建設業の職人は、仕事量と作業時間の割に儲からない職業です。
実際に厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、建設業は16業種の中で所定労働時間が2番目に長いにもかかわらず、給与額は5番目という残念な結果となっています。
現場での労働時間=肉体労働かつ危険の伴う作業であることを考えると、儲からない仕事であることは否めません。
本記事では職人が儲からない4つの理由と、儲けるために必要な心構えについて紹介します。
【儲からない理由1】完全出来高制の給与体系
職人は固定給ではなく、働いた日数分だけしかお給料が出ません。
極端な話、1ヶ月に1日しか働かなかったら、お給料も1日分しか出ないということになります。
それならば毎日働けば良いと考えますが、現場作業というものは休みになりやすい職種です。
現場の都合上仕事がなくなるタイミングもありますし、天気が荒れている日も安全のために休みにします。
また多くの人が一堂に会するため、2020年のコロナウイルスによる影響も多大なもので、大手ゼネコンが500箇所の現場を閉所するなどしました。
出典:「緊急事態宣言」の対象地域拡大を受けた当社の対応について|清水建設株式会社
このように働いた分だけしか稼げない割に、休みができやすいことが、職人という仕事が儲からない一因です。
【儲からない理由2】発注者から距離が遠く中抜きが多い
サービスや商品というのは、基本的に販売元や依頼主に近いほど大きな利益がでます。
たとえば野菜をスーパーでなく直売所で購入した場合、スーパーで購入するよりも価格は安いです。
そのように、間に業者が少なければ少ないほど、サービスや商品はお得なのですが、イラストのように建設業では施主から一職人まで多くの業者が介しています。
そのため最初に支払われた莫大なお金も、職人にたどり着くまでは少なくなってしまうのです。
使われる立場であれば、平均して日当2万円前後が頭打ちでしょう。
そこから税金や保険料を支払っていきますし、後述しますが職人を続けること自体にお金もかかります。
そもそも中抜きが多いというのも、職人が儲からない理由のひとつです。
【儲からない理由3】単価を下げないと仕事がとれない
物を購入するときに少しでも安く買いたくなるのと同じく、ゼネコンなども安い工務店・職人に仕事を発注します。
そのためどこの工務店も請負単価(平米単価)を安く設定していますし、仕事をとるためにさらに単価を下げることも多いです。
単価が下がることで日当が減ることはないのですが、配当金(一般企業でいうボーナス)の額は減ります。
一般的なサービスであれば、サービスごと価格が異なっても品質や特典などの観点で問題ありませんが、職人の場合は露骨に価格で比べられてしまうのです。
そのように安くしないとそもそも仕事を取れないということも、職人が儲からない原因でしょう。
バブル期であれば、建設現場の職人は多くの職業のなかでもとくに儲かる職種で、日当は最低2万円以上、年収が1,000万円を超える人もザラにいました。今は最高でも2万円程度・・・
【儲からない理由4】働くこと自体にお金がかかる
儲からない=お金に余裕がないと置き換えて考えたとき、出費の多さも理由のひとつとして挙げられるでしょう。
そもそも職人は働くために工具や電動工具を必要としており、壊れたり失くしたりすると新たに買わなければなりません。またデスクワークと違って服も破れやすく、作業着もよく買い替えます。
また健康保険料や厚生年金保険料など、保険料・税金関係が会社負担されないことも多いです。
それらの出費がどうしてもかさむため、働き続けること自体にお金がかかります。
儲けるために必要な2つの心構え
職人として儲けるためには、2つの心構えを持ちましょう。
それは「満足しないこと」と、「環境に固執しないこと」です。以下より詳しく解説します。
満足しないこと
筆者はどんな作業でも時計を見ながら「この作業に何分かかったか」を常にチェックして、次に同じ作業をしたときに時間を短縮できるように、試行錯誤を欠かしませんでした。
今の品質や時間に満足せず向上心を持って作業すると、その努力は人工(職人の日当)の額として表れるからです。
作業の効率化や品質向上を図ることこそ、まずお給料を上げるための第一歩だと言えます。
またそれは日々の作業だけでなく、今の立ち位置にも言えることです。
使われている職人よりも親方、親方よりも工務店の社長の方が儲けられます。
今の立場で停滞せず、「少しでも早く親方に」「少しでも早く独立を」と上を目指すことを忘れないようにしましょう。
今の環境に固執しない
国全体の生産額のうち5.5%は、建設業が占めています。
金額にすると30兆円弱で、単純に考えるとその金額分の仕事が国内にあるということです。
出典:大林組|建設業界データ集
よって受注先や勤務先などに固執せず、柔軟性を持って仕事をしましょう。
少し冷たいかもしれませんが、情で飯は食えません。
仕事が少ない、給料が上がらない場合は、今いる環境を見つめ直すことも大切です。
一番儲かる職人の種類は?
「職人」とは庭師や陶芸家など、数多くの職種を指す言葉です。
本サイトはあくまで建設現場の職人をテーマとしていますが、それら全てを含めたとき一番儲かる職人はどれか気になりますね。
種別 | 給料額(日当) | |
---|---|---|
現場職人 | 躯体業者 設備業者 など |
2万円前後 |
その他の業者 | 1.5万円前後 | |
工芸品などの職人 | 一般工芸品の職人 | 1.5万円前後 |
伝統工芸品の職人 | 2万円前後 |
上記表が職人ごとの給与イメージなのですが、工務店や人によって支払われる単価は異なるので、「高いと聞いていたのに雇われてみたら違った」というケースも少なくありません。
興味のある職人の仕事が儲かるかどうかを大まかに判断するには、以下の要素に着目してください。
- 取り扱う物の需要(値段)
- 人手が充足しているかどうか
まず建設業は需要が高く、建物本体は値段も高額です。そのため建設現場の躯体業者や設備業者は、基本的に職人の中では高い単価を得ています。
そして人手不足の職種であれば、高待遇が期待できます。とくに伝統工芸品を取り扱う職人は、後継者不足に悩まされていることも多いです。
ただ工芸品ごとに難度や需要が大きく異なり、一概に全ての伝統工芸品の職人が高単価とは限らないので、事前の判断程度に留めておきましょう。
食い繋ぐためには副業も検討しよう
思うように儲からないけど職人は続けたいという方は、副業も検討してみてください。
日曜のお休みはもちろん、仕事終わりのハイエースの中だけでも副業は可能です。
個人的には、スマホでもできてしまうライティングのお仕事をおすすめします。
ガッツリ稼ぎたいならパソコンは必須ですが、とりあえず空き時間にチャレンジしてみたいという方には最適でしょう。
興味がある方は、クラウドソーシングサービスなどに登録をして実際にどんな仕事があるかチェックしてみてください。