少年隊といえば、ジャニーズ事務所からデビューした ダンスと歌で一世を風靡したアイドルグループですが、先日、グループの錦織一清、植草克秀の2人が、事務所の退所を発表。グループ名は存続するとのことですが、事実上の解散といえそうです。
少年隊が出演した映画の『19 ナインティーン』はミュージカルにもなっている作品。今回は『19 ナインティーン』の感想をネタバレありで書いていきます。
19 ナインティーン
作品情報
製作年度 |
1987年 |
上映時間 |
98分 |
監督 |
山下賢章 |
キャスト |
サウス(植草克秀)
ミヤコ(小沢なつき) ターボ(坂井徹) フカザケ(柳生博) ゼブラ(中康治) ソフィア(アレクシス・ホール) 村井邦夫 |
なかなかのSF作品で切なさもアリ
西暦2550年から1998年の東京にやって来た、19歳のタイムパトローラー、イースト(東山紀之)、ウエスト(錦織一清)、サウス(植草克秀)。
彼らが1998年にやって来た理由は、時空を超えて逃亡するバンパイアの退治のためだった。ある小惑星の探査隊員らが、エネルギーを吸収して破壊エネルギーに変えるバンパイアに変えられてしまった。バンパイアの20体のうち最後の1体カミーラ「19」が、1998年の東京に潜伏していることがわかり、3人は「19」を仕止めるため、この時代で集合する。
だが「19」は元はイーストの恋人で、ソフィア(アレクシス・ホール)という女の子。彼女は3人の友人でもあり仲間でもあった。
1998年の東京に暮らす、16歳のミヤコ(小沢なつき)と12歳のヨリトモ(山田哲平)の姉弟はレーサーの父(村井国夫)と母親が海外に出て不在の時間を、時折母からかかってくる電話を気にしながらも適当に羽を伸ばしていた。
ある晩、ミヤコはこの時代にやって来たイーストと知り合う。家に連れて帰った翌日にはウエスト、サウスとも合流し、事情を知ったミヤコは彼らと行動を共にすることになります。
ストーリーとしては、SFのタイムトラベルものですね。
『ブレードランナー』と『ターミネーター』に似てるといえば似ている。
ここでのタイムパトローラーは、好きなときに好きな場所に空間移動できるわけではなく、時空の歪みが起きる場所をねらって移動をします。
『時をかける少女』は念じれば移動できるという設定。
この設定は意外に斬新かもという感想です。
19歳のイーストらは、タイムパトローラーとしてあらゆる時代を駆け抜けている。しかもイーストはバンパイアになってしまった恋人を手にかけなければならない宿命も背負っている。彼らがこの時代に滞在できる時間も限られていて、加えてゼブラ(中康次)という冷酷なハンターも「19」をハンティングするため追っているので、のんびりしてはいられない。
そんなときミヤコの元に少女が現れ「未来のおばあちゃん」と言いだす。実はその少女こそ「19」でした。ゼブラに襲われる「19」はミヤコをかばいます。
「19」は核が隠されている青山に向かい、核爆発をさせて自分の命を絶とうとしますが、そんなことをしたら地球が大変なことになると、イースト、ウエスト、サウスの3人は青山へと、ゼブラもまた19を追うのだが……。
本作品が上映されたのは1989年なので、描かれるのは10年先の世界観。
そのためか、ミヤコとヨリトモが暮らす自宅も、この時代にしては電子ロックがあったり、家具もおしゃれで世紀末っぽさは出ています。
でも時折、ミヤコが口にする「ナウいじゃん!」「シブい!」といった容赦ない昭和な言葉遣いには思わず固まります。言葉って生モノなんだなあとしみじみ。
ミヤコとヨリトモの、ほどよい仲良し姉弟な雰囲気は、のんびりした時代を思わせてよい感じです。
ミヤコを演じた小沢なつきという人は工藤静香の同期だった人。美容ブログをやっていましたが、現在は更新されていないようです。
ソフィア役のアレクシス・ホールという女優さんは、ザ・ハーフモデルな美人で、東山紀之とのキスシーンもありますが、女優としてはこの作品以外は出演していないようでした。
「君だけに」音楽がいい!
少年隊の6枚目のシングル「君だけに」は、本作品の主題歌として使われています。実は「君だけに」は、この映画のためにつくられた曲だそうで、本作品に対するジャニーズ事務所というか、ジャニー喜多川氏の少年隊への強い思いが感じられます。
お金も手もかけたけど、彼らには絶対に回収できる、その実力があるという確信。また何よりも日本の芸能界の歴史に名を刻む作品をつくろうとした情熱が、今でも伝わってくるようでした。
聴き直してみると、やはり名曲中の名曲。涙が出てきました。
映画自体は埋もれてしまった感もありますが、曲は現在も生き続けています。
少年隊の動画を見ていると、完璧なダンスを見せながら、ハンドマイクで歌っている。昔、少年隊が現役だったときも、すごい人たちだなーと思っていたはずなのですが、時間が経って見直したとき、その凄さを思い知らされました。
この人たちは紛れもない本物です。(私に言われたくないかもだが)
2008年にミュージカルを閉幕させてから、少年隊は表立っての活動はしてません。最高のパフォーマンスを要求するのは酷ですが、名前を残すのだからどこかのタイミングで3人が揃う姿は見たいものです。
こういう本物のエンターテイナーたちに、私たち見る側の夢は支えられている。
だから私たちは安心して夢を見ることができるのだなと、感慨深いものがありました。
最後になりますが、この映画の劇中歌には、
久保田利伸、中村あゆみ、BOΦWY、八神純子といった当時の時代を織り込んだ選曲をしているところも今となっては趣が感じられます。
▼元ジャニーズの後輩も頑張っています。
それではまた。
のじれいか でした。