住宅の窓にガラスフィルムを貼る理由

スマホの液晶画面に保護フィルムを貼る方は沢山いますよね。保護フィルムを貼る理由は主に液晶画面を傷から守る事ですが、保護フィルムによっては、汚れや指紋が付きにくくなる、のぞき見防止、反射防止、抗菌、ブルーライトカット等の機能が付いているものもあります。

スマホに貼る保護フィルムはガラス(液晶画面)を守る為に貼りますが、住宅の窓ガラスに貼るフィルムはガラスを守るというより、家の性能を上げる為に貼ります。

いぬ君
家の性能がどんな風に上がるの?

紫外線から家を守るUVカットフィルム

太陽光には、波長が短く、エネルギーの高い紫外線(UV)が含まれています。紫外線は有害で人が体に浴び続けると日焼けを起こし、しわやたるみの等の肌の老化をもたらし、皮膚がんの原因となります。

紫外線の害は人に限らず、有機質の物は紫外線を浴び続けると劣化します。ガラスは無機質なので紫外線を浴び続けても劣化することがありませんが、紫外線はガラスを通過して、家の中の建具や家具を劣化させます。

家の中にあるフローリングも、壁紙表面を仕上げている塩化ビニルも、家電製品のプラスチック部分も有機質なので紫外線を浴び続けると劣化し、日焼けで変色します。

紫外線の有害さは輪ゴムを見てみれば良く分かります。日に当たり続けた輪ゴムを引っ張ってみると伸びずに切れてしまいますよね。これは輪ゴムの分子構造が紫外線で破壊され、柔軟性が失われ硬化したからです。

しげ雄
紫外線で劣化しない無機質は、ガラス、タイル、石くらいです。

UVカットフィルムは窓ガラスに貼ることによって、窓ガラスを通過する紫外線を99.9%以上カットしてくれます。

窓ガラスを通過する紫外線をカットしてくれる商品はUVカットフィルム以外にもUVカットカーテンがあります。しかし、UVカットカーテンの紫外線カット率は60%~90%以上になっており、UVカット率が高いレースのカーテンは透過性が悪くなってしまいます。

しげ雄
透過性が悪いと太陽光の明りが入らず部屋が暗く感じます。

さらに、紫外線を90%以上カットしてくれるUVカットカーテンは種類が少なく、デザインで選ぶのが難しくなります。室内に来客を招いた時に目に入るレースのカーテンはお洒落な物にしたいですよね。

その点、UVカットフィルムは紫外線を99.9%もカットしてくるのに透過性が高く、お洒落なカーテンを選ぶことが出来ます。

太陽熱を遮る遮熱フィルム

太陽光で悩むことは紫外線だけでなく暑さもあります。夏場の西日が入る部屋の暑さといったら耐え難いものです。

遮熱フィルムを貼った窓と遮熱フィルムは貼らなかった窓の温度を調べた結果、5℃の温度差が出た調査結果もあります。

冷房を付けて部屋を冷やすにしても、室温を上げる原因である太陽光を遮らない事には部屋を涼しくするのに時間がかかります。遮熱フィルムを貼ると、部屋を涼しくする時間が短くなり、エアコンの電気代が安くなります。

熱を逃がさない断熱フィルム

遮熱フィルムは熱が入らないフィルムですが、断熱フィルムは熱を逃がさないフィルムになります。断熱性能が上がれば、室内の熱を外に逃がさず、暖房で温めた室温を保つことが出来ます。

冬の暖房時に外に熱が逃げる割合が一番高いのが窓の開口部になります。屋根や壁の断熱性能を上げても外気と触れ合う窓ガラスの断熱をしないと部屋は冷めていく一方です。

窓ガラスの断熱といえばハニカムシェードがありますが、お洒落なカーテンを付けるならカーテンが選べる断熱フィルムの方がお洒落な内装になります。

2013年に、2020年には省エネ基準への適合義務化をすると決めていましたが、省エネ基準への適合義務化は見送られました。それでも、温暖化問題が解決したわけではなく、住宅の断熱性能については高い関心があります。

虫が寄ってこない防虫効果

製薬会社が出している防虫剤のように、虫が嫌がる薬剤が飛散するというものではなく、虫が集まる光をカットするフィルムです。

虫の中には明りに集まるという性質の虫がいます。田舎のコンビニなどでお店の明るさにひきつけられてガラス窓に虫が沢山いる光景って見たことありませんか?

防虫効果のあるフィルムは虫が反応する紫外線領域の光をカットすることで、光に集まる虫を大幅に減らすことが出来ます。但し、効果は光に集まる虫だけで、光に集まらない虫には効果はありません。

空き巣から家を守る防犯フィルム

空き巣の侵入手段で一番件数が多いのが鍵の無施錠ですが、ガラス破りによる手口もかなりの件数があります。

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金塊が散らばっている

防犯フィルムはガラス破りに有効なフィルムです。空き巣は空き家に侵入するのに時間が掛かると諦めます。防犯フィルムはガラス破りにかかる侵入時間を長引かせる効果があるので、外構の死角で侵入に長時間時間と費やせる場所以外は防犯に効果的です。

防犯性能の高い建物部品目録にCPマークというあり、CPマークがある商品は防犯性能試験において5分以上侵入を防ぐことが出来た商品になります。

いぬ君
5分って短くない?

5分というと短く感じるかもしれませんが、空き巣の心理で5分以上かかる場合の侵入をあきらめる割合は7割になります。ガラス破りで5分侵入を防いでくれるだけでかなり効果的だといえます。

気になる価格は?

ガラスフィルムの種類によって価格はまちまちですが、一番安価なUVカットフィルムを業者に頼むと、1㎡あたり10,000円前後で出来ます。掃き出し窓が1ヶ所3.6㎡位なので36,000円位になります。

遮熱フィルムはUVカットフィルムより少し値段が上がり、1㎡あたり14,000円前後になりますが、遮熱フィルムはUVカットの機能もついているので、UVカットフィルムから1㎡あたり4,000円でグレードアップが出来ます。

断熱フィルムはさらに値段が上がり、1㎡あたり16,000円前後になります。そして、断熱フィルムにはUVカット機能と遮熱機能も付いていますので、遮熱フィルムから1㎡あたり2,000円でグレードアップが出来ます。

防犯フィルムは窓フィルムの中で一番高く、1㎡あたり20,000円からになりますが、防犯性能の高いフィルムになると、1㎡あたり25,000円を超えてきます。残念な事に防犯フィルムには遮熱効果と断熱効果はありませんが、UVカット機能は付いています。

まとめ

窓ガラスフィルムは、どの種類のフィルムでも飛散防止機能が付いています。ガラスに物が当たってガラスが割れても、ガラスフィルムを貼っていれば破片が飛び散ることがありません。地震や台風でガラスが割れてしまっても、落ちたガラスで怪我をする2次被害を防ぐことが出来ます。

ガラスフィルムの種類選びは、地域によって遮熱か断熱か求められる性能が変ってくるので、南の地域は遮熱フィルム、北の地域は断熱フィルムを貼っておけば一年中快適に暮らすことが出来ます。