に少ない。
しかし、沢山の中から一つだけ選択することにエネルギーを費やすことの大変さを考えたら、私にはむしろ利点!どうせ悩むなら他のことで悩みたい。
田舎暮らしの良いところ、残念なところ、それぞれあるけれど、三十年ぶりに暮らす故郷は、残念なところを帳消しにしてくれる程の魅力に溢れていることだけは確か。
冬が寒ければ寒いほど、春が有り難く、待ち遠しいのとちょっと似ているかな。
もし三十年以上前に、この田舎の魅力に気づいていたならば、今二十歳に成長した息子はこの世に生まれていなかったんだと思うと人生の出会いの不思議を思わずにいられない。
遠回りしたくないけど、私は遠回りしてやっと気づく人間なんだろう(苦笑)。これで人生よしとしようではないか。
ひとまず、息子も無事帰り、久々の故郷でともに過ごす年末年始が楽しみである。
明日は金髪男子と成人式の背広を買いに出掛けよう。