イ ギ リ ス 在 住 夫 婦 の 記 録

イ ギ リ ス 片 田 舎 に 駐 在 中 の 夫 婦 の ブ ロ グ

コロナでイギリスはどんな状況になっているか 【政府・スーパー・人々の反応など】

イギリスで外出制限が始まって2週間が経ちました。今のイギリスでの生活状況をお伝えできればと思います。

 

政府要請の内容

外出制限が政府によって要請されたのが3月23日夜。我が家夫婦では、妻のShikkaはその前週後半から、夫のKaneはちょうど23日から在宅勤務を始めました。国の対応より半歩早く自主的に対応を取ってくれた会社に感謝します。

外出制限の内容は以下の感じで、違反者に対して警察は罰金を取れます

①原則在宅勤務。

医療、スーパー等必需品販売、物流業界などのKey worker以外は原則在宅での勤務とするものです。

食料、医薬品、農業資材など止めてはならないと判断される業界の生産活動もKey industryとして認められており、これら業界で働く方々は周りが外出制限となっている中でもこれまで通り(あるいは一部縮小して) お店や工場での仕事を継続しています。それ以外は可能な限り在宅勤務とされていて、地下鉄の利用者も大きく減りました。今では医療従事者など必要な方の通勤の足として土日のタイムテーブルで運営されています。

②学校閉鎖

学校はKey workerの子供以外には閉鎖です。Key workerの子供まで預け先が無くなってしまっては医療従事者やスーパーのスタッフ等が働きに出れなくなり、最低限必要な経済活動が回らなくなってしまうためこのような措置となっています。日本みたいに余計な平等性を考えず、合理的な政策(最終的には大多数の利益になる政策)を出せる点はさすがボリスジョンソンです。

③買い物は生活必需品の調達のみ許可。

買い物の為の外出は食料や日用品など必需品の調達を対象に認められています。ただでさえカフェや本屋は閉まっているのでスーパー以外は行きたくても行けませんが、気晴らしの買い物なんていうのは禁止です。

政府によって営業停止指示を受けている店舗・場所はこちらの政府発行リストご参照下さい。 Closing certain businesses and venues

内容的には東京都の小池さんが検討しているものと似ているのではと思います。

④同居家族以外との面会禁止

同居家族との接触は避けられませんが、友人や離れて暮らす家族との面会も禁止です。友達に会おうと言われても「No」と言う。これが政府からの指示であり個人の責任です。

⑤1日1回の運動の為の外出は許可。

普段からランニングやサイクリングが盛んなイギリス。メンタル面を考慮して1日1回の運動のための外出は認められています。但し、その場合も一緒に運動できるのは同居家族のみで、運動仲間と外で会うなんていうのは禁止です。2名以上で集合する事も禁止です。

イギリスではこの運動許可を自分なりに解釈して見晴らしの良い国立公園へ遠出してしまう人が続出しましたが、警察によってこれらは違反とみなすと周知されて始め、こういった方々への警察の職質もされています。また、ご近所さんが1日に2回目の運動に出ているという通報をされた、というケースもあります。どこで誰に見られているかわかりません。分からないだろうと思わずに、しっかりルールを守る自制心が大切です。長期化してメンタルがやられてくると、ご近所トラブルも心配ですね。

更には公園に運動しに来たのではなくベンチや芝生でのんびりしに来た、という人が絶えず(ピクニックしたかったなんていう気の抜けた考えを持っている方もいる)、このような行動が続けば1日1回の運動も禁止されるかもしれない、と政府は牽制をかけています。

…とこれらの強制力のある対応を取っているイギリスですが、緊急事態宣言は出ていません。日本はやたらと緊急事態宣言を待っている風がありますが…

 

スーパーマーケットの対応

スーパーでは事態が怪しくなり買いだめが問題化し始めた頃から、毎朝開店前の30分はイギリスの保健サービスであるNHSスタッフの方向けのみお店を解放したり、月・水・金など曜日限定で、開店後最初の1時間を高齢の方や障害のある方など配慮が必要な方々向けに限定してお店を開けるようになりました。この対応は現時点でも継続中で、当該時間帯の入店にはIDの確認も導入されています。

買い物客に対しては2mの距離を保つこと(social distance) が要請されており、入店前の列だけでなく、店内には2mの目安となる線が引かれており、買い物中も距離を保てるようにしています。しかし買い物中の2m維持は意外と難しく、すれ違い時には簡単に2m以内に他人が入ってきてしまいます。また、見たい商品の棚に先に人がいる場合、選び終えて立ち去るまで2m離れて待つことになります。なので買い物にはいつも以上に時間がかかっています。

また、スーパーにやって来る人の総数を根本的に減らすため、買い物に来るのは1世帯あたり大人1人に限定するよう要請が出ています。家に一人で留守番できない子供については大人への同行を認めています。

我が家ではもはや買い物が唯一の外出だったので2人で行っていましたが、これからは夫1人にお願いすることになりそうです(私1人で買い物に行くと、棚が高くて物が取れなかったりするので…) 。

お会計時はレジスタッフを守るよう透明板が設置されましたが、イギリスの場合はセルフレジが浸透しているため一切スタッフとやりとりすることなくお買い物を済ませることが可能です。支払いもカード優先で、菌の温床になりそうな現金のやり取りは極限まで減っています。

加えて、我が家の最寄りスーパーでは駐車場代が有料で買い物をすれば返金ありと言うスタイルでしたが、この返金には現金のやりとりが含まれているため今では駐車場も無料となっています。

これらスーパーの安全対策と買い物客へのお願いを判りやすくまとめてあるのがTescoのこちらの動画(英語です)。テレビCMやSNSでも拡散されています。日本のスーパーもこのような対応を迅速に取れるといいですが…

Helping to keep everyone safe

このような対策を取ったおかげで今では買い占めは減り、スーパーの棚に商品も戻ってきました。乾物や缶詰、粉類は相変わらず空ですが、生鮮食品が手に入るため食べるものがないという心配はありません。

また、お店に行かなくてもネットで商品を購入し家まで配達してくれるサービスもあります。しかし現況では配達枠が足りなくなったり、新たな会員登録が出来なくなっていたりと運営が結構大変なようです。私は会員登録は事前に済ませておいたものの配達枠が取れず結局使っていません。もし自分がコロナに感染して全く外出できなくなった場合を考えるとどうしたらいいのやら、不安です。

 

人々の反応

マスク着用者はまだまだ少数

イギリス政府は健康な人はマスク着用不要と明言していますが、少しでも知識のあるイギリス人からすると、そんなことを言って自らもマスクをしない政府役人は恐ろしいと言っていました。咳やくしゃみでどこまで飛沫が飛ぶのかという実証結果も報道され始めたのにもかかわらず、マスク不要と言い切るのは、知識の無いイギリス人にそう信じ込ませることで、マスク不足を回避する意図があるとしか思えない… 私の同僚は、マスクをしている人は重症患者かテロリストだと言っており、そんな考え方の人が身近に居ることに驚きます。

工夫を凝らして日光浴

1日1回の外での運動はOKとされていますが、近くに広い公園がない人はベランダやテラスで日光浴をしています。運動というより、日に当たりたいと言うのがイギリス人の本音では、と思います。我が家はロンドンから1時間程の片田舎で大きな公園もあるのですが、公園までの道のりが狭い歩道しかなく、人と近距離ですれ違うのが嫌で公園に行くのは辞めました。何棟かあるアパートの一角なのでご近所さんの様子も良く見えますが、ベランダに椅子や敷物をだして外で過ごす様子を見かけます。この週末は特に暖かくなったためこの様な人は多いです。子供たちもベランダでおままごとをしているようです。

医療従事者への感謝を忘れない

日本も国民皆保健ですから平等に医療を受けられますが、イギリスでもNHSという保健サービスがあり、このNHSで働く医療従事者たちが今回のコロナで大変な思いをしながら医療にあたっています。日本では医者が医療を施すのは仕事なんだから当たり前だろうと感謝の気持ちも忘れがちですが、イギリス人は今回の時だけでなく日頃からNHSを讃える風土があります。今回も一般の方の発案で毎週木曜日夜8時から感謝を込めて拍手を送るといるCLAP FOR CARERSというキャンペーンを行っており、これは医療従事者のモチベーション維持に加え、皆で一緒にコロナを乗り越えようという国の一体感につながっていると思います。日本でもこのような意識が広まればいいのにと思います。

死に目にも会えない恐ろしさ

コロナの一番恐ろしく悲しいところは、家族がコロナに苦しんでいる中でもお見舞いに行けない、もし亡くなってしまったら死に目にも会えず一人で死なせてしまうこと、さらに会えないまま火葬されてしまう虚しさではないでしょうか。ただ人が死ぬのとは状況が全く異なります。私は英国居住のため、日本の家族に万が一のことがあって急いで帰国したとしても、自主隔離の為2週間は会えません。隔離場所を実家とすれば会えるかもしれませんが、自分がコロナを持っている可能性は否定できないので家族に会うべきではないと思っています。今はとにかくイギリスでも日本でも、家族皆がこの危険を無事に乗り切ることを祈るばかりです。 

 

昨日4月5日夜8時にはQueen's speechが放送されました。恒例のクリスマスのスピーチ以外ではとても異例なことだそうで、それだけ今は異常事態なのだと感じます。日本でも緊急事態宣言が出たら天皇のお言葉などあるのでしょうか?

女王のスピーチ内容は戦時中を思い起こされる言葉やシチュエーションが散りばめられており、国民の緊張感を高め、かつ、あの時自分はこう貢献したんだと将来誇れるように、といったイギリス国民としての自制心やプライドを求める内容だったと感じました。厳しい制限が掛けられている今のイギリスでも、自分は大丈夫、死にはしないと高を括っている人はいます。そういった人の行動がテレビで報道される度、ルールを守っている個人としては苛立ちますが、近所の人の実際の行動や色んな方のSNSを見ると、自分と同じようにしっかりルールに従っている人が大多数だと思います。ボリスジョンソンが言うように、自分の正しい行動が何千人もの命を救う行動に繋がります。自分の行動を信じて、事態収束まで頑張りたいですね。

イギリスの外出制限は発令されて2週間が経ち、4月13日までがその期間とされています。今週中には延長か否かの発表があると思いますが、ひとりひとりがすべき行動を取っていくしかないですね。

皆さんの生活もどのような状況か、ぜひコメント欄などで共有して頂けると嬉しいです。

 

Shikka