息が詰まる様なニュースばかりの中に小さく[桜開花]の報を見つけた。まだ早いのだろうとは思いながらも気塞ぎのウサを晴らす為、"梅は〜咲い〜たか〜”とばかりに冬眠中のモンスターにキーを差し込んだ。
"これこれ杉の子起きなさい〜"
キュキュキュキュ、ストドン、ドンドンドカドカ・・・
んー、もう春ー?
例年、シーズンインはプロテクターにフルフェイスでおずおずと慣熟走行をするのだが、欲しかったのは開放感。いつも通りのジェットヘルと革ジャンでいきなり北に向かう。
ドッタカドカッタと走り出せばこれほど闊達な乗り物はない、と頬が緩むのもいつも通り。腰や背中に不安は残る。1時間おきに小休憩をはさむとする。
いつもの峠でいつもの様に記念撮影。
ここにあった桜の木は誰かが切ってしまいやがった。不法投棄の輩を追い払うためのバリケードもある。どちらもまったく無粋なことだ。
"のんびり行こうよ 俺たちは〜 焦ってみたとて 同じことぉ〜"、、、と鼻歌まじりで峠を流す。
ハンドルをこじったりしてちょっと横着な走り方だが、足腰の筋力が衰えているのでいた仕方ない。綺麗な走りとは言えないがモンスター相手にズボラかますなんて自分も一丁前なことができるようになったものだ。
いつもの桜は
「まだだよう」
と申しておりました。