40代前半の女性(Bさん)
乳がんの末期の患者さんを看取りました。
Bさんには大学生の息子さん
高校生の娘さんがいました。
痛みや腹水が溜まってしんどい状態でしたが
Bさんは弱音を全く吐かず
取り乱すこともなく
いつも落ち着かれていました。
担当看護師だったので
Bさんにできることはないか
毎日のように考えて
無力さに焦ることがありましたが
いつも穏やかで優しいBさんに
私が救われていました。
Bさんを含めて
旦那さん、息子さん、娘さんも
あまりにも冷静だったので
私たち医療者は
「まだ余命を受け止められていないのではないか?考えられていないのではないか?それならば援助や介入が必要ではないか?」
と話し合っていました。
しかし
Bさんとそのご家族は
事前に最後のことも話し合った上で
入院されていたのです。
「もう自分の荷物も整理してきたので準備はできていますよ。私の貯金も主人の方に移したのでも困ることもないと思います。娘の成人式のために振袖も用意してきました。」
とBさんから聞けてわかりました。
そしてその一週間後くらいに
Bさんはご家族に見守られて
亡くなりました。
私たち医療者は
患者さんが
最後を受け止められていないのではないか?
と心配していましたが
そうではなくて
もう話し合って覚悟を決めた上での
入院だったんですね。
覚悟を決めたBさんの
強さ、たくまさ、優しさは
今でも忘れられません。
去年の節分の日
「恵方巻が余ってしまったら
輪切りにしてごま油でさっと炒めたら
キンパみたいになって美味しいよ」
と教えてくださりました。
一人暮らしを始めたばかりだったので
母親のようなあたたかさを感じました。
今後も節分になると
Bさんのことを毎年
思い出すことでしょう😌
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