後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔254〕木下晋『いのちを刻む―鉛筆画の鬼才、木下晋自伝』は生き様を刻んだ魂の書でした。

2020年03月10日 | 図書案内
 数日前にKさんから木下晋『いのちを刻む―鉛筆画の鬼才、木下晋自伝』(城島徹編著、藤原書店)を貸与されました。なぜ本を貸してくれたのか、完読してよくわかった気がしました。内容的にはとても凄まじい本だし、しかしながら、とても読みやすい本でもありました。
 1947年生まれ、団塊の世代の著者は、極貧生活や肉親の死を体験するなかで、画家として油絵から鉛筆画家へ転身し、その独自性を開花させていきます。22段階の鉛筆を駆使した鉛筆画は視るものの心を捉えて放さないもので、ある精神性が複雑に横溢する作品の連続です。画家としての執念や業を感じさせるのは、母親のヌードや、崩れゆく妻の肖像です。その鉛筆画には鬼気迫るものがあります。

 それでは手っ取り早く本を紹介します。オビと本文からの引用です。

(オビ)
 鉛筆での表現をひとつの芸術作品に結晶させ、鉛筆画の世界を切り拓いた画家、初の自伝!
 人間存在の意味とは何か、私はなぜ生きるのか。芸術とは何か。
 ハンセン病元患者、瞽女、パーキンソン病を患う我が妻……
 極限を超えた存在は、最も美しく、最も魂を打つ。
 彼らを描くモノクロームの鉛筆画の徹底したリアリズムから溢れ出す、人間への愛。
 極貧と放浪の少年時代から現在を語り尽くす。

(本文より)
 もし私が富山の極貧家庭に育って身内の死に遭遇していなければ、人生はどうなっていただろうか。
孤独とは無縁の、心安らかなサラリーマンとして生きていたかどうかは定かでないが、『重苦しい』『凄まじい』などと形容され、平和な家庭空間には決して飾られることのない、モノトーンの鉛筆画の絵描きなどには少なくともなっていなかっただろう。
狂おしいほどに人への思慕に焦がれた私は、ただ生き抜くため、画家としての人生を選んだのである――。

 2019年12月21日 Eテレ ETV特集「日々、われらの日々 鉛筆画家 木下晋 妻を描く」にて著者特集があったようです。そして再放送もあります。藤原書店のサイトの末尾を見てください。

●藤原書店のサイトより
*木下晋『いのちを刻む―鉛筆画の鬼才、木下晋自伝』への反響

 昨年末、小社より刊行した、木下 晋著 城島 徹=編著『いのちを刻む―鉛筆画の鬼才、木下晋自伝』の反響が、ここにきて徐々に広がりつつあります。
 最近報道された以下の関連記事等を紹介させて頂きます。

■2月26日、『毎日新聞』SUNDAY LIBRARY 岡崎 武志・評『いのちを刻む 鉛筆画の鬼才、木下晋自伝』(web版は有料記事)。
■2月26日、『日刊ゲンダイ』DIGITAL  人間が面白い 「いのちを刻む 鉛筆画の鬼才、木下晋自伝」木下晋著 城島徹編著。
■2月29日、『朝日新聞』のインタビュー記事 「いのちを刻む 鉛筆画の鬼才、木下晋自伝」インタビュー うそみたいな人生を生きて。
■3月7日、『週刊読書人』ノンフィクションライターの歌代幸子氏による書評「残酷な作業、慈しみ、懸命に生きる姿を刻む作業」。

 また、NHKのETV特集で放送された木下画伯の「日々、われの日々」が下記の日程で再放送されたます。お見逃しの方は、是非ご覧ください。
・ 3/14(土)23:00~
・ 3/19(木)0:00~
 
 
 ドキュメントを見ることはもちろん、作品集を是非手に取りたいと思っています。展覧会があれは駆けつけたいと思います。    

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