「わからなさ」を楽しむ数学教師の挑戦。

主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)を教師も実践!公立定時制高校の教務主任です。

【授業実践】対数のおもしろさ。授業の失敗と成功。【数学Ⅱ】

今回は対数の内容。

 

ある問題で多くの学びがあった。

 

その問題は以下の問題。

 

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この問題は、「底の変換公式」を使って考える。

 

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(底の変換公式)

 

 

「底の変換公式」の説明をせずに、いきなり生徒に委ねる。

 

すると、次のような声が。

 

生徒A 「このbってなんなん?」

先生  「bは自由やで」

生徒B 「2とか3とか、勝手にやるんか」

生徒A 「誰がaで誰がbで誰がMなん?」

生徒C 「aとbとMは三角関係やねん」

生徒A 「bさんは何にでもなれるん?」

 

こんなことを言いながら、生徒は考える。

そして、ある生徒の考えを共有する。

 

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生徒D 「そこのやつ使って、分数にした」

生徒E 「logを無視して、2と4で約分する」

 

この考えは間違っている。

別の生徒は「私は2になったー!」と叫ぶ。

 

生徒たちは間違いからどんどん学ぶことができる。

 

「先生、どっちなん??」と聞いてきたので、

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と書き、いっしょに考えていった。

 

私といっしょに教室全体で考える中で、

「 あ!そうか」という声が少し聞こえる。

 

ここが実は失敗。

 

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と書いた後、いっしょに教師主導で考えてしまった。

 

「じゃあもう1回考えてみて」と個人に返していればどうなったろう?

もっと多くの「あ!そうか!」が生まれたかもしれない。

 

 

また、別のクラスでは違ったやり取りが見れた。

 

ある生徒が以下のように板書し、説明をした。

 

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生徒F 「何したん?」

生徒G 「底の変換をして・・・」

生徒F 「もっとわかりやすく言って」

生徒G 「2でそろえたいねん」

生徒F 「なんで分数になるん?なんでそこにもっていくん?」

生徒G 「なんでやろ。教科書見てみよう」

生徒F 「なぞやな」

 

(教科書を読む。)

 

生徒F 「教科書見たらわかったで。」

(生徒Fが教科書をもとに説明。)

生徒H 「あー。なんとなくわかった。」

生徒I 「もう一問考えなわからへん。先生、もう一問やろうや!」

 

 

この場面、実はもともと「もう一問」用意していた。

 

「しめしめ」である。

私は、「しょうがないなぁ(笑)」と言いながら、次の問題を書く。

 

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(生徒は次の問題をやる)

 

生徒H 「3分の2?」

生徒I 「うん。3分の2になる!」

 

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を全体で共有した。

 

すると、

生徒I 「やったーできてる!!!」

といううれしい声が。

 

授業をデザインする(指導案を考える)ときに、生徒の「わからなさ」が出てくる場面を予想できていた。

帰納」的なデザインができた授業。

 

生徒の「もう一問!」という声が接近の原理となり、「やった!」になった。

そのような「成功」であった。

 

 

ちなみに、生徒FとGは休み時間も、黒板を使って、「底の変換公式」を考えていた。

 

「できる喜び」も「わからないことを考える楽しさ」も

生徒が見せてくれて、こちらもうれしい限りだ。