温泉クンの旅日記

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長谷観音(長谷寺)

2020-06-07 | 鎌倉点描
  <長谷観音(長谷寺)>

 六月といえば紫陽花だ。

 

 鎌倉で紫陽花の名所といえば、筆頭は「あじさい寺(明月院)」、次いで「長谷寺」あたりが有名である。 

 

 江ノ電「長谷」駅を降り改札前の県道を、線路と海方面を背にして歩きだす。県道の両側に設置された舗道は狭く、うじゃうじゃの観光客が車道の端を歩くことも日常茶飯事だ。しかし、今日は嘘のように観光客の姿もない。
 最初の信号を左に折れ突きあたりが長谷寺である。

 

「長谷観音」の通称で親しまれる長谷寺だが、正式には「海光山 慈照院 長谷寺」と号する鎌倉の古刹だ。奈良時代創建で開山は大和長谷寺と同じく、西国三十三カ所巡礼路の始祖として知られる徳道上人である。

 境内にある「アジサイ路」と呼ばれる散策路では40種2500株の群生する紫陽花を観賞できる。往復はがきによる事前予約(一日千人限定)じゃなくても、今日は大丈夫という。ただし特別拝観料の千円也を払えば。
 千載一遇のチャンスとでもいえる。
 どうするか、心が揺れ動く。ただ、肝心の紫陽花がまだ三分咲きと聞いてパスすることにした。五分なら文句なしだが三分じゃちょっと・・・近所だしね。

 

 階段を昇り、まずは「観音堂」へ向かう。

 

 

 本尊は十一面観世音菩薩像で木彫仏としては日本最大級だそうだ。(残念ながら撮影禁止)
 ここ長谷寺は坂東三十三ヶ所観音霊場の第四番札所である。因みに観音霊場は西国三十三ヶ所、坂東三十三ヶ所、秩父三十四カ所を併せて日本百観音という。

 ありがたい観音様の拝観を終えると、鎌倉の海が一望できる見晴らし台へいってみる。

 

 あいにく今日の相模湾の眺望は霞がかかっていた。

 弁天堂近くにある「弁天窟」は、弘法大師参籠の地と伝わる洞窟である。

 

 赤い鳥居をくぐって、入ったところは案外広く、手彫りとおぼしき洞窟の壁面に弁財天が彫られている。

 

 

 奥にすすんで、暗く静かで胎内のような洞窟に自分が独りきりなのにようやく気がつく。いけねえ、高いところだけでなく閉所も嫌いだったんだ、オレ。いきなりの狼狽。
 出口に向かう暗い洞窟内の通路は高さが1メートルくらいしかないので、屈んだ姿勢でしか進めない。
 戻ろうか・・・。
 つい本気で弱気になる。でもそれは「順路の逆走」でマズイ。

 首筋に百足みたいな蟲がポトリと落ちてきて、悲鳴をあげて立ちあがり、天井の岩に頭を強打して昏倒する。カップルの暗闇のなかの会話「いまなんか柔らかいもの踏んだぞ」「いやーん」なんて図が浮かぶ。恐慌状態一歩前ってとこ。
 おお、やだやだ。頭をぶつけないように注意して急いで出口の明かりを目指してヨチヨチ進む。

 
 
 やっと出口から飛び出すと、さすがに「花の寺」とも呼ばれているだけあって花が目に飛び込んできてホッと安心、いつもの渋いもの静かな男に戻る。

 写経場である書院前にあった「和み地蔵」。

 

(ふむふむ。弁天窟のあとだけに、たしかに、和むわい・・・)
 大きめなので横に立って記念写真を撮ることができる。弁天窟に入っているあいだに、屯していた女性参拝客たちが消えていた。

 そうそう。境内のなかに「良縁地蔵」という三体セットの小さくて可愛い地蔵さんが、三カ所に設置されていて、すべて見つけると良縁に恵まれるそうである。その小さな良縁地蔵たちだが、「石んこ地蔵三人うたごえ」、「石んこ地蔵三人家族」、「石んこ地蔵日だまり」とそれぞれ名前がつけられているそうだ。

 アジサイ路、地蔵探しに弁天窟。
 長谷寺は、独り参拝よりカップルこそが似合うのかもしれない。



  →「明月院、初夏の紫陽花」の記事はこちら



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